お飾り婿の嫁入り 血の繋がらない息子のために婿入り先の悪事を暴露したら、王様に溺愛されました

海野璃音

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一部番外編

他視点3-4:王として、父として、守りたいもの[シュロム視点]

 王宮から外へと出れば、日はまだ沈み切っておらず、夕暮れの光が離宮群と庭園を包んでいた。

 その光景を美しいと思いながら、離宮への道を歩き、この一年で随分と帰る頻度も増えたものだと独り言ちる。

 無論、帰れない時期もあったがそれでもそれ以前に比べると帰るように、帰りたいと思えるようになったのは不思議なものだ。

 離宮の門を潜り、従者によって開かれた扉から離宮へと入る。帰ると先ぶれを出したから、まだ夕食は取っていないだろうと談話室へと足を向ける。

 談話室の扉の前へと近づけば、中からはティグレとアグノスの声が僅かに聞こえてきた。

 防音はしっかりされているはずなのだが……それを突き抜けてくるというのはどういう事なんだ。

 元気な二人の様子に苦笑していたら、従者が談話室の扉を開いた。

「っ……!ちちうえ!おかえりなさい!」
「ちちうえー!おかえりなさーい!」

 開いた扉の先に俺の姿を見つけたティグレとアグノスが勢いよくかけてくる。

「ああ、ただいま」

 身をかがめ、両手を伸ばして駆けてきた二人を抱きとめれば、俺の背に手を回ししっかりと抱き着いてきた。

 正直、ここまでアグノスから懐かれるのは想定していなかったが、イデアルやティグレを兄と慕い、真似する純粋さを考えれば、こうやって慕われるのも悪くはない。いや、嬉しいと言った方が正しいか。

 俺に抱き着きながら楽しそうに笑う二人の頭を撫でていると、その様子を長椅子に座って見守っていたイデアルとディロスが立ち上がってこちらへと近づいてくる。

「おかえりなさい父上」
「おかえりシュロム」

 ティグレとアグノスに遅れて迎えてくれた二人にティグレとアグノスの背を軽く叩いて立ち上がる。

「ただいま」

 二人へと笑みと言葉を返し、イデアルとディロスを一人ずつ抱きしめれば、イデアルは嬉しそうにしながらも照れ、ディロスは恥ずかしそうに照れていた。

 ティグレやアグノスと違って照れる二人はティグレやアグノスと違った微笑ましさがある。

 それもまた愛おしいと思うのだから、俺は今幸せなのだろう。

「陛下、食事の用意ができております」

 俺が幸せを噛みしめていたというのに、背後からロンの言葉が水を差す。振り返り恨みがましい視線を向ければ、いつものように飄々とした笑みが帰ってくるだけだった。

 はぁ……いや、まあ……子供達の腹を空かせたままにしておくわけにもいかないが。

「わかった」

 内心ため息を吐きながら、ディロスと子供達へと向き直る。

「食事にしよう。食べながら今日何をしたか聞かせてくれるか?」
「はい!」
「はーい!」

 俺の言葉にティグレとアグノスが元気に答え、イデアルとデュロスが二人を微笑ましそうに眺めていた。

 その光景をやはり愛おしいと感じながら、この光景を守る為に父として、王として、正しくあろうと己に、そして神へと誓うのであった。
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