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第二部:王様に嫁入りした側妃ですが子供達の未来に悩んでいます
51:王から第二王子への問いかけ
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ティグレの将来の夢を聞いていたら、談話室の扉が叩かれる。
視線を向ければ、扉の近くの侍従が対応しているのが見えた。
「シュロム陛下のお帰りです」
こちらへと向き直った侍従が声を張り上げ、それと同時に扉が開く。
その向こうには、シュロムがロンとメリーを連れて立っていた。
「父上! おかえりなさい!」
僕の隣に座っていたティグレが長椅子から飛び降り、シュロムへと駆けていく。
「おかえりなさい父上」
ティグレを追ったイデアルを見送りながら、僕は立てずじまいのままアグノスの頭を撫でた。
「ただいま」
ティグレとイデアルの頭を撫でていたシュロムだけど、アグノスの様子に軽く首を傾げる。
「……アグノスはどうしたんだ?」
「おかえり。ちょっとね……僕が離宮にいないのは、初めてだったからか……寂しかったみたい」
ティグレを連れて、近づいてきたシュロムに苦笑しながら答える。
「そうか……アグノス」
僕にベッタリなアグノスにシュロムが呼びかければ、アグノスはほんの少しだけ視線を上げた。
「……ん」
「今日は、留守番できて偉かったな」
「ん……」
頭を撫でてもらえたからか僕に張りつきながらも、アグノスは小さく頷く。
「もちろん、ティグレもだ」
アグノスの頭を撫でたシュロムが続けてティグレの頭を撫でた。
「へへっ……!」
頭を撫でられて照れくさそうなティグレだけど、やはりシュロム褒められるのは嬉しいのか誇らしげに笑う。
「イデアルもよく務めを果たした。夕食の席でどんな茶会になったのか聞かせてくれ」
「はい」
シュロムに肩を叩かれたイデアルは、引き締まった顔で頷きながらもその頬には笑みが浮かんでいた。
その笑みにいっぱい頑張ったし、褒めてもらえるといいねと僕の頬にも笑みが浮かんだ。
「父上、父上!」
シュロムが帰ってきてからウズウズしていたティグレだったが……ついに堪えられなくなったのかシュロムの手を取りながら、シュロムを見上げる。
「どうしたティグレ」
キラキラ輝くティグレの瞳に柔らかく微笑んでいたシュロムだけど、次の言葉に真剣な表情に変わった。
「俺、軍人になりたいんです! みんなを守れるようになるために! どうやったらなれますか!」
「……ティグレは、軍人になりたいんだな」
「はい!」
ティグレの言葉にシュロムは僕へと視線を向け、視線が交わる。
深紅の瞳が考えるように数度瞬いたかと思うと、その視線はティグレへと戻る。
そして、シュロムはティグレと視線を合わせるように片膝をついた。
「そうか。なら、ディロスからも言われたと思うが……軍人とは時に命を奪う。そして、いずれお前は王族軍人として、部下の命を背負わねばならない」
ゆっくりと、そして丁寧にティグレへと語るシュロムの表情は、父親としてのものでもあり、王としてのものでもある。
「俺が王として国民の命を背負っているのと同じように……いや、それ以上の命を背負う事になる。父であり王である俺を。兄であり王になるであろうイデアルを。そして、ディロスやアグノスの命すらも」
真剣なシュロムの表情にティグレも真剣な表情でシュロムを見据えていた。
「そして、イデアルが王太子としての期間に子を成せなかった場合……お前が王として国を背負う可能性もある」
基本的には第一王子が王太子となり、王となるが……定められた期間内に子が成せなかった場合、王として不適格とされ、廃太子される。
僕の知る未来では、イデアルは問題なく王としての務めを果たせるが……すでにここは僕の知る通りになるとは限らない世界。
未来の事なんて何もわからないのとかわらなかった。
視線を向ければ、扉の近くの侍従が対応しているのが見えた。
「シュロム陛下のお帰りです」
こちらへと向き直った侍従が声を張り上げ、それと同時に扉が開く。
その向こうには、シュロムがロンとメリーを連れて立っていた。
「父上! おかえりなさい!」
僕の隣に座っていたティグレが長椅子から飛び降り、シュロムへと駆けていく。
「おかえりなさい父上」
ティグレを追ったイデアルを見送りながら、僕は立てずじまいのままアグノスの頭を撫でた。
「ただいま」
ティグレとイデアルの頭を撫でていたシュロムだけど、アグノスの様子に軽く首を傾げる。
「……アグノスはどうしたんだ?」
「おかえり。ちょっとね……僕が離宮にいないのは、初めてだったからか……寂しかったみたい」
ティグレを連れて、近づいてきたシュロムに苦笑しながら答える。
「そうか……アグノス」
僕にベッタリなアグノスにシュロムが呼びかければ、アグノスはほんの少しだけ視線を上げた。
「……ん」
「今日は、留守番できて偉かったな」
「ん……」
頭を撫でてもらえたからか僕に張りつきながらも、アグノスは小さく頷く。
「もちろん、ティグレもだ」
アグノスの頭を撫でたシュロムが続けてティグレの頭を撫でた。
「へへっ……!」
頭を撫でられて照れくさそうなティグレだけど、やはりシュロム褒められるのは嬉しいのか誇らしげに笑う。
「イデアルもよく務めを果たした。夕食の席でどんな茶会になったのか聞かせてくれ」
「はい」
シュロムに肩を叩かれたイデアルは、引き締まった顔で頷きながらもその頬には笑みが浮かんでいた。
その笑みにいっぱい頑張ったし、褒めてもらえるといいねと僕の頬にも笑みが浮かんだ。
「父上、父上!」
シュロムが帰ってきてからウズウズしていたティグレだったが……ついに堪えられなくなったのかシュロムの手を取りながら、シュロムを見上げる。
「どうしたティグレ」
キラキラ輝くティグレの瞳に柔らかく微笑んでいたシュロムだけど、次の言葉に真剣な表情に変わった。
「俺、軍人になりたいんです! みんなを守れるようになるために! どうやったらなれますか!」
「……ティグレは、軍人になりたいんだな」
「はい!」
ティグレの言葉にシュロムは僕へと視線を向け、視線が交わる。
深紅の瞳が考えるように数度瞬いたかと思うと、その視線はティグレへと戻る。
そして、シュロムはティグレと視線を合わせるように片膝をついた。
「そうか。なら、ディロスからも言われたと思うが……軍人とは時に命を奪う。そして、いずれお前は王族軍人として、部下の命を背負わねばならない」
ゆっくりと、そして丁寧にティグレへと語るシュロムの表情は、父親としてのものでもあり、王としてのものでもある。
「俺が王として国民の命を背負っているのと同じように……いや、それ以上の命を背負う事になる。父であり王である俺を。兄であり王になるであろうイデアルを。そして、ディロスやアグノスの命すらも」
真剣なシュロムの表情にティグレも真剣な表情でシュロムを見据えていた。
「そして、イデアルが王太子としての期間に子を成せなかった場合……お前が王として国を背負う可能性もある」
基本的には第一王子が王太子となり、王となるが……定められた期間内に子が成せなかった場合、王として不適格とされ、廃太子される。
僕の知る未来では、イデアルは問題なく王としての務めを果たせるが……すでにここは僕の知る通りになるとは限らない世界。
未来の事なんて何もわからないのとかわらなかった。
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