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本編
14:魔王城が静かな理由
「そうか……なら、お前の好きなだけいるといい」
特に俺の真意を問いただすことなく、ヒルドがそう返してくれる。
「……ありがとう」
それが嬉しくて、自然と笑みがこぼれた。
ヒルドは、優しい。この短時間でもわかるくらいには。
その優しさが、まるでそこのない沼のようにも思える。それこそ、取り込まれた時のヒルドの体内のように。
「でも、世話になるの迷惑じゃない?」
「ヒカル一人増えたところでどうということはない。今は……勇者襲来という事で人払いしているが、この城を維持する為の人員もいるからな」
「あ、デカイ城なのに人いなかったのはそういう事だったんだ?」
言いにくそうに呟いたヒルドに、どうりで何事もなくヒルドの元にたどり着いたのだと納得する。
ゲームとかだと、魔王城って強いモンスターしかいない印象だったのにもぬけの殻だったんだよな。
「母からヒカルの強さは伝えられていたし、我以外が退治すると無駄な犠牲が出る。非戦闘員は退避させ、血気盛んな者達も皆強制的に封印してある」
……封印って。身内に容赦ないな。
「封印とかして大丈夫なのか?」
「突っかかって来るだろうが、叩きのめせば良い。魔族は強い者が正義だ」
あ、そういうところは脳筋思考なんだ。
紳士的なヒルドの魔族らしい一面を知って、そのギャップにときめく。
たぶん、どんな一面が繰り出されてもときめく自信があるけども。
「じゃあ、俺も喧嘩売られたりする?」
「まあ、多少は……。だが、気に入らなければ無視して構わん。ヒカルの分も我が請け負おう」
「それは……ちょっと申し訳ないというか……」
戦うとスイッチ入っちゃうから、あんまり戦いたくないではあるんだけど……だからといって、ヒルドに戦ってもらうのも違うと思う。
「気にしなくてもいいのだがな」
ヒルドが苦笑したように呟く。
「まあ、絡まれたら我でも、母にでも言うといい。母もあれで、魔族では我に次ぐ強さの者だ。無法者の躾には長けている」
あの性格でも、ヒルドを育て上げてんだからそりゃ強いだろうな。
仲間として戦ってたけど、底が見えねぇ人だったし。
「もちろん、それ以外にも困った事があれば、いつでも尋ねるといい。我も、母もいつでも答えよう」
めちゃくちゃ甘やかされてるなぁ。と、思うけど……その心遣いは嬉しい。
異世界生活には慣れたけど、ここでの……魔族領での暮らしは何もしらないからだ。
「何から何までありがとな。……でも、いつでもってのは、無理じゃないか?」
夜に訪ねるってのは、迷惑だし……好きなヤツにそこまでの負担かけたくもないし……。
そんな事を思っていると、ヒルドは部屋の奥を指差した。
「あそこに扉があるだろう」
今まで気づいていなかったが、指差された方向を見ると部屋の奥にひっそりと扉がある。
いや、改めて部屋を見渡すと、いくつか扉があった。俺、どれだけヒルドしか見てなかったんだろう……。
「……あるな」
「我の私室に繋がっている扉だ」
自分の盲目さを反省しながら、ヒルドの言葉に頷けば予想外の言葉が飛んできた。
特に俺の真意を問いただすことなく、ヒルドがそう返してくれる。
「……ありがとう」
それが嬉しくて、自然と笑みがこぼれた。
ヒルドは、優しい。この短時間でもわかるくらいには。
その優しさが、まるでそこのない沼のようにも思える。それこそ、取り込まれた時のヒルドの体内のように。
「でも、世話になるの迷惑じゃない?」
「ヒカル一人増えたところでどうということはない。今は……勇者襲来という事で人払いしているが、この城を維持する為の人員もいるからな」
「あ、デカイ城なのに人いなかったのはそういう事だったんだ?」
言いにくそうに呟いたヒルドに、どうりで何事もなくヒルドの元にたどり着いたのだと納得する。
ゲームとかだと、魔王城って強いモンスターしかいない印象だったのにもぬけの殻だったんだよな。
「母からヒカルの強さは伝えられていたし、我以外が退治すると無駄な犠牲が出る。非戦闘員は退避させ、血気盛んな者達も皆強制的に封印してある」
……封印って。身内に容赦ないな。
「封印とかして大丈夫なのか?」
「突っかかって来るだろうが、叩きのめせば良い。魔族は強い者が正義だ」
あ、そういうところは脳筋思考なんだ。
紳士的なヒルドの魔族らしい一面を知って、そのギャップにときめく。
たぶん、どんな一面が繰り出されてもときめく自信があるけども。
「じゃあ、俺も喧嘩売られたりする?」
「まあ、多少は……。だが、気に入らなければ無視して構わん。ヒカルの分も我が請け負おう」
「それは……ちょっと申し訳ないというか……」
戦うとスイッチ入っちゃうから、あんまり戦いたくないではあるんだけど……だからといって、ヒルドに戦ってもらうのも違うと思う。
「気にしなくてもいいのだがな」
ヒルドが苦笑したように呟く。
「まあ、絡まれたら我でも、母にでも言うといい。母もあれで、魔族では我に次ぐ強さの者だ。無法者の躾には長けている」
あの性格でも、ヒルドを育て上げてんだからそりゃ強いだろうな。
仲間として戦ってたけど、底が見えねぇ人だったし。
「もちろん、それ以外にも困った事があれば、いつでも尋ねるといい。我も、母もいつでも答えよう」
めちゃくちゃ甘やかされてるなぁ。と、思うけど……その心遣いは嬉しい。
異世界生活には慣れたけど、ここでの……魔族領での暮らしは何もしらないからだ。
「何から何までありがとな。……でも、いつでもってのは、無理じゃないか?」
夜に訪ねるってのは、迷惑だし……好きなヤツにそこまでの負担かけたくもないし……。
そんな事を思っていると、ヒルドは部屋の奥を指差した。
「あそこに扉があるだろう」
今まで気づいていなかったが、指差された方向を見ると部屋の奥にひっそりと扉がある。
いや、改めて部屋を見渡すと、いくつか扉があった。俺、どれだけヒルドしか見てなかったんだろう……。
「……あるな」
「我の私室に繋がっている扉だ」
自分の盲目さを反省しながら、ヒルドの言葉に頷けば予想外の言葉が飛んできた。
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