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二章:二度目の幽世
20:弄る透明な手
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肌を粟立てながら、渉が叫ぶ。
「嫌だっ!やめろっ!やめろってばっ!」
動かない体、得体のしれない見えない何かに好きにされる恐怖。
抵抗できない渉の耳を嬲る唇は、耳の裏側から徐々に横の縁をなぞるように動き、ついには耳の表へとたどり着いた。
「ひぃいいいいいっ⁉」
外耳を確かめるように、べろりと何かが舐めるように動く。湿るどころか、濡れているといってもいいような感覚。渉は、頭で考えるより先に舌で舐められた事を察した。
「やだっ!気持ち悪い!気持ち悪いっ!」
あまりの嫌悪感に叫び、拒絶するが、それでも見えない何かは気にする事もなく渉の耳を嬲る。
「いやっ!やめろっ!やだぁっ!」
耳を舐められる気持ち悪さに叫ぶ渉。そんな渉を楽しむかのように、見えない何かは、耳以外にも渉の体へとその魔の手を伸ばした。
「ひっ⁉」
後ろから回された手のようなもので首を掴まれ、服の中には、もう片方の手のようなものが入り込む。
その動きに、この見えない何かが自分に性的な欲求を持っているのだという事を察し、今までとは違う生理的嫌悪感に渉は苛まれた。
「やめろって!やだ、やだっ!だれかっ!助けてっ!」
見えない何かに犯されるという恐怖。それは、純粋な霊的な怖さだけではなく、自身の体を穢されるという生理的な嫌悪感を感じる恐怖も合わさり、半ば正気を捨てたように渉はなりふり構わず叫んだ。
しかし、既にここは現世とは隔離された場所。渉の声に反応する姿はない。このまま見えない何かに犯されるという恐怖に渉は涙した。
「助けてっ……!助けて!」
涙で滲む視界。涙の向こうには、前回助けてくれた男のいる神社が映っている。
叫べば、男に聞こえるのではないかという淡い期待のもとに渉は叫んだ。
「助けて!お狐様!」
男の名前はわからない。わからないから呼べる名称なんて今叫んだ言葉しか渉にはなかった。
「助けて!っ、んんんっ⁉」
叫び続ける渉がうっとおしくなったのか、首を掴んでいた手のようなものが離れ、渉の口に指のようなものが入ってくる。
「ふぅっ⁉ううっ!んんーーーーーっ!」
口の中を三本の指のようなものでかき回される息苦しさに渉が呻く。
「んぐ……んんーーーーーっ!」
その間にも耳を舐め回す舌のような感覚は、より奥へと入り込もうと耳道の入口へと舌先をねじ込もうとし、服の中を這いまわる手は、渉の左胸の突起を押しつぶすように潰す。
(だめだ……もう、このまま、犯されるんだ……)
己を蹂躙する姿無きモノに抵抗する意思を奪われた渉は、全てを諦めるかのように自身を嬲る何かに身を任せようとした。
「嫌だっ!やめろっ!やめろってばっ!」
動かない体、得体のしれない見えない何かに好きにされる恐怖。
抵抗できない渉の耳を嬲る唇は、耳の裏側から徐々に横の縁をなぞるように動き、ついには耳の表へとたどり着いた。
「ひぃいいいいいっ⁉」
外耳を確かめるように、べろりと何かが舐めるように動く。湿るどころか、濡れているといってもいいような感覚。渉は、頭で考えるより先に舌で舐められた事を察した。
「やだっ!気持ち悪い!気持ち悪いっ!」
あまりの嫌悪感に叫び、拒絶するが、それでも見えない何かは気にする事もなく渉の耳を嬲る。
「いやっ!やめろっ!やだぁっ!」
耳を舐められる気持ち悪さに叫ぶ渉。そんな渉を楽しむかのように、見えない何かは、耳以外にも渉の体へとその魔の手を伸ばした。
「ひっ⁉」
後ろから回された手のようなもので首を掴まれ、服の中には、もう片方の手のようなものが入り込む。
その動きに、この見えない何かが自分に性的な欲求を持っているのだという事を察し、今までとは違う生理的嫌悪感に渉は苛まれた。
「やめろって!やだ、やだっ!だれかっ!助けてっ!」
見えない何かに犯されるという恐怖。それは、純粋な霊的な怖さだけではなく、自身の体を穢されるという生理的な嫌悪感を感じる恐怖も合わさり、半ば正気を捨てたように渉はなりふり構わず叫んだ。
しかし、既にここは現世とは隔離された場所。渉の声に反応する姿はない。このまま見えない何かに犯されるという恐怖に渉は涙した。
「助けてっ……!助けて!」
涙で滲む視界。涙の向こうには、前回助けてくれた男のいる神社が映っている。
叫べば、男に聞こえるのではないかという淡い期待のもとに渉は叫んだ。
「助けて!お狐様!」
男の名前はわからない。わからないから呼べる名称なんて今叫んだ言葉しか渉にはなかった。
「助けて!っ、んんんっ⁉」
叫び続ける渉がうっとおしくなったのか、首を掴んでいた手のようなものが離れ、渉の口に指のようなものが入ってくる。
「ふぅっ⁉ううっ!んんーーーーーっ!」
口の中を三本の指のようなものでかき回される息苦しさに渉が呻く。
「んぐ……んんーーーーーっ!」
その間にも耳を舐め回す舌のような感覚は、より奥へと入り込もうと耳道の入口へと舌先をねじ込もうとし、服の中を這いまわる手は、渉の左胸の突起を押しつぶすように潰す。
(だめだ……もう、このまま、犯されるんだ……)
己を蹂躙する姿無きモノに抵抗する意思を奪われた渉は、全てを諦めるかのように自身を嬲る何かに身を任せようとした。
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