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六章:夏休みとキャンプ
64:設営
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「まだ始まったばかりなんだから、あんまりキツイ物言いするなよ……」
「何度か柔らかく言っても、聞かぬおなご達だったゆえな」
「ま、お前目当てできた外部の子達だし……お客様気分なんだろうけどさ……」
元々、サークルに所属していた女子学生は、穂の事を気にしていながらも自分達の仕事をしている。
軽い荷物を運び、運ばれたサークルの荷物を整理したりと動き回っているから外部からきた学生とは、一目瞭然。
男子は、外部からきた学生も動いているからわかりづらいが、それでもサークル活動で慣れている者、慣れない者の差は見てとれた。
「渉ー。これって、サークルのだろ?どこ置く?」
「この道具はあっちに纏まってるから、あそこに置いておいて」
「渉。これは?」
「それは、あっちー」
渉も自分達の荷物は別に分け、すぐにサークルの荷物の運搬を手伝う。穂と侑士に指示を出しながら、自分も荷物を運び、戻ってきた森の案内に従い、また荷物を移す。
そして、自分達の借りたサイトに到着すると、運んだ荷物の中から設営を開始した。
「バーベキューコンロや焚き火台は中央に。大型テントは、とりあえずこっち。ループは、そのテントから続くように。個人でテント持ってきたやつは、中央から少し離れた所にいい感じに設営してくれ!」
忙しく動く男子の中、森が指示を出し、渉も自分のテントを組み立てていく。
「それが新しいやつ?」
テントを袋から取り出した渉に侑士が後ろから覗き込みながら尋ねる。
「そっ。結構いいテントだろー!」
侑士からの問いに渉は満面の笑みを浮かべながらウキウキと一人でテントを設営し始めた。
「四人用で大きいんだけどさ。やっぱり広々と使えるテントって憧れるじゃん?一人用や二人用のテントもいいんだけど、でっかいテントはでっかいテントでいいんだよ!」
初めて組み立てるテントではあったが、説明書を読み込んだ渉はテキパキと組み立てていく。
「て、手伝う隙がねぇ……」
「生き生きとしておるな」
普段とは、比べ物にならないほどに高い渉のテンションに侑士は引き、穂は駆け回る子供を見守るような笑みを浮かべている。
「支柱もさ!中央に立てるタイプじゃなくて、外郭のタイプだから広々してて寝やすいし、側面に窓とメッシュの網もあるから風通しだっていい!でも、雨よけ用のカバーだってしっかりしたやつだから濡れにくいんだ!」
嬉々と語りながら、テントを組み立て終わった渉は、次はテントの床に敷くマットを取り出す。
「で、これ!地面の石をどれだけ退かしてもテントに直接寝袋で寝ると体痛くなったりするんだけど、これ敷くといい感じになるんだよ!俺は、無くてもいいけど、侑士と穂はなれてないだろ!どうせなら快適に過ごしてもらおうと思って新しく買ってさー!」
「いや、お前……それ、俺達理由に新しい道具買っただけだろ……」
「あははははははっ!」
マットについて語り出した渉に侑士がツッコミを入れれば、渉は視線をそらしながら笑う。
「その笑い方そうだって言ってるようなもんだからな?」
「まあまあ、寝たら俺の判断が間違ってなかったってわかるって!」
いぶかしげに渉を見る侑士に、渉は逃げるようにテントに入り、マットを敷きに行く。そんな二人のじゃれあいを穂は微笑ましく見ていた。
「何度か柔らかく言っても、聞かぬおなご達だったゆえな」
「ま、お前目当てできた外部の子達だし……お客様気分なんだろうけどさ……」
元々、サークルに所属していた女子学生は、穂の事を気にしていながらも自分達の仕事をしている。
軽い荷物を運び、運ばれたサークルの荷物を整理したりと動き回っているから外部からきた学生とは、一目瞭然。
男子は、外部からきた学生も動いているからわかりづらいが、それでもサークル活動で慣れている者、慣れない者の差は見てとれた。
「渉ー。これって、サークルのだろ?どこ置く?」
「この道具はあっちに纏まってるから、あそこに置いておいて」
「渉。これは?」
「それは、あっちー」
渉も自分達の荷物は別に分け、すぐにサークルの荷物の運搬を手伝う。穂と侑士に指示を出しながら、自分も荷物を運び、戻ってきた森の案内に従い、また荷物を移す。
そして、自分達の借りたサイトに到着すると、運んだ荷物の中から設営を開始した。
「バーベキューコンロや焚き火台は中央に。大型テントは、とりあえずこっち。ループは、そのテントから続くように。個人でテント持ってきたやつは、中央から少し離れた所にいい感じに設営してくれ!」
忙しく動く男子の中、森が指示を出し、渉も自分のテントを組み立てていく。
「それが新しいやつ?」
テントを袋から取り出した渉に侑士が後ろから覗き込みながら尋ねる。
「そっ。結構いいテントだろー!」
侑士からの問いに渉は満面の笑みを浮かべながらウキウキと一人でテントを設営し始めた。
「四人用で大きいんだけどさ。やっぱり広々と使えるテントって憧れるじゃん?一人用や二人用のテントもいいんだけど、でっかいテントはでっかいテントでいいんだよ!」
初めて組み立てるテントではあったが、説明書を読み込んだ渉はテキパキと組み立てていく。
「て、手伝う隙がねぇ……」
「生き生きとしておるな」
普段とは、比べ物にならないほどに高い渉のテンションに侑士は引き、穂は駆け回る子供を見守るような笑みを浮かべている。
「支柱もさ!中央に立てるタイプじゃなくて、外郭のタイプだから広々してて寝やすいし、側面に窓とメッシュの網もあるから風通しだっていい!でも、雨よけ用のカバーだってしっかりしたやつだから濡れにくいんだ!」
嬉々と語りながら、テントを組み立て終わった渉は、次はテントの床に敷くマットを取り出す。
「で、これ!地面の石をどれだけ退かしてもテントに直接寝袋で寝ると体痛くなったりするんだけど、これ敷くといい感じになるんだよ!俺は、無くてもいいけど、侑士と穂はなれてないだろ!どうせなら快適に過ごしてもらおうと思って新しく買ってさー!」
「いや、お前……それ、俺達理由に新しい道具買っただけだろ……」
「あははははははっ!」
マットについて語り出した渉に侑士がツッコミを入れれば、渉は視線をそらしながら笑う。
「その笑い方そうだって言ってるようなもんだからな?」
「まあまあ、寝たら俺の判断が間違ってなかったってわかるって!」
いぶかしげに渉を見る侑士に、渉は逃げるようにテントに入り、マットを敷きに行く。そんな二人のじゃれあいを穂は微笑ましく見ていた。
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