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神子の大神殿での日々
十六話
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その日は朝からソワソワしていた。なぜなら、俺の学園入学までの間の学友として、シオンが、シオンが、正式に選ばれたからだ。
正直、俺が神子になった事でレックス王子との婚約が白紙になった為に、初期好感度が低めのシオンが選ばれたのは謎過ぎるのだが、選ばれてしまったからには覚悟を決めて満喫するしかない!
なぜなら、原作時代ですら美少年だったシオン。幼い今だったら、まさに絶世の美少年で間違いない。それを楽しまず何が原作ファンか!
そんな事を考えながら上位区画の空き部屋を改装した応接室でシオンを待つ。俺は、大神殿から出られないし、俺の部屋に入れるのも警備的な問題でダメ。
本来は、神官でないシオンを神殿の移住区に入れる事すらダメなんだけど、俺を参拝者が通りかかる区域に連れていく方が問題になるらしい。
まあ、大神殿の奥で静かに暮らしてるのが望まれるからな。
今回の対応も特例中の特例なのだ。
そんな特別な部屋でソワソワしながら、保護者であるナザール様とお供で付いてくれているリアンと一緒に過ごす。
というか、時間が長く感じてダメだ。本当に落ち着かない。
ソファーに座って待つように言われてなければ、ソワソワ歩き回っていたと思う。
「リヴァレ侯爵とご子息をお連れしました」
扉の向こうからお客様である二人を案内してきたのであろう神官の声が聞こえ、体が緊張で固まる。
初回という事で、彼方も保護者である侯爵と一緒に来ると聞いていたが、今。あの扉の向こうに推しの一人がいる。
可愛くてかっこよくて面倒見のいいお人好し系小悪魔なシオンがいるのだ。
早鐘が鳴るように鼓動する心臓。手に滲む汗。緊張が極限に達したその時……扉が開いた。
黒髪ナイスミドルの後ろから入ってくる紅顔の美少年……。
艶やかな黒髪はまさに星空が煌めく夜空のようで、さらりと揺れる長さで揃えられていた。
切り揃えられた前髪の下には形のよい眉毛とパッチリとしたネコ目に愛らしい桃色の瞳が収まっている。
透けるような白い肌をしているのに頬は血色がよく、小さな唇も鮮やかな色をしていてまさに芸術品と称えたいほどの存在がそこにいた。
「よくぞおいでくださいました、リヴァレ侯爵。そして、シオン様」
「王宮からの要請であったからな」
ナザール様とリヴァレ侯爵が言葉を交わしている間、俺とシオンは静かに佇んでいる。
でも、俺の正面座るように促されたシオンはまっすぐに俺へと視線を向けていた。
まずい。これはまずい。心臓がハチ切れそうだ。
美形は絶世の美男であるレオーレ様で慣れたと思ったのに、推しは推しで別の圧がある。
記憶にあるより幼い推しの威力足るや意識をとどめるのがやっとなほどに。
「ルカ様」
ナザール様が二人へと俺の紹介を終え、自ら挨拶をするように促すべく俺の名前を呼ぶ。
「る、ルカです……」
なんとか、声を絞りだし名乗るがそれが精一杯だった。
俺の名乗りを聞いたシオンがそれだけか?と言うように、眉を寄せる。
あ、そんな表情もいい。
何もかも限界に達しつつある自分を感じながら、目の前にいるシオンの唇が動いた。
「シオンです。本日より神子様の友人となるよう申し付けられました」
淡々とした言葉に、義務的なものを感じる。隣にいるリヴァレ侯爵も少し表情を歪めているあたり、義務的なシオンを咎めたい気持ちがあるのだろう。
でも、そんな事はどうでもいい。推しの……推しの生声っ!
声変わり前の!推しの!生声っ!
軽やかなボーイソプラノは、聞き心地がよく、その澄んだ響きに全てが祝福されたような気がした。
「よ、よろしくお願いします。シオン……」
強ばる体のまま、テーブル越しに手を伸ばして握手を求めてみれば、渋々といった様子で手を握り返してくれる。
貴族子息というような柔らかで細い指。まだふっくらとした手のひら。そして、子供特有の子供体温。
何もかもが素晴らしい。素晴らしすぎた。
「あなたに神の祝福があることを……」
幼いシオンに出会えた奇跡に感謝しながら、祈りを捧げれば、いつも以上に眩い光が部屋を包む。
それと同時に全ての限界を超えた俺の意識は、途切れたのだった。
正直、俺が神子になった事でレックス王子との婚約が白紙になった為に、初期好感度が低めのシオンが選ばれたのは謎過ぎるのだが、選ばれてしまったからには覚悟を決めて満喫するしかない!
なぜなら、原作時代ですら美少年だったシオン。幼い今だったら、まさに絶世の美少年で間違いない。それを楽しまず何が原作ファンか!
そんな事を考えながら上位区画の空き部屋を改装した応接室でシオンを待つ。俺は、大神殿から出られないし、俺の部屋に入れるのも警備的な問題でダメ。
本来は、神官でないシオンを神殿の移住区に入れる事すらダメなんだけど、俺を参拝者が通りかかる区域に連れていく方が問題になるらしい。
まあ、大神殿の奥で静かに暮らしてるのが望まれるからな。
今回の対応も特例中の特例なのだ。
そんな特別な部屋でソワソワしながら、保護者であるナザール様とお供で付いてくれているリアンと一緒に過ごす。
というか、時間が長く感じてダメだ。本当に落ち着かない。
ソファーに座って待つように言われてなければ、ソワソワ歩き回っていたと思う。
「リヴァレ侯爵とご子息をお連れしました」
扉の向こうからお客様である二人を案内してきたのであろう神官の声が聞こえ、体が緊張で固まる。
初回という事で、彼方も保護者である侯爵と一緒に来ると聞いていたが、今。あの扉の向こうに推しの一人がいる。
可愛くてかっこよくて面倒見のいいお人好し系小悪魔なシオンがいるのだ。
早鐘が鳴るように鼓動する心臓。手に滲む汗。緊張が極限に達したその時……扉が開いた。
黒髪ナイスミドルの後ろから入ってくる紅顔の美少年……。
艶やかな黒髪はまさに星空が煌めく夜空のようで、さらりと揺れる長さで揃えられていた。
切り揃えられた前髪の下には形のよい眉毛とパッチリとしたネコ目に愛らしい桃色の瞳が収まっている。
透けるような白い肌をしているのに頬は血色がよく、小さな唇も鮮やかな色をしていてまさに芸術品と称えたいほどの存在がそこにいた。
「よくぞおいでくださいました、リヴァレ侯爵。そして、シオン様」
「王宮からの要請であったからな」
ナザール様とリヴァレ侯爵が言葉を交わしている間、俺とシオンは静かに佇んでいる。
でも、俺の正面座るように促されたシオンはまっすぐに俺へと視線を向けていた。
まずい。これはまずい。心臓がハチ切れそうだ。
美形は絶世の美男であるレオーレ様で慣れたと思ったのに、推しは推しで別の圧がある。
記憶にあるより幼い推しの威力足るや意識をとどめるのがやっとなほどに。
「ルカ様」
ナザール様が二人へと俺の紹介を終え、自ら挨拶をするように促すべく俺の名前を呼ぶ。
「る、ルカです……」
なんとか、声を絞りだし名乗るがそれが精一杯だった。
俺の名乗りを聞いたシオンがそれだけか?と言うように、眉を寄せる。
あ、そんな表情もいい。
何もかも限界に達しつつある自分を感じながら、目の前にいるシオンの唇が動いた。
「シオンです。本日より神子様の友人となるよう申し付けられました」
淡々とした言葉に、義務的なものを感じる。隣にいるリヴァレ侯爵も少し表情を歪めているあたり、義務的なシオンを咎めたい気持ちがあるのだろう。
でも、そんな事はどうでもいい。推しの……推しの生声っ!
声変わり前の!推しの!生声っ!
軽やかなボーイソプラノは、聞き心地がよく、その澄んだ響きに全てが祝福されたような気がした。
「よ、よろしくお願いします。シオン……」
強ばる体のまま、テーブル越しに手を伸ばして握手を求めてみれば、渋々といった様子で手を握り返してくれる。
貴族子息というような柔らかで細い指。まだふっくらとした手のひら。そして、子供特有の子供体温。
何もかもが素晴らしい。素晴らしすぎた。
「あなたに神の祝福があることを……」
幼いシオンに出会えた奇跡に感謝しながら、祈りを捧げれば、いつも以上に眩い光が部屋を包む。
それと同時に全ての限界を超えた俺の意識は、途切れたのだった。
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