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「そう……そうなんだね」
はっきりと告げたからか、アデル様が驚いたように目を見開き、ぽつりと呟く。
「君は、本当に若いのに自分を持っているね」
「若いからこそじゃないですか? アデル様のご子息もそうですし」
アレと一緒にはされたくないが、自我の強さを言うのなら、アレが一番だと思う。次にうちの妹。どちらも悪いタイプのものではあるけども……。
大人しいと思うのは、夜会で知り合った下位貴族の跡取り以外の子息令嬢だと思う。たまに自我のあるのかって思うし……。
私は、その中間あたりだと思う。客観的に見ても。
「確かに……あの子は自分があるのかもね」
悲しそうに表情を曇らせたアデル様にあのドラ息子を話題に出したのは失敗だったと内心苦い顔をする。
曇り顔も悪くはないと言うか、憂いを帯びた儚さがあるからいいけど……どうせなら穏やかに微笑む顔が好きなんだよね。
なので、話を切り換えよう。
「ちなみに……アデル様の若い頃はどのような感じだったのですか?」
「私かい? どこにでもいるような子爵家の三男だったと思うよ」
そういえば、アデル様のご実家は子爵家だった。
私の家に比べたら爵位も上だし、代々続く家だ。でも、下位貴族。
アデル様の自信の無さそうな所とか、私の思う下位貴族の跡取り以外の特徴バッチリだったわ。それすら、愛おしいと思うあたり恋の病は重症だけど。
「そうなんですね。でも、お若い時のアデル様も美しかったのでしょうね」
「ふふっ、そんな事ないと思うよ。君は、よく私を褒めてくれるよね。こんなにも年の差があるのに」
「それはもう、アデル様は私の目には輝いて見えますから!」
キラキラと輝くガラス細工は綺麗なものだ。
ギラギラと輝く品のない黄金像……ドラ息子やごてごてに飾られた宝石のオブジェ……うちの妹。とかより美しいと思う。
「本当に……不思議な子だなぁ」
胸を張る私にくすくすと笑うアデル様。
笑ってもらえるなら多少の道化にもなりましょう。
乙女心よりも、愛おしい人の笑顔が全てです!
「その、私の若い時の姿……前の妻と描かれているものならあるはずだけど……見るかい?」
「見ます!」
控えめに尋ねてきたアデル様の言葉に食いぎみに返事をする。
前妻がなんだ。好きな人の肖像画ならいくらでもみたいわ!
「それじゃあ、探してもらっておくよ。確か、領地の館にもあったはずだから」
「はい! 楽しみにしています!」
やった! アデル様の若い時の姿が見れる! 領地に到着するのが楽しみだ!
「っと……少し長く話してしまったね」
いつもより長く話していた事に気づいたアデル様に、内心悔しくなる。
もっと話しておきたかったのに……でも、アデル様を疲れさせるのは本意ではないので諦めるとしよう。
「今日はもう、おやすみ。明日また話そう」
「……はい、おやすみなさいアデル様。いい夢を」
「ありがとうエリス。君もいい夢を」
穏やかに笑うアデル様を目に焼きつけて見送る。
はぁ……明日が待ち遠しい……。
はっきりと告げたからか、アデル様が驚いたように目を見開き、ぽつりと呟く。
「君は、本当に若いのに自分を持っているね」
「若いからこそじゃないですか? アデル様のご子息もそうですし」
アレと一緒にはされたくないが、自我の強さを言うのなら、アレが一番だと思う。次にうちの妹。どちらも悪いタイプのものではあるけども……。
大人しいと思うのは、夜会で知り合った下位貴族の跡取り以外の子息令嬢だと思う。たまに自我のあるのかって思うし……。
私は、その中間あたりだと思う。客観的に見ても。
「確かに……あの子は自分があるのかもね」
悲しそうに表情を曇らせたアデル様にあのドラ息子を話題に出したのは失敗だったと内心苦い顔をする。
曇り顔も悪くはないと言うか、憂いを帯びた儚さがあるからいいけど……どうせなら穏やかに微笑む顔が好きなんだよね。
なので、話を切り換えよう。
「ちなみに……アデル様の若い頃はどのような感じだったのですか?」
「私かい? どこにでもいるような子爵家の三男だったと思うよ」
そういえば、アデル様のご実家は子爵家だった。
私の家に比べたら爵位も上だし、代々続く家だ。でも、下位貴族。
アデル様の自信の無さそうな所とか、私の思う下位貴族の跡取り以外の特徴バッチリだったわ。それすら、愛おしいと思うあたり恋の病は重症だけど。
「そうなんですね。でも、お若い時のアデル様も美しかったのでしょうね」
「ふふっ、そんな事ないと思うよ。君は、よく私を褒めてくれるよね。こんなにも年の差があるのに」
「それはもう、アデル様は私の目には輝いて見えますから!」
キラキラと輝くガラス細工は綺麗なものだ。
ギラギラと輝く品のない黄金像……ドラ息子やごてごてに飾られた宝石のオブジェ……うちの妹。とかより美しいと思う。
「本当に……不思議な子だなぁ」
胸を張る私にくすくすと笑うアデル様。
笑ってもらえるなら多少の道化にもなりましょう。
乙女心よりも、愛おしい人の笑顔が全てです!
「その、私の若い時の姿……前の妻と描かれているものならあるはずだけど……見るかい?」
「見ます!」
控えめに尋ねてきたアデル様の言葉に食いぎみに返事をする。
前妻がなんだ。好きな人の肖像画ならいくらでもみたいわ!
「それじゃあ、探してもらっておくよ。確か、領地の館にもあったはずだから」
「はい! 楽しみにしています!」
やった! アデル様の若い時の姿が見れる! 領地に到着するのが楽しみだ!
「っと……少し長く話してしまったね」
いつもより長く話していた事に気づいたアデル様に、内心悔しくなる。
もっと話しておきたかったのに……でも、アデル様を疲れさせるのは本意ではないので諦めるとしよう。
「今日はもう、おやすみ。明日また話そう」
「……はい、おやすみなさいアデル様。いい夢を」
「ありがとうエリス。君もいい夢を」
穏やかに笑うアデル様を目に焼きつけて見送る。
はぁ……明日が待ち遠しい……。
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*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです
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