玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす

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第4章 エルセニム国のおてんば姫

第4章第014話 お前たちの企みはもうバレいている!

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第4章第014話 お前たちの企みはもうバレいている!

・Side:ツキシマ・レイコ

 狙いはネイルコード国の拠点か?ローザリンテ殿下か?ダーコラ国軍!。
 私は拠点を出て、ダーコラ国軍が隠れ蓑にしている林を迂回して、ダーコラ国軍とおぼしき横列の前にレッドさんを頭に乗せて登場します。レッドさんには、羽を広げての索敵モードのままで、頭の後ろにしがみついています。良い威圧にもなりますしね。

 「私はツキシマ・レイコ! ネイルコード国ローザリンテ王妃殿下の護衛としてここに来ています。この先には、ローザリンテ殿下滞在のための拠点がありますが。軍勢を揃えての訪問の意図を聞かせてください!」

 借りてきた小さめのメガホンで、できるだけ大声で喧伝します。

 「なっ? なんだあの娘は?」

 「あっ! あれは小竜様っ! それに巫女様っ! オレ、この前ネイルコードとの国境に行ったときに見たぞ!」

 国境紛争の時にあそこにいた兵隊さんもいるようですね。目の前に布陣しているのはダーコラ国の軍ってことで確定です。

 「わ…我々は、ダーコラ国軍である!。エルセニム人の反抗組織がネイルコード国の陣を襲撃するとの情報を得たので、助力に来ただけで…」

 指揮官らしき騎士がしどろもどろです。いつぞやのと同じ赤い鎧を着ていますね。ご同輩でしょぅか?

 「ダーコラ国側が、そのエルセニム人反抗組織にマーリア姫の情報を故意に流してネイルコード国の陣地を襲撃させようとしたことは、もうバレています」

 状況証拠だけですけどね。ここははったりです。周囲の兵にも聞こえるように大声で話します。

 「さて、そこまではバレているのですが。あなたたちは、ネイルコード国軍を囮にしてエルセニム人の反抗組織を倒すのですか? それとも、反抗組織が襲っている隙に付け込んで、ローザリンテ殿下に手を出すつもりですか? それとも両方?」

 「ぐ…そんな根も葉もないことを!」

 目的はどうあれ、ダーコラ国側の謀で反抗組織にネイルコード国拠点を襲撃させたということがバレている時点で一大事です。再度、状況証拠だけですけどね。ただまぁ実際にダーコラ国軍が来ている以上、ネイルコード国とダーコラ国間の開戦理由には十分でしょう。
 ネイルコード国に嫌がらせはできても、本気で戦争ともなれば勝てないことくらいは理解している…いますよね? もうそろそろ嫌がらせでしたでは済まないですよ?

 まぁ、まだここで引き返せば、エルセニム人側の動きについては疑念は残るものの、ダーコラ国は助けに来たで押し通せるかもしれませんが。さてどう出るでしょうか?

 「ええぃ! こんな小娘がほざいていることが何の証拠になる! 王妃ローザリンテを確保してしまえば、何とでもなるわ!」

 うわっ。自分で白状してしまいましたよ、この人。
 …その指揮官の足元にレイコ・ガンをパスン! 地面の水分が瞬間沸騰してポンっ!と破裂します。

 「ひぃっ!!」

 ついでに。人が居ないことを確認してから近くの丘に最小出力でレイコ・バスターをパスン!
 ドコンッと丘の斜面が爆発します。

 「わーっ! やっぱり無理だ! 巫女様がついているネイルコードに勝てる訳ねぇ!」

 一部の兵達が逃げ出します。…ダーコラ国軍では、徴兵した兵の率が八割とか言ってましたっけ?
 逃げないのは良く訓練されたダーコラ兵だ…ってより、後を考えると家族がいる人は逃げるに逃げられないんでしょうかね。

 「どうします? 本当にやりますか?」

 「こんなマナ術だけの小娘に臆して引けるか!」

 赤い鎧の指揮官が斬りかかってきまました。生身なら斬れるとか思ったようですが。ここは毎度の三点セットで。
 剣を受けて握り割り。手首を握り砕き。逆膝かっくん。

 「ぎゃーっ! 腕が!脚がーーーっ!」

 「さて。指揮官さんは戦闘不能ですけど、どうしますか?」

 赤くはないけど、側にいたけっこう立派な鎧を着た騎士に聞きます。士官さんかな? まぁ赤い鎧だけがトップにいても、軍は回らないでしょぅから、それなりに優秀な人が付いているとは思いますが。

 「し…シターリ指揮官は戦闘不能になられた! 私が代理で指揮を執る! 本作戦は続行不可能と見なして転進する! 各隊準備せよ」

 「ちょっと待ってください。ネイルコード国王妃の陣を襲撃しようとして、それだけで済むわけないでしょう?」

 「ぐ…しかし…」

 「とはいえ、これだけの人数を捕虜にするのも面倒なので。その赤い鎧の人だけ置いてってください」

 「えっ?」

 口を滑らしたのはのその指揮官だけですし。ダーコラ国軍は布陣しただけで、まだ何もしていません。今の内なら、その指揮官を確保さえしておけば事は足ります。

 「まて! 俺も連れてってくれ!」

 「…シターリ指揮官殿は勇敢にも…いや無謀にも巫女様に斬りかかり、戦場で行方不明となられた。いいな!お前ら!」

 周囲の兵士達がかくかくと頷いています。

 「そ…そんな!」

 「…シターリ指揮官。あなたが国王府からどのような指示を受けていたかは知りませんが。先ほどそれを巫女様に教えてしまった上に、巫女様に斬りかかって返り討ちにあったとなれば、帰っても命があるか分りませんよ。このままネイルコード国の捕虜にでもなった方が身の安全を計れると思いますが?」

 冷静な状況分析の士官さん。やっぱ無能なのは上だけですか?ダーコラ国は。

 「っ! ううっ…」

 やっと自分の立場が分ったようですね。自爆乙ではありますけど。

 「ネイルコード国の拠点を訪れたエルセニム人の人達は、こちらで保護しているマーリア姫の無事を確認しに来ただけでなにも問題は起きていませんし。今後のことについてはネイルコード国とエルセニム国間で話し合うことですので、ダーコラ国は無関係です…ということも、上に伝えて置いて貰えますか?」

 「…承知いたしました。赤竜神の巫女様」

 転進を指揮している士官さんに伝えておきます。これ重要です。
 流石にこれが何を意味するのか、士官さんには分ったようで、苦笑しています。今回の出陣は大失敗で確定ですからね。

 んー。やっぱこのままだと、この士官さんも責任問われて危ないかも?
 士官さんの侍従から羊皮紙と筆記用具を借りて、この指揮官が目論見を私にばらした上に、私に斬りかかって返り討ちにあって、そのままネイルコード国の捕虜になったということ。さらにエルセニム国との間には問題は何もなかったということも文章にして、その士官さんに渡しました。レッドさんの拇印の蝋封付きです。これなら責任は全部このシターリとかいう指揮官に被せられるでしょう。
 安堵から涙目になっている士官さんでした。…件の指揮官は別の意味で涙目ですけどね。

 あ。一つ聞いておくことがありました。

 「この部隊にエルセニム人はいないんですか?」

 「…彼らなら、もっと北の方のエルセニム国国境の部隊に全て配置されています」

 ダーコラ国は、本当に同輩と戦わせる戦法を取っているんですね。
 ダーコラ国の兵が件の指揮官を添え木で簡単に治療したあとに簀巻きにして、それを運ぶための大八車みたいなも一台くれました。…最初は引きずっていこうかなと思いましたよ。鎧着ているのなら大丈夫でしょ?

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