玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~

やみのよからす

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第4章 エルセニム国のおてんば姫

第4章第017話 また赤い鎧の人…

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第4章第017話 また赤い鎧の人…

・Side:ツキシマ・レイコ

 エルセニム国に向かう途中、横から先発としてエルセニム人の奴隷兵士を嗾けてきたダーコラ国軍に対峙します。

 「私は、地球大使ツキシマ・レイコ! ダーコラ国軍の責任者に話があります! 出てきなさい!」

 軍勢の前に仁王立ちして叫びます。

 「子供?」

 「いや。あの黒髪、あれは赤竜神の巫女様だ! 前にネイルコード国との国境で見かけた!」

 ここでも知っている人がいるようですね。話が早いですね。
 …最初から赤竜神の巫女って言った方が通りが良いのしれませんが。さすがに自称は控えています。偽称になるんじゃ無いかとちょっと良心の呵責がね…

 重武装の兵士に護られた、これまた赤い鎧の人が出てきました。
 …なんかもう赤い鎧=馬鹿という心象しかないのですが。

 「こんなのが巫女? 黒髪のガキじゃないか」

 ね?。
 馬鹿が私を見定めるように近づいてきます。と思ったら、いきなり横ナギに斬りかかってきました。
 …本人は居合抜きのつもりでしょうが、全然遅いです。手でパシっと受け止めます。何度も服を斬られたくないですからね。勢いも大して無いので、私でも踏ん張れました。

 「なっ?!」

 「なっ?じゃないですよ。なんですかそのへなへなな斬撃は? 子供相手なら通用するとでも思ったのでしょうけど。いやそれ以前に子供相手に問答無用に斬りかかるって、どういう性格してるんですか?」

 そのまま剣を握りつぶし。逆膝かっくんの刑です。

 「ぎゃーっ!脚がーっ!」

 「いきなり斬りかかってくるなんて何考えてるんですか?! 馬鹿ですか? 馬鹿ですね? チェンジです! 次の責任者!前に出ろ!」

 語思わず尾が荒くなります。

 「ほ…ほんものの巫女様?」

 護衛の騎士達がザワつきますが。見てたなら止めろよお前ら!

 「早く前に出てこい! ぶっとばすぞっ!」

 誰が出るのかで皆が躊躇しているところ、立派な鎧を着けた人が急ぎ足でこちらにやって来ました。

 「レイコ殿!」

 なんとオルモック将軍です。

 「…オルモック将軍。…まさかオルモック将軍がエルセニム人を奴隷にして嗾けたなんてことはないですよね?」

 「いや! 私ではなく、まぁそこに転がっているやつがな… 国の法律で奴隷が認められている以上、私には意見できなかった。…私に出来ることは、食糧の配給を多少なりとも増やすことくらいだった。すまない」

 …まぁ、本気でオルモック将軍が嗾けたとか思っていないですし、将軍に責任はないのでしょうが。

 「それでも。先行した兵によって私"も"襲撃されたのは事実ですし。そこに転がっている赤い人"も"問答無用で私に斬りかかってきましたしね。ダーコラ国としてどう落とし前付けてくれるのかな~?とか」

 「く…どうすれば良いのだ?」

 「とりあえず。残っているエルセニム人とその人質を、今ここで賠償として引き渡してください」

 こちらの意図を理解して、ホッとすると同時にニヤッとするオルモック将軍。

 「なるほど、致し方ないが了解した」

 オルモック将軍がすぐに指示します。
 後方から馬車が引っ張られてきます。馬車に乗せられた檻の中のエルセニム人の人達、即どうなるという容体の人はいませんが、あまり状態は良くないようですね。
 戦闘に参加させられていたエルセニム人の人達が戻ってきて、歓声を上げて馬車に集まって来ました。馬車と馬はそのままもらえるそうなので、とりあえずマーリアちゃん達がいるところまで行って貰いますが。
 …この人達は、ここからエルセニム国に赴くよりは一旦ネイルコード国の拠点に行って貰って方が良さそうですね。


 オルモック将軍と二人きりで話がしたいと言って、従卒の人には下がって貰いました。さすがに見える範囲にはいますけど。
 そこで、私がエルセニム国に行く事とその目的をオルモック将軍に話しました。
 あ、ローザリンテ殿下の甥の話はさすがにまだ内緒ですが。エルセニム国に決起を促し国境の砦を抜いて、そのまま王宮制圧を目指すことを話します。
 まさかエルセニム国行きの途中でオルモック将軍に会うとは思いませんでした。王都からの司令で、ネイルコード国の拠点から引き返してくるエルセニム人反抗組織の迎撃を命じられて、国境の砦から出撃してきたそうです、あの赤い人が指揮して。
 国境の砦がオルモック将軍の管轄なら、話は早いです。こちらの動きを話して置くに越したこともないでしょう。…もしオルモック将軍が裏切ったら…そのときはレイコ・バスターで脅して周るしか無くなるだけかな?

 「なるほど。ネイルコード国が本腰入れるってことか。東の国境の方にも兵が詰めてきているという話は聞いていたが」

 「私としては、オルモック将軍には協力して欲しいと思っています。事が成った暁にも、ダーコラ国には優秀な軍人は必要でしょうし」

 「うーむ。…ダーコラ国ではな、軍関係の貴族は皆が王都に住むことが義務とされていてな」

 人質ですか?。これが悪手だという考えは、こちらのトップにはいないのですかね?

 「ローザリンテ殿下にもお気遣いいただいたのに申し訳ないが。さすがに私やハルバニ外相の身分では、家族を逃がせるほど監視が緩くない。申し訳ないが、今私が積極的に動くことは出来ない」

 うーん。やっぱ先に王宮を叩くしかないのかな?
 それでも、家族の安全が確保されたら協力してくれるという確約でもあります。

 「ただ、機を見て出来る範囲での協力はしよう」

 オルモック将軍は、現状に必要と言うよりは、事が終わった後のダーコラ国の立て直しに必要なのです。協力してくれというよりは、今は静観してくれるだけでいいのです。

 「はい。それだけでも十分です。…お気を付けて」

 「レイコ殿もな」

 毎度の、赤い鎧の人がやらかした旨を書面にして、オルモック将軍に渡しておきます。地球大使ツキシマ・レイコの署名入り。まぁ今回は必要になるかはタイミング的に微妙ではありますが。前にも署名したから、その辺の鑑定くらいは出来るよね? 
 エルセニム人反抗組織の追尾が上手く行かなかったと言うことで、オルモック将軍はすぐにでもエルセニム国との国境の砦に戻るそうです。多分、次にお会いするのはそこでとなりそうですね。



 「レイコ、おかえりっ!」

 オルモック将軍と別れて、マーリアちゃん達のところに戻ります。マーリアちゃんが出迎えてくれました。

 「ダーコラ国軍とは話が付きました。まぁ細かいことはともかく、あちらはもう問題ないです」

 「うん? 何もせずに引き上げていくのか?」

 アトヤック殿下が心配しています。

 「その辺の事情はおいおいということで」

 馬車に入れられていた人達は、喫緊した容体の人はいませんが体力が衰えた人ばかりで。やはりこのままエルセニム国まで連れていくのは難しそうです。あと、拠点襲撃に参加した人にもやはり怪我人が出ていたそうで。
 幸い馬車はありますし、戦わされていた人達は腕利きですので、護衛には十分でしょう。襲撃組の怪我人も含めてネイルコード国の拠点まで戻って貰うことにしました。あそこでなら保護して貰えるはずです。

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