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調整と長成
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イベント2日目。
『さあ、イベントも2日目。徐々に終盤に近づきつつある。今日あたりから激戦となる戦闘も増えることだろう。それでも、闘志を絶やさず優勝のみを目指して頑張るように。』
トイレと食事を済ませ準備万端の状態でログインした僕は宵風さんがログインするのを待っていた。
街の雰囲気は賑やかに包まれ、戦闘が始まるのをまだかまだかと待ちわびていた。
「ねぇ、ねぇあそこにいるの風車くんじゃないww」
なんというか、ぼくの人気も健在だった。
宵風さんがログインしました。
「宵風さん、今日もよろしくです」
「おいっす、よろしくねん。突然だが、始まるまで少し時間あるから武器の調整をしよう」
「わかりました」
「んじゃ、ちーっとついてきてくれや」
人ごみの中を針に糸を通すようにすり抜けていく。右に曲がり細い路地を歩く。進むにつれ人の数が減っていく。
前を歩いていた宵風さんが店の扉の前に止まった。
「ここの店がねいいんだよ」
扉を開け、階段を下におりる。
古びた店内には、店の雰囲気には合わないほどきれいに磨きがかった剣や、豪華絢爛とでもいうべき防具が所狭しと並んでいた。
「こんな店あったんだ」
「うん。古ぼけてるけどいい店なんだよねこれが」
「古ぼけて悪かったね、ねーちゃん。まぁいつもありがとさんよ」
ごっつくて、もっさいおじさん。雰囲気があるというか貫禄があるというか、腕が良さそうな感じが見ただけでわかった。
「おっちゃん、今日は調整を頼もうかと思って。」
「はいよ、調整したいのはどいつだい?」
「その子の持ってる武器なんだけどね。頼める?」
「任せときな」
「あっ、お願いします」
腰につけてた、剣を店主に渡す。
「そんな時間はかからんから、その辺でも見ときな」
「いや~仕事が早くて助かりますわ」
おっちゃん、じゃなくて店主が武器の調整をしている間店に並んだ武器とか防具とかを眺めていた。
僕の武器も決して安いわけじゃないんだけど、ここにきてこんなにもきらびやかなものを見ちゃうと、がんばりがまだまだ足りないな。なんて思ってしまう。
僕が店内を見て回ってる間にも宵風さんは、真剣に仕事をしている店主に向かって話をかけていた。
「最近どーよ、製錬の具合は」
「ぼちぼちだよ、ぼちぼち。」
「いいのできたら、いの一番に知らせてくれよ」
「そういや、この前打った剣がなかなかの出来だったよ」
「まじで?見せて見せて」
「よく見ろ、こっちは仕事中だ。終わったらな」
「そうだった。ごめんごめん」
よほどの常連なのだろうか。入り込む余地がないくらい話がスムーズに進んでいく。宵風さん、人当たりはいいんだよな。
「うっし、完成」
「おっ早いね~」
「ありがとうございます」
「お代はどっち持ちかな」
「私が一番払うよ、300ポケだっけ?」
「そうだ」
ちなみに300ポケがどれくらいかというと、出店のジャンクフードを3人分買うくらい?
ようするにそんなには高くない。まぁ調整だけだからね。
「いいですよ、僕が払うんで」
「いいんだよ、私が強引に連れてきたんだから」
「いや、でも…」
「気にしない気にしない」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
宵風さんに払ってもらい、武器の精度を確認する。刃こぼれしていた刃は研ぎ澄まされ虹色の光沢をみせ、切っ先から柄の部分まで隅々と磨き込まれていた。
「やっぱり、すごい」
「だよね、早くて正確だから文句なし!」
「嬉しい限りだね。そういえばさっきの武器のことだけど今とってくるから」
「そうだったそうだった」
店主は店の奥から一筋の剣を手に持ってきた。
手にあるそれは、他のどれとも明らかに違う輝き方をしていた。
「上物だね」
「そりゃそうさ」
「これ買うわ」
「即決かよ。ってねーちゃん近接型じゃないだろうに」
「いいのいいの」
「売れるなら構わないけどよ。1250000ポケな」
「はいよっ」
その場で買えちゃうのか。きっとやりこんでる時間が違うんだろうね。感服ですわ。
「ほいじゃ、君これも使って二刀流ね」
「え?」
「ぶっつけ本番だね、ファイトっ」
こうして、今回も無茶をすることになりそうだ。
『さあ、イベントも2日目。徐々に終盤に近づきつつある。今日あたりから激戦となる戦闘も増えることだろう。それでも、闘志を絶やさず優勝のみを目指して頑張るように。』
トイレと食事を済ませ準備万端の状態でログインした僕は宵風さんがログインするのを待っていた。
街の雰囲気は賑やかに包まれ、戦闘が始まるのをまだかまだかと待ちわびていた。
「ねぇ、ねぇあそこにいるの風車くんじゃないww」
なんというか、ぼくの人気も健在だった。
宵風さんがログインしました。
「宵風さん、今日もよろしくです」
「おいっす、よろしくねん。突然だが、始まるまで少し時間あるから武器の調整をしよう」
「わかりました」
「んじゃ、ちーっとついてきてくれや」
人ごみの中を針に糸を通すようにすり抜けていく。右に曲がり細い路地を歩く。進むにつれ人の数が減っていく。
前を歩いていた宵風さんが店の扉の前に止まった。
「ここの店がねいいんだよ」
扉を開け、階段を下におりる。
古びた店内には、店の雰囲気には合わないほどきれいに磨きがかった剣や、豪華絢爛とでもいうべき防具が所狭しと並んでいた。
「こんな店あったんだ」
「うん。古ぼけてるけどいい店なんだよねこれが」
「古ぼけて悪かったね、ねーちゃん。まぁいつもありがとさんよ」
ごっつくて、もっさいおじさん。雰囲気があるというか貫禄があるというか、腕が良さそうな感じが見ただけでわかった。
「おっちゃん、今日は調整を頼もうかと思って。」
「はいよ、調整したいのはどいつだい?」
「その子の持ってる武器なんだけどね。頼める?」
「任せときな」
「あっ、お願いします」
腰につけてた、剣を店主に渡す。
「そんな時間はかからんから、その辺でも見ときな」
「いや~仕事が早くて助かりますわ」
おっちゃん、じゃなくて店主が武器の調整をしている間店に並んだ武器とか防具とかを眺めていた。
僕の武器も決して安いわけじゃないんだけど、ここにきてこんなにもきらびやかなものを見ちゃうと、がんばりがまだまだ足りないな。なんて思ってしまう。
僕が店内を見て回ってる間にも宵風さんは、真剣に仕事をしている店主に向かって話をかけていた。
「最近どーよ、製錬の具合は」
「ぼちぼちだよ、ぼちぼち。」
「いいのできたら、いの一番に知らせてくれよ」
「そういや、この前打った剣がなかなかの出来だったよ」
「まじで?見せて見せて」
「よく見ろ、こっちは仕事中だ。終わったらな」
「そうだった。ごめんごめん」
よほどの常連なのだろうか。入り込む余地がないくらい話がスムーズに進んでいく。宵風さん、人当たりはいいんだよな。
「うっし、完成」
「おっ早いね~」
「ありがとうございます」
「お代はどっち持ちかな」
「私が一番払うよ、300ポケだっけ?」
「そうだ」
ちなみに300ポケがどれくらいかというと、出店のジャンクフードを3人分買うくらい?
ようするにそんなには高くない。まぁ調整だけだからね。
「いいですよ、僕が払うんで」
「いいんだよ、私が強引に連れてきたんだから」
「いや、でも…」
「気にしない気にしない」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
宵風さんに払ってもらい、武器の精度を確認する。刃こぼれしていた刃は研ぎ澄まされ虹色の光沢をみせ、切っ先から柄の部分まで隅々と磨き込まれていた。
「やっぱり、すごい」
「だよね、早くて正確だから文句なし!」
「嬉しい限りだね。そういえばさっきの武器のことだけど今とってくるから」
「そうだったそうだった」
店主は店の奥から一筋の剣を手に持ってきた。
手にあるそれは、他のどれとも明らかに違う輝き方をしていた。
「上物だね」
「そりゃそうさ」
「これ買うわ」
「即決かよ。ってねーちゃん近接型じゃないだろうに」
「いいのいいの」
「売れるなら構わないけどよ。1250000ポケな」
「はいよっ」
その場で買えちゃうのか。きっとやりこんでる時間が違うんだろうね。感服ですわ。
「ほいじゃ、君これも使って二刀流ね」
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「ぶっつけ本番だね、ファイトっ」
こうして、今回も無茶をすることになりそうだ。
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