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撫でたココ

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準決勝2

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「聞こえたっ」
 宵風さんの声。その声からは負ける気なんてさらさらないようで気迫のこもった声。
 その声と同時に、逃げていた宵風さんは切り返し、牽制の射撃。相手が一瞬ひるんだとこをすかさず長銃で一撃。
 僕のところまで駆け寄り後ろを突かれないように、背中を付き合わせる。
「まだいけるかい?」
「宵風さんこそ」
「んじゃ悪足掻きしますか」
 心は決まっていた。一層引き締まった気持ちで敵を迎え撃つ。
 宵風さんと僕がそれぞれ追い払った敵がふた方向からやってくる。囲まれる。動きが制限される。
 じりじりと距離が縮まる。敵を見て細かく足を動かしながら、出し抜く先を探る。
 さっきやられた傷が痛みをえぐる。説明のつかないいろんな感情が動き出す。
「行くよ」
 僕の左肩に長銃が乗せられ、目の前の敵を射撃する。これが合図となり僕と宵風さんはともに飛び出す。
 分厚い防御に大振りの大剣。どこを狙えばいいかわからなかったさっきまでとは違い、狙うべき場所が自然とわかる。
 敵の鈍い動きを見ながら、左肘に剣の柄で一発。痺れてるであろうその手から大剣は落ちる。
 そのまま左膝、右膝。
 左右の剣を後ろを投げ大剣を拾い上げ、弧を描くようにダメ押しの一撃。
「終わった」
 敵と同時にそのまま倒れ込んでしまう。
「後は宵風さんかな」

 そのころ宵風さんは長銃を刀として敵と向かいあっていた。
 双方からくる一線をなんとか凌ぐ。防戦一方な戦い。しかし傷の数は少しずつ増えていく。
「やばいかな」
 少しずつ余裕は消える。目の明かりが暗くなる。

「終わった」
 風車くんの声。首を動かさず後ろを確認する。そこにあるものを見つける。
「行きますか」
 敵の攻撃で吹き飛ばされる。そこにある二本の剣を拾い上げる。
 最後だと言い聞かせギアを一つ上げる。剣先が後ろになるよう握り攻撃をかます。
 誰よりも綺麗で華麗な剣戟。だが相手も負けじとギリギリのところで踏ん張る。
 止まらなぬ剣戟。受け止める相手。
 気づいた時には宵風さんは敵の背後にいた。後ろ向きで剣で斬りつける。
 立っている宵風さん。倒れこむ敵。
『フィニッシュ、勝者チーム風車』
 苦戦したが今回のバトルもようやく幕を閉じた。
「おつかれさまです」
「おう、おう、おつかれ」
「だいぶギリでしたね」
「はっはっはっ~あれも戦略のうちだよww」 
「そんなわけでないじゃないですかw」
 きわどいバトルではあったんだけど終わってみると、どうってことなかったような気もする。本当に宵風さんの戦略通りだったら相当な策士だな。
 とはいえ、準決勝も終わり、残すは決勝のみとなった。
 決勝戦。ついにこのイベントも終わりを迎えることになる。
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