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君が恋しい10
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カルバンが開けたドアから差し込んでいる満月の光がマリアとクロードをを照らしていた。
「そこで何している!!!」
よりにも寄ってなんで離縁したはずのクロードがマリアの隣に居る。
こんな夜更けに誰も居ない宿の食堂に。二人は寄り添う様に床に座っていた。
クロード、マリアに何をしようとした?
甘い言葉でマリアを騙すのか?
離縁したマリアを今度は愛人として囲うつもりなのか?
カルバンの脳裏には最悪の事が浮かび上がる。
マリアを抱こうとしたのか?
もしそうなら余りのもマリアを侮辱している。
クロードが許せない。
私の可愛いマリアを弄んで、只では済むと思うなよクロード。
カルバンの脳裏には負のパズルが組み合わされていく。
大切なものを奪われる辛さはあの時だけで沢山だ。
結局手放した彼女は幸せになれなかった。
あんな思いもう二度と味わいたくない。
もう手放さない。
二度と手放さない・・・私の可愛いラ・イ・ラ。
カルバンの視線はライラと瓜二つのマリアだけ見ていた。
そんなマリアは惚けてカルバンを見ている。
カルバンはマリアを見てニッコリ笑うとカルバンの視線はマリアの胸元に釘付けになった。マリアのブラウスがはだけて所々血が染み付いている。
そんなマリアの姿に驚き、カルバンの視線はマリアからクロードに移った。
カルバンが部屋を出て行く時は傷なんて無かった。
当然マリアの服に付いている血痕はマリアの血と考えていい。
カルバンを見るクロードの目は挑戦的な光を発している。
『忌々しい』
マリアを不幸にするこの男は誰であろうと許さない。
マリアがどんな思いで泣いていたと思っている。
彼女の様に不幸にしたくない。
いっその事マリアの目の前から消えてしまえ!
クロードに殺意すら覚える。
カルバンはクロードの敵対心を煽る様にニヤリと口角を上げる。
マリアはカルバンのそんな表情に寒気がした。
『怖い』
この表現が一番合っていた。
目の前にはマリアの知らないカルバンがいる。
マリアは気がついていない様だったが小刻みに震えていた。
そんなマリアの手をクロードは握りしめるとマリアも握り返す。
それだけで、たったそれだけでマリアの手の感触がクロードとマリアを繋ぐ唯一の温もりにクロードは泣きたくなる。
小さくて柔らかくて、とても好きな手だ。
この小さくて柔らかな手を手放したくない。
もし手放したら一体自分はどうすれば良いか分からない。
これからどうやって生きていけば良いのかわからない。
・・・本当に分からない。
※※
カルバンは痺れを切らして、クロードからマリアを奪う様に引き剥がした。
「クロード、お前は出て行け」
クロードを見ずにいい捨てるとマリアに向きなおり『マリア何された?』と言ってマリアのブラウスの血の染みの下にあるマリアの肌を見るとくっきりとした歯型の血痕を見て『これはひどい』とカルバンは呟いた。
クロードも立ち上がりマリアに向かって手を伸ばした。
「マリアは連れて帰ります。マリア帰ろう。ちゃんと話し合おう・・・俺達は話し合わないといけない。そうすれば必ず・・・」
乗り越えられる・・・と言おうとしたが、言葉は続かなかった。
カルバンがクロードを殴ったのだ。
殴られたクロードは数歩後ろによろけたが真っ直ぐマリアを見ていた。
「マリア・・・手を」
クロードは口の中を切り口から血が滲ませたままマリアに向かって手を伸ばし、自分の手を取る様に促した。
「マリアは君の元に帰らないし返すつもりもない。早くここから出て行け!マリア消毒をするから部屋に行こう」
初めて聞くカルバンの冷たい声にマリアは驚いて本当に目の前にいる人が叔父のカルバンなのかと信じられずにいた。
カルバンはどこかおかしい。
マリアの本能は警鐘を鳴らし始めた。
このままここに居てはもっと酷い事が起こる。
今までこの警鐘のが役に立たなかった事はない。
早くクロードをカルバンから引き離さないと。
でもマリアは口から血が滲んでいるクロードが心配になりクロードの元に行こうとしてカルバンに止められる。
「マリア!いけない彼の手を取ってはダメだ」
カルバンはマリアの腕を掴んで促した。
「おじさま・・・分かってるわ。クロードとは行かない。ただクロードが怪我をしたから・・・」
「マリアお前だって怪我をしているんだよ?」
「えぇえ、そうだったわ」
カルバンに教えて貰うまで痛みは感じる暇が無かった。
「ヤダ、虫にも食われていたわ」
胸元の赤い痣を見てマリアは呟いた。
「本当にマリアは困った子だ。おいで傷口に薬を塗るよ」
マリアの『クロードとは行かない』の一言でカルバンはいつもの優しい叔父に戻った。
「はい、おじさま。・・・クロードも早く屋敷に戻って傷の手当てをしてね」
「そういう事だクロード。早く出て行け」
カルバンは満足してマリアと一緒に二階に上がる階段まで行くとクロードに向かって言った。
クロードは二階に上がるマリアが見えなくなるまで見届けた。
そしてクロードの手はダラリと力を無くした人形の様に床に膝をついた。
「そこで何している!!!」
よりにも寄ってなんで離縁したはずのクロードがマリアの隣に居る。
こんな夜更けに誰も居ない宿の食堂に。二人は寄り添う様に床に座っていた。
クロード、マリアに何をしようとした?
甘い言葉でマリアを騙すのか?
離縁したマリアを今度は愛人として囲うつもりなのか?
カルバンの脳裏には最悪の事が浮かび上がる。
マリアを抱こうとしたのか?
もしそうなら余りのもマリアを侮辱している。
クロードが許せない。
私の可愛いマリアを弄んで、只では済むと思うなよクロード。
カルバンの脳裏には負のパズルが組み合わされていく。
大切なものを奪われる辛さはあの時だけで沢山だ。
結局手放した彼女は幸せになれなかった。
あんな思いもう二度と味わいたくない。
もう手放さない。
二度と手放さない・・・私の可愛いラ・イ・ラ。
カルバンの視線はライラと瓜二つのマリアだけ見ていた。
そんなマリアは惚けてカルバンを見ている。
カルバンはマリアを見てニッコリ笑うとカルバンの視線はマリアの胸元に釘付けになった。マリアのブラウスがはだけて所々血が染み付いている。
そんなマリアの姿に驚き、カルバンの視線はマリアからクロードに移った。
カルバンが部屋を出て行く時は傷なんて無かった。
当然マリアの服に付いている血痕はマリアの血と考えていい。
カルバンを見るクロードの目は挑戦的な光を発している。
『忌々しい』
マリアを不幸にするこの男は誰であろうと許さない。
マリアがどんな思いで泣いていたと思っている。
彼女の様に不幸にしたくない。
いっその事マリアの目の前から消えてしまえ!
クロードに殺意すら覚える。
カルバンはクロードの敵対心を煽る様にニヤリと口角を上げる。
マリアはカルバンのそんな表情に寒気がした。
『怖い』
この表現が一番合っていた。
目の前にはマリアの知らないカルバンがいる。
マリアは気がついていない様だったが小刻みに震えていた。
そんなマリアの手をクロードは握りしめるとマリアも握り返す。
それだけで、たったそれだけでマリアの手の感触がクロードとマリアを繋ぐ唯一の温もりにクロードは泣きたくなる。
小さくて柔らかくて、とても好きな手だ。
この小さくて柔らかな手を手放したくない。
もし手放したら一体自分はどうすれば良いか分からない。
これからどうやって生きていけば良いのかわからない。
・・・本当に分からない。
※※
カルバンは痺れを切らして、クロードからマリアを奪う様に引き剥がした。
「クロード、お前は出て行け」
クロードを見ずにいい捨てるとマリアに向きなおり『マリア何された?』と言ってマリアのブラウスの血の染みの下にあるマリアの肌を見るとくっきりとした歯型の血痕を見て『これはひどい』とカルバンは呟いた。
クロードも立ち上がりマリアに向かって手を伸ばした。
「マリアは連れて帰ります。マリア帰ろう。ちゃんと話し合おう・・・俺達は話し合わないといけない。そうすれば必ず・・・」
乗り越えられる・・・と言おうとしたが、言葉は続かなかった。
カルバンがクロードを殴ったのだ。
殴られたクロードは数歩後ろによろけたが真っ直ぐマリアを見ていた。
「マリア・・・手を」
クロードは口の中を切り口から血が滲ませたままマリアに向かって手を伸ばし、自分の手を取る様に促した。
「マリアは君の元に帰らないし返すつもりもない。早くここから出て行け!マリア消毒をするから部屋に行こう」
初めて聞くカルバンの冷たい声にマリアは驚いて本当に目の前にいる人が叔父のカルバンなのかと信じられずにいた。
カルバンはどこかおかしい。
マリアの本能は警鐘を鳴らし始めた。
このままここに居てはもっと酷い事が起こる。
今までこの警鐘のが役に立たなかった事はない。
早くクロードをカルバンから引き離さないと。
でもマリアは口から血が滲んでいるクロードが心配になりクロードの元に行こうとしてカルバンに止められる。
「マリア!いけない彼の手を取ってはダメだ」
カルバンはマリアの腕を掴んで促した。
「おじさま・・・分かってるわ。クロードとは行かない。ただクロードが怪我をしたから・・・」
「マリアお前だって怪我をしているんだよ?」
「えぇえ、そうだったわ」
カルバンに教えて貰うまで痛みは感じる暇が無かった。
「ヤダ、虫にも食われていたわ」
胸元の赤い痣を見てマリアは呟いた。
「本当にマリアは困った子だ。おいで傷口に薬を塗るよ」
マリアの『クロードとは行かない』の一言でカルバンはいつもの優しい叔父に戻った。
「はい、おじさま。・・・クロードも早く屋敷に戻って傷の手当てをしてね」
「そういう事だクロード。早く出て行け」
カルバンは満足してマリアと一緒に二階に上がる階段まで行くとクロードに向かって言った。
クロードは二階に上がるマリアが見えなくなるまで見届けた。
そしてクロードの手はダラリと力を無くした人形の様に床に膝をついた。
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