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1章
「そう言うもんか?」 「そう言うもんです」
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ミズキが倒れて二週間が過ぎた。
ミズキは体調をだいぶ良くなったが未だに視力は戻って無い。
薬師に診てもらったが視力が戻らないのは精神的な問題と、診断された。
・・・やはり、異世界に来た事でだいぶ心に負担がかかっていた様だ!
「・・・ミズキ・・・ゴメンな・・・ほんと・・・ゴメンな・・・」
「・・・んっ?・・ダリルさん?そこに居るんですか?」
「あぁあ起こしちまったか?すまんな?」
ミズキはベッドから体を起こして、両手をダリルの顔にペタペタと這わせた。
ミズキは、目が見えなくなってから、会話をする時の日課になっている。
こうすると、相手の表情が見え落ち着くと言っていた。
「ダリルさん?困ってる?」
「少しだけな?少しだけ困ってる」
本当に顔に触ると人の心が分かるんだな。
「何かあったの?」
「ちょっとな」
「ちょっとじゃ無いですね」
「・・・目が見える時よりも、鋭くなったな!」
「そうかな~?」
ミズキは、笑ってダリルの頬をつねった。
「正直に言って!」
「・・・・・・・」
「ダリルさん?」
「ギルドからの指名で、護衛の仕事が入った」
ダリルの後ろから、ジェリドの声が聞こえた。
「ジェリドさんもいたんですか?」
ミズキの頬が赤くなリ、声が裏返った。
そう言えば、ジェリドに余計な事を言うなと、ミズキに怒られた!顔を真っ赤にして、今にして思えば、熱があったから、顔が赤かったのだろう。
でも、熱のさがった今もなぜ、赤くなる?
「さっきから、居たぞ!」少し低いトーンのジェリドの声がした。
「どうして、気付かないんだ、ふん」
「見えないのだから当たり前でしょう?」
「気配で気付け!気配で!どうでも良いが、いつまで、ダリルの顔を触っている」
「えっ?・・ごめんなさい、ダリルさん」
慌てて、ダリルの顔から、手を離した。
「いや・・・ミズキの手が、暖かかったから、気持ちが良かったよ」ダリルは少しはにかみながら言った。
そして、ミズキの頭を撫でた。
本当にダリルの撫で方は極上で、ミズキも笑顔になる。
ダリルはいつも思う、ミズキの笑顔は本当に、癒される。
「ダリル・・・いいか?」
「どうした、ジェリド」
「仕事の話だ、さっき、ギルドに行ってきて、こちらの条件を話してきたら、それは直接、お前と依頼主の公爵の間で取り決めてくれとの事だ。どうする?先方はすぐにでも話し合いたいと言ってるそうだ」
「わかった、今から、公爵の所に行ってくる、ジェリド、すまんがミズキの側に居てくれるか?」
「・・・分かった」
「ダリルさん、一人で留守番くらい出来るよ、だからジェリドさんが、ここに居なくても大丈夫だよ!」
ミズキは、出来るだけ、ジェリドと一緒に居たくなかった。
「コラ、ミズキ!ワガママを言うな!」
「だって・・・」
「ダリル!直ぐに行ったほうが良い!後は、任せろ」
「そうだな、ミズキに、下のドングリで、飯でも食わせてくれ、後、風呂なんだが、こいつは、1人で風呂にも入れるから、風呂の準備だけ頼む、あと・・・」
「お前、どんだけ過保護なんだ、わかったから、早く行ってこい、こっちは、ミズキに聞いて、お前が帰ってくるまでここに居るから、気にするな」
「すまんな、後は頼む、それじゃ」
直ぐにダリルは、出た行った。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・ダリルとは、仲が良いんだな?」
「当たり前です。ダリルさんは、お兄さですもの、逆に仲が悪いのは、おかしいです」
「そう言うもんか?」
「そう言うもんです」
「なあ、どうして、俺と話すときは、顔に手を触れないんだ?」
「どうしてって、言われても・・・・」
「なあ、どうしてだ?」
「かっ顔が、髭で毛むくじゃら、だからです」
「毛むくじゃらか~、毛むくじゃらじゃ、無かったら、お前は、俺に触れるのか?」
「わっわかりません」
「そうか・・・」
「少し、早いが混まないうちに、飯でも食うか?」
「・・・ジェリドさん・・あんまりお腹は空いていないの、だから、一人で食べてきて」
「・・・腹が空いてなくても、飯は食え、遠慮なんかするな」
「でもですね~、薬代だってバカにならないし、寝てばかりなので、本当にお腹が空いていないんです」
「そんな事を気にしていたのか?バカが!」
「バカって、ひどい・・」
「バカをバカと言って何が悪い!いいかミズキ、ほら手を」
ジェイドはミズキの手を、自分の顔につけた。
「ミズキ、良く聞けよ!俺とダリルは、お前が大事だ!お前が倒れた時、どれだけ心配したか分かるか?また、心配かけたいのか?ミズキ」
「ジェリドさん、手を握ったままではわかりません」
「あっ!すまん」
握りしめていた手を、放した。
「痛かったか」
「いいえ、ぜんぜん痛くありませんよ、それより、ジェリドさんの髭って思ったより柔らかいんですね?」
ミズキは面白そうに、ジェリドの髭を引っ張ったり、こねくり回したり、挙句にほっぺたを引っ張ったり、楽しそうにジェリドの髭を堪能した。
これは楽しい。ミズキは自然と笑顔でジェリドの髭をもて遊んだ。
「俺の前で、初めて笑ったな」
「えっ?」
「いや、何でもない、飯を食いに行くぞ」
ジェリドはミズキを抱えて、立ちあがろうとして、ミズキに止められた。
「下に行くなら、洋服を着てから行きます。パジャマでなんて絶対に行きませんから!!」
「ちっ!女はめんどくせーな」
「面倒くさくありません、これは、常識です。当たり前なんです」
「そう言うもんか?」
「そう言うもんです」
「だから、ジェリドさんは、付き合ってもすぐに振られるんですよ!」
「誰が振られるだ!誰が!!」
「ジェリドさん!しかいませんよ、デリカシーの無いジェリドさんしか!!」
「ダリルだって、いるだろう、ダリルだって」
「何で、ダリルさんが出てくるんですか?」
「ダリルだって、半年前、振られていたぞ!ギルドの受付嬢のキャサリンに」
「えっ、・・ダリルさんが?・・・半年前って、私がこの世界に来たばかりの頃の時?・・・原因は、わたしですよね・・・」
ジェリドは、しまったと思った。その思いがすぐに、ミズキの手から伝わった。
「そうですよね・・ダリルさんが、彼女いないわけ、ありませんよね?ははは、バカだな~わたし」
「おい!気にするな?ミズキ?泣いているのか?・・・おまえ・・ダリルの事が・・・」
ミズキは体調をだいぶ良くなったが未だに視力は戻って無い。
薬師に診てもらったが視力が戻らないのは精神的な問題と、診断された。
・・・やはり、異世界に来た事でだいぶ心に負担がかかっていた様だ!
「・・・ミズキ・・・ゴメンな・・・ほんと・・・ゴメンな・・・」
「・・・んっ?・・ダリルさん?そこに居るんですか?」
「あぁあ起こしちまったか?すまんな?」
ミズキはベッドから体を起こして、両手をダリルの顔にペタペタと這わせた。
ミズキは、目が見えなくなってから、会話をする時の日課になっている。
こうすると、相手の表情が見え落ち着くと言っていた。
「ダリルさん?困ってる?」
「少しだけな?少しだけ困ってる」
本当に顔に触ると人の心が分かるんだな。
「何かあったの?」
「ちょっとな」
「ちょっとじゃ無いですね」
「・・・目が見える時よりも、鋭くなったな!」
「そうかな~?」
ミズキは、笑ってダリルの頬をつねった。
「正直に言って!」
「・・・・・・・」
「ダリルさん?」
「ギルドからの指名で、護衛の仕事が入った」
ダリルの後ろから、ジェリドの声が聞こえた。
「ジェリドさんもいたんですか?」
ミズキの頬が赤くなリ、声が裏返った。
そう言えば、ジェリドに余計な事を言うなと、ミズキに怒られた!顔を真っ赤にして、今にして思えば、熱があったから、顔が赤かったのだろう。
でも、熱のさがった今もなぜ、赤くなる?
「さっきから、居たぞ!」少し低いトーンのジェリドの声がした。
「どうして、気付かないんだ、ふん」
「見えないのだから当たり前でしょう?」
「気配で気付け!気配で!どうでも良いが、いつまで、ダリルの顔を触っている」
「えっ?・・ごめんなさい、ダリルさん」
慌てて、ダリルの顔から、手を離した。
「いや・・・ミズキの手が、暖かかったから、気持ちが良かったよ」ダリルは少しはにかみながら言った。
そして、ミズキの頭を撫でた。
本当にダリルの撫で方は極上で、ミズキも笑顔になる。
ダリルはいつも思う、ミズキの笑顔は本当に、癒される。
「ダリル・・・いいか?」
「どうした、ジェリド」
「仕事の話だ、さっき、ギルドに行ってきて、こちらの条件を話してきたら、それは直接、お前と依頼主の公爵の間で取り決めてくれとの事だ。どうする?先方はすぐにでも話し合いたいと言ってるそうだ」
「わかった、今から、公爵の所に行ってくる、ジェリド、すまんがミズキの側に居てくれるか?」
「・・・分かった」
「ダリルさん、一人で留守番くらい出来るよ、だからジェリドさんが、ここに居なくても大丈夫だよ!」
ミズキは、出来るだけ、ジェリドと一緒に居たくなかった。
「コラ、ミズキ!ワガママを言うな!」
「だって・・・」
「ダリル!直ぐに行ったほうが良い!後は、任せろ」
「そうだな、ミズキに、下のドングリで、飯でも食わせてくれ、後、風呂なんだが、こいつは、1人で風呂にも入れるから、風呂の準備だけ頼む、あと・・・」
「お前、どんだけ過保護なんだ、わかったから、早く行ってこい、こっちは、ミズキに聞いて、お前が帰ってくるまでここに居るから、気にするな」
「すまんな、後は頼む、それじゃ」
直ぐにダリルは、出た行った。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・ダリルとは、仲が良いんだな?」
「当たり前です。ダリルさんは、お兄さですもの、逆に仲が悪いのは、おかしいです」
「そう言うもんか?」
「そう言うもんです」
「なあ、どうして、俺と話すときは、顔に手を触れないんだ?」
「どうしてって、言われても・・・・」
「なあ、どうしてだ?」
「かっ顔が、髭で毛むくじゃら、だからです」
「毛むくじゃらか~、毛むくじゃらじゃ、無かったら、お前は、俺に触れるのか?」
「わっわかりません」
「そうか・・・」
「少し、早いが混まないうちに、飯でも食うか?」
「・・・ジェリドさん・・あんまりお腹は空いていないの、だから、一人で食べてきて」
「・・・腹が空いてなくても、飯は食え、遠慮なんかするな」
「でもですね~、薬代だってバカにならないし、寝てばかりなので、本当にお腹が空いていないんです」
「そんな事を気にしていたのか?バカが!」
「バカって、ひどい・・」
「バカをバカと言って何が悪い!いいかミズキ、ほら手を」
ジェイドはミズキの手を、自分の顔につけた。
「ミズキ、良く聞けよ!俺とダリルは、お前が大事だ!お前が倒れた時、どれだけ心配したか分かるか?また、心配かけたいのか?ミズキ」
「ジェリドさん、手を握ったままではわかりません」
「あっ!すまん」
握りしめていた手を、放した。
「痛かったか」
「いいえ、ぜんぜん痛くありませんよ、それより、ジェリドさんの髭って思ったより柔らかいんですね?」
ミズキは面白そうに、ジェリドの髭を引っ張ったり、こねくり回したり、挙句にほっぺたを引っ張ったり、楽しそうにジェリドの髭を堪能した。
これは楽しい。ミズキは自然と笑顔でジェリドの髭をもて遊んだ。
「俺の前で、初めて笑ったな」
「えっ?」
「いや、何でもない、飯を食いに行くぞ」
ジェリドはミズキを抱えて、立ちあがろうとして、ミズキに止められた。
「下に行くなら、洋服を着てから行きます。パジャマでなんて絶対に行きませんから!!」
「ちっ!女はめんどくせーな」
「面倒くさくありません、これは、常識です。当たり前なんです」
「そう言うもんか?」
「そう言うもんです」
「だから、ジェリドさんは、付き合ってもすぐに振られるんですよ!」
「誰が振られるだ!誰が!!」
「ジェリドさん!しかいませんよ、デリカシーの無いジェリドさんしか!!」
「ダリルだって、いるだろう、ダリルだって」
「何で、ダリルさんが出てくるんですか?」
「ダリルだって、半年前、振られていたぞ!ギルドの受付嬢のキャサリンに」
「えっ、・・ダリルさんが?・・・半年前って、私がこの世界に来たばかりの頃の時?・・・原因は、わたしですよね・・・」
ジェリドは、しまったと思った。その思いがすぐに、ミズキの手から伝わった。
「そうですよね・・ダリルさんが、彼女いないわけ、ありませんよね?ははは、バカだな~わたし」
「おい!気にするな?ミズキ?泣いているのか?・・・おまえ・・ダリルの事が・・・」
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