異世界へようこそ

ホタル

文字の大きさ
25 / 83
2章

ジェリド~遠い昔のお話~

しおりを挟む
俺の名前は、ジェリド・ウインザルフ、西の大陸のギアラム帝国の聖騎士団に所属していた。
余り、出世欲もなく、剣の稽古は、小さな頃から好きで父の知り合いの、名のある剣士につき、剣を磨いていたが、魔法の素質もあったみたいで、簡単な魔法も覚えるようになった。
おかげで、今ではソードマスターと言う、称号が与えられ!自分の思いとは裏腹に、出世街道をまっしぐら進んでいった。

多少の妬みと嫉妬は大した事じゃない。
そんなことより、最近即位した、フォルカス様を、お守りしよう。
彼は小さいながら、聡明で素直に、知識を吸収していく、俺は心から忠誠を誓っていた。
そして、このままずっと、ギアラム帝国を、フォルカス陛下を、お守りしようとこのロンバルディアに誓った。


だが、突然、小さなフォルカス陛下が、崩御した。即位して2年しか、たっていないと言うのに。

王宮内での暗殺だった。

第一に番に疑われたのが、ジェリド・ウインザルフ、この俺だった。

なぜだ?・・・・。
身に覚えのない、数々の証拠が、俺の目の前に提示された。
当然、身に覚えのないのだから、否定したが、実際、証拠がある。しかも、細かく、俺の事を知っていなければわからない事も、証拠としてあった。
どうやって、捏造したかと、考えてしまう。

本当に・・・・どうやって・・・・・・。


---------まさか、年の離れた婚約者に裏切られてるとは、思いもよらなかった。

婚約者と言っても、俺が17歳の頃に、親同士が決めた事だった。
しかも、顔すら見たことがない、歳の離れた女の子、キャロライン。
流石に、年の離れた子供を婚約者と言われても、妹にしか見えなかった。
そして、何かにつけて、キャロラインは、俺の周りを纏わりついてきた。少々困ってはいたが・・・。邪険にするわけにもいかなかった。
少しずつ、少しずつ、キャロラインの行動が、異常をきたしているとも、知らずに・・・・。

キャロラインに濡れ衣を着せられるまでは・・・・自分の愚かさにも気づかなかった。

俺に濡れ衣を着せた、犯人を捜していた俺は、間抜けにも捕まってしまった。

体を痛めつけられた俺は、両腕を縛られ、薄暗い部屋に連れてこられた。

信じられない・・・・俺の目の前には、小さい女の子だと思っていた、キャロラインがベッドの上で、男と、まぐわっていた。

男の名は、バルバロッサ、フォルカス陛下と最後まで、王位争いをしていた男だった。

「何を・・・している・・・なんで・・・こんな事をしたんだ、キャロライン!」

キャロラインは顔を真っ青にして、謝罪をするかと思ったが、キャロラインは、ジェリドを睨み「ジェリド様が悪いのよ!私を見ない、ジェリド様が・・・・だって、ジェリド様は、私よりも、あの、フォルカス陛下を取るのでしょう?私を見てくれない、ジェリドさまなんて、必要ありません、私はバルバロッサ様の許に参ります」

キャロラインは、バルバロッサの首に抱き着いた。バルバロッサは、ニヤリと、ジェリドを見て、笑った。

「バルバロッサ様は、私を…愛してると言って下さいました。お前だけを見ているとも・・・言ってくださいましたわ・・・そして、わたしを、次の皇妃にしてくれると約束をしてくれたわ」

「・・・・そんな理由で・・・そんな事で・・・・、陛下を・・・陛下を・・フォルカス陛下を殺したのか?」俺は眩暈がした、吐き気がする。

「そんな事?…そんな事ですって!!」一瞬後に、目が吊り上がって、鬼のような形相になった。

「ジェリド様は、私を見もしない、私に触れない、私は何時まで経っても、何時まで経っても・・・・妹扱い・・・友人たちは、次々と結婚をして、子供も授かっているというのに・・なんで・・・私だけ・・・私だけ・・・・こんな・・・みじめな思いをしなければいけないのよ!!聖騎士団の出世頭だと、お父様が言って言っていたから、婚約まで、こぎつけたのに、あなたは、子ども扱いしてばかり・・・」
「・・・・・」

言葉が出なかった、まかりなりにも、婚約者だ、確かに、彼女を子ども扱いはしていたが・・・。もう少し彼女が、大人になってから結婚をして、彼女だけを愛して、いずれは子供をと、思っていた・・・が、このザマか?

憎々しげに、ジェリドを見つめるキャロラインは、いままで、ジェリドが見てきたキャロラインとは、正反対だった。俺は一体彼女の何を見てきたんだ・・・・。

-------キャロラインの言ってる事が、聞こえない。
「・・・・だから、私たちの為に・・・死んで頂戴・・・ジェリド・・・」
歪んだ笑顔で、短剣を振り下ろす。

肩に、痛みと、燃えるような熱さが宿った。

腹や、背中を幾度も刺された・・・。

感覚が、麻痺していく・・・・。


そうか・・俺はこのまま死ぬんだ・・・陛下を暗殺した者として・・・・。




嫌だ!!・・・・・・・・ふざけるな!こんなところで死んでたまるか!!!!!

血だらけになりながら、ジェリドは、何度も刺されたおかげで、腕を拘束していた縄が、チョットした力で切れ!窓に向かって走り出し、窓を破って、そのまま窓の下の川に、落ちていった。





あれから何年たっただろう。




ミズキを初めてみた時、体の中心が、燃えたぎる様に熱くなった・・・。
この女を、自分のものにしたい。
欲しい。
異世界から来た少女。


そして、呆気なく、ミズキに俺は騙された。
俺の心は、5年前から、歯車が壊れた見たいに、一歩も前に進むことが、できなかった。

婚約者に裏切られ、濡れ衣を着せられた時以上に、心が疲弊した。

さっき、男に言い寄られた、女を助けた、ベールなんかを付けていてもすぐに分った。
忘れたくても忘れられない人、彼女がいた、憎しみと、愛おしさが、俺の中で鬩ぎ合う!

騙されても、お前を元の世界に帰したくない・・・この思いは、ただの執着なのだろうか?
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

二度目の初恋は、穏やかな伯爵と

柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。 冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。

処理中です...