異世界へようこそ

ホタル

文字の大きさ
55 / 83
2章

誘拐犯ですが、何か!

しおりを挟む
「作戦はこうです」
ミズキは悪魔の微笑みで、この場所に集まった全員を見渡した。


そして、ミズキの言うとうりに、宰相のギルバルト・フォン・オーエングリムの別荘の近くにある森に着いたのは空には星が輝き始めた頃だった。
そして森の入り口にジェリドとミズキが立っていた。

「やっと着いたな!ミズキ!体調はどうだ?辛くないか?」
「大丈夫ですよ、ジェリドさん!微熱と言っても、あるか無いか分からなかった位なんですから!良い加減、子供扱いは止めて下さいよ」

ミズキはジェリドをニヤリと見上げた。
ワクワクする。まさかこんな日が来るなんて、夢の様だった。
今だけは良いよね?今だけは一緒にいて良いよね!
味方は多いほうが良い!少女救出には味方が多いほうが無事にリカルドの娘エマを助ける事が出来る。
無意識にミズキは自分に言い訳を言い聞かせる。

「子ども扱いなんかしてない!お前は直ぐに無茶をするから心配なだけだ」
ジェリドは軽くミズキの髪をワシャワシャと軽く乱した。

今のミズキはランスロットの従者の格好で、髪は下ろして一本に束ねている。

「ジェリドさん髪をごちゃ混ぜにしないで!せっかく一本に束ねたのに・・・もう!」
もう一度束ね直さないと!と言ってリボンを解き、手櫛で髪をすくい一本にに束ねた。
「出来た!」
鏡が無いのは残念だが、何とか髪を束ねる事が出来た。
「直してやる」
「えっ?」
ジェリドはせっかくミズキが一本に束ねたリボンを解き、ジェリドの手櫛でミズキの髪を結い直した。

「・・・柔らかい髪だな、それに長い・・・あれから髪を切っていなかったのか?」
ジェリドはミズキの髪を手で流れる様に梳きながら言った。

「・・・毛先は揃える程度には切っていましたよ」
きっとジェリドさんは、私が離れた5年前の事を言っている。
「・・・・そうか」
ジェリドが言い終えると、二人は黙ったままになった。
お互い何を話してよいか分からないと言ったところでしょうか。
髪を梳かれるのがこんなに気持ちが良いなんて今まで思いもしなかった。ホント気持ちが良い、ジェリドさんは昔っから起用だった。

そう言えば、目が見え無いときはダリルさんよりジェリドさんに髪を梳かしてもらう方が多かった事を思い出す。

「ミズキ何ニヤついている?」
「酷いな~ジェリドさん、こんな可愛い子に向かってニヤついているなんて!酷く無いですか?」

「自分で言ってりゃ世話がない」

「ひっどい!どうしてジェリドさんはいつも!いつも!そんなに憎まれ口を叩くんですか!失礼ですよ!私に」
「分かった、分かった!俺が酷い男なんだな?ミズキ!」
「ええそうですよ!ジェリドさん!私に謝って良いんですよ?」
「普通!謝罪を強制するか?」
「ジェリドさんにはこれくらいがちょうど良いんですよ!これくらいが!」

「相変わらず良い性格をしているなミズキ!」
ジェリドの異変にミズキはいち早く!ヤバイ!調子に乗りすぎた。

「それではそろそろ行きますか?」
「・・・お前ズルいな」
「ズルくないです」

「・・・まあ良い」
行くか!と言ってミズキと2人で、森の奥の洞窟に向かった。

「ジェリドさん!もし、もしですよ!私に何かあって倒れても、少女の保護を優先して下さい」

「・・突然何を言いだすんだ!ミズキ!」
「それだけ大切な人物なんです。ジェリドさん!お願いしますね!」
「ただの誘拐だとは思っていなかったが!お前は一体何を考えてる?」
「人助けと今後、絶対に必要となる人脈ですかね!」
ニッコリとジェリドに笑いかけたが!上手くいかなかった。

「なんて事に首を突っ込んでいるんだ!!・・・その少女も助けるが!お前も助ける!それで良いだろう?」

「まぁ、もしもの時の話ですよ」
「ああ、こっちももしもの時の話だ」

「入り口に着いたな!」
森の中の洞窟の前に辿り着いた。
そこは別荘の秘密の入り口!

隠し通路とも言う。

「ジェリドさん行きましょう!」
「そうだな、ミズキ行こう!」









しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

二度目の初恋は、穏やかな伯爵と

柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。 冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。

処理中です...