異世界へようこそ

ホタル

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プロローグ

異世界へようこそ

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ミズキは至福の時を味わっていた。


ゴツゴツしているけど、とても暖かい。もうちょっと、ここで、まったりしたいと体が欲している。焚き火の様な暖かさでは無く、じんわりと身体中を包み込む様な、ホッとする暖かさ。



ーーとても気持ちがいい。


暖かい方へ、暖かい方へと体がすり寄って行くと暖かいと思っていた物がビクンと震えた。



あっ動いた。暖かいの逃げないで・・・もっと私を温めて、ミズキは温かさを手離したくなくて更にすり寄った。


「はぁ~!参ったな~!」


柔らかみのある男の重低音がミズキの耳に届く、心地よい音にますますミズキは離れたくなくなる。そして暖かいごつっごつとしたものから重い溜息がこぼれた。



暖かい岩が喋った!

『参ったな』って喋った。

うふふふ。


おかしい、岩がしゃべるだなんて。

夢の中の暖かい岩は声まで暖かかった。


「おい、目が覚めているなら、そろそろ起きてくれないか?」
岩から少し困った声が聞こえる。


『起きてくれないか?だって変なの、私の夢なのに、起きたらあなたは私の中から消えちゃうのよ?わかってる?うふふふ』

「いやよ」
だってこんなに気持ちがいいんですもの。ミズキのは離すまいと岩にしがみついた。

「嫌って‥本当に困ったなぁ起きてもらわないと‥って、こら嫁入り前の娘が何処を触っている」

「嫁入り前????何処触ってる????」
まどろんでいるミズキの頭が少しずつ覚醒し始めた。

『私‥岩と会話している?』

ん?

岩って暖かかったっけ?

暖かいよね!岩盤浴って聞くもの、きっとそれね!

でも・・・あれれ?

岩ってしゃべる?

あーーれぇーーーーー???


目をパチクリと開くと、毛布にくるまって大男の腕の中で目が覚めた。そして見た事の無い男と目が合った。男は驚いている様でミズキの顔を覗き込んでいた。ミズキと男の顔の距離は人差し指くらいしかなく ・・近い・・・メチャクチャ顔が近くてお互いの、唇が触れそうで・・・・・・。


これは恥ずかしい------!


「ギャおうぅううーーーーッ」


ミズキ渾身の叫び!!
絹の引き裂いた様な悲鳴?
木綿の引き裂かれた悲鳴?
いいえ、雑巾が引き裂かれた悲鳴でした。

そして、思いっきり目の前の男に渾身の一撃をくらわせた。




※※



そしてミズキは大男の前で日本人最大の謝罪、『ザ!土下座』をしている。


「すみません、申し訳有りません、何と申して良いやら・・・」
「イヤ、気にするな・・・」

大男の言葉にミズキは顔を上げると、大男の顔には赤い痣の様なぐーパンチの跡が右の頬と、左の頬にダブルで、しっかり刻んであった。

大男は、頬に手を摩り二人の間に妙な雰囲気が漂っていた。

いけない!こんな微妙~な雰囲気はいけない!日本人は、友好関係を築くのは得意なはず!、きっと、得意だ!

「こほん!失礼な事を、お聞きしますが、ここは何処で、貴方は、誰ですか?私・・何も覚えて無くて・・すみません申し遅れました。私は、橘 瑞樹たちばな みずきと言います。」

なにはともあれ、自己紹介だ!と思って姿勢を正して大男の前に正座をして自己紹介をした。


それにしても何故、こんな所で寝ているのか?それにこの大男は誰?日本人じゃないわよね。髪の色も瞳の色も日本人みたいだけどこんな大男日本ではまずお目にかからない。

確か昨日は、両親と弟に向かって早めのお休みをを言って、部屋に入ってすぐにベッドに入った記憶しかない。

なぜ?こんな所に?私のお気に入りの毛布は?それ以前にベッドはどこ?ってゆうかここはいったいどこ?寝相が悪くてこんな所まで?いやいや寝相が悪いのではなく、もしかして夢遊病?・・・・なのか?

でも夢遊病でこんな見ず知らずの、しかもここは山小屋ですよね?あまりにも現実離れした体験で、考えがまとまらない。

ミズキの表情は百面相のように顔がコロコロ変わっていた。


ミズキの表情を読んだかのように大男はため息をする。

「本当に何も覚えていないのか・・・参ったな~」
と言って大男も自己紹介を始めた。

大男の名は、ダリルと言った。
そして、私は雪の降る中眠っていたそうだ。

驚いたダリルは私を抱えて山小屋で、暖めて・・・、暖めて・・・恥ずかしい。男の人に抱き締められるの、初めてで、思い出すだけで顔が赤くなる。



そして驚いたことに彼の職業は、冒険者だそうだ。ちなみに私は、冒険者となる職業は全くもって知らない!現代社会でそんなスキルが必要なのは、ゲームの世界だけだと、今の今まで思っていたが、現実にこの大男、もとい、ダリルは、冒険者と言っていた。

いまいち、状況を飲み込めていない私にダリルは根気強く説明をしてくれてます。

この世界は、5つの大陸で出来ていて、魔法が存在するという事、そしてここはその大陸に一つの国家が存在するということ。


そして、北はヨルオムザ大陸、統治国家はベルモーゼ国、東はコリタニ大陸、統治国家はインバラ、西は、ランベス大陸、統治国家はギアラム、そして南はまだ誰も行った事の無い、オシュミ大陸、統治国家は、500前に、内戦とともに、統治国家は、現在、居ない状態となっている。


その中で、中央の大陸、ボルドゥー大陸、最も古い血を持つ一族が統治している国が、私が、迷い込んだ、アルモニカと言う名の国でした。


その、アルモニカの王都より北にある山は、神聖な山として崇められている、そこは、王家の許しが無いと、人が入れない神聖な場所に、私がパジャマ姿で雪に埋もれていたところをダリルさんが私を助けてくれた。


頭では理解できたが、心がついていけない。



解ったことは、ここは紛れもなく異世界で、私の住んでいた日本はどこにも無いということだけ。


そしてダリルさんは言った。ここは国王の管理地なのですぐにこの場所から出ないといけない、そうしないと牢屋に入れられてしまうという事。

牢屋?とんでもない!悪いことをしていないのに牢屋だなんて冗談ではありません。

もちろんここには居られない・・・それじゃ、私はいったい何処に帰ればいいの?私は不安な顔をしていたみたいで、困った顔のダリルが一緒に来るかと声をかけてくれた。

もちろん私は二つ返事でダリルについていく事にした。





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