異世界へようこそ

ホタル

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プロローグ

居場所

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ダリルと始めて会った場所は『不幻の谷ふげんのたに』と呼ばれる所だった。ダリルさんに聞いたがそこは異世界から物が流れ着く所だとか、次元が歪んでいるのか?だったらこのまま山小屋に入ればもしかして元の世界に帰れるかも?と思うのは当たり前で、ダリルさんにその事を尋ねると、それは辞めておいた方が良いと言う答えだった。

何故?そう思ったがダリルさんは首を横に振るだけで何も話してはくれなかった。

ただこのままここに居てはいけない事はダリルの厳しい表情で理解できた。



※※



ダリルとミズキは、町に着いてから、ダリルの家にミズキを招き入れた。
ダリルの家は、1階が飲み屋「どんぐり」で、2階がダリルが借りている部屋になっていた。


家の横にある、階段で2階の部屋の玄関についた。
日本で言えば、店舗兼アパートみたいな感じだ。


「汚いが、まぁ・・入ってくれ」

ダリルは、苦笑いをして、ミズキを案内した。
ミズキは、ダリルにとって、拾ってきた猫や犬なのだろう。

「お邪魔します」
一歩部屋に入ると。

・・・・マジで!・・・足の踏み場が無いし、テーブルに上には?皿の上に腐った食べ物に寄生した、キノコらしき物体・・・しかも、胞子も飛んでいた・・・初めて見た汚部屋おへや・・・これは酷い・・酷すぎる。

どうしよう、一歩も部屋に入れない。途方に暮れて、ミズキは後ろに居るダリルを見た。

「いっ、いやぁ―、座る所もねぇな」
参ったなぁーと、頭をガシガシと、掻く。

「はい、さすがに・・これはちょっと・・」
流石にこれはちょっと頂けない。
顔が引きつってくる。

「そっかーーーそうだよな・・よし!1階の『どんぐり』で待っててくれ、『どんぐり』は昼の定食を提供するから、この時間でも営業しいる、すぐに片づける」
そんなミズキの表情を読み取って「最近忙しくてな?」と独り言の様にミズキに聞こえる様に言うが、ミズキの顔は『騙されません』と言っていた。

「ダリルさん、2人で一緒に、片づけた方が、早く片付きますよ、二人で片づけましょう?」
ため息をつきながらミズキは提案する。
居候ですから当然のことです。

「そうか、すまないな、・・・ミ・・ミズキ」
言うなり、ダリルはミズキから顔を背けて、部屋の片づけを始めた。

「・・はい!ダリルさん」
ダリルは、初めて、ミズキを呼んだ。
ダリルがミズキと呼んでくれた事に、戸惑いと嬉しさがミズキの心を潤をした。
ミズキは、すぐにダリルの後を追った。

ミズキは、マスクをして、部屋中の窓を開け、片づけに精をだした。
「ダリルさん、これは捨てていいですか?」
ミズキは、その物体を、親指と人差し指でつまみながらダリルに聞く。

「『蛮族の角笛』そんなとこにあったのか?それは、後で店に行って売ってくるから、捨てないで、取っておく」
「じゃあ、これは?」
「それも、捨てるな『言霊の石』だ」
「ことだま?」
不思議そうに、『言霊の石』を見つめた。
「そう、言霊だ、あまりそれに触るなよ、結構、危険なんだ」
「やだ!」

ミズキは『言霊の石』をポイと捨てた。
「こら!捨てるな」
「だって、危険なんでしょう?」
「危険だが、危なくはない・・これは人の心を読む石なんだ」
ダリルは、近くにある布で、『言霊の石』を包み込んで、ポケットにしまった。






アイテム紹介

蛮族の角笛:海賊が愛用した角笛!嵐を呼ぶ力がある。
言霊の石:言霊に宿る精霊に働きかけ、人の心を読んで。相手を操ることが出来る。
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