勇者さまは私の愚弟です。

私の彼は、愚弟でした

似ているのは当たり前

目をそっと開けると、真っ白な世界・・・そう何もない…何も無い世界だ。
呆然とした。
ここは何処？
もしかして、とんでもない世界に来ちゃったとか？
悠馬ごめんね！お姉ちゃんお前までまきこんじゃって！
悠馬を見ようと腕の中を見ると・・・・。


居ない！！


腕の中にいるはずの悠馬が居ない！！

「悠馬ーーーーーーーーーーーー！」
絶叫の様に悠馬の名前を叫びました。
悠馬何処？何処に行っちゃったの？
さっきまで腕の中にいたのに！
「悠馬、悠馬、悠馬、どこ？どこに行っちゃったの？悠馬」

「お前はこの子を探しているの？」
私は声のする後ろを振り向いた。

さっきまで人なんか居なかったのに、今は目の前に黒い髪の銀色の瞳の女性が悠馬を抱っこしていた。

「悠馬！！」
素早く女性から悠馬を奪うと悠馬に怪我が無いか調べたが、何処も怪我は無かった。
「良かった～」

悠馬を取り戻してホッとしたら、目の前に突然現れた女が不思議な空気をまとっているのに気が付いた。
「・・・・・・」
なかなか言葉が出ない。
『あなた誰？』って言う言葉が出ない。ううん、そうじゃ無い言葉が発せないだけ。息きは出来るのに、言葉を発っしようとすると喉が苦しくなって言葉が出ない。

「あら？ごめんなさい、貴女の言葉を殺していたわね」
女性は指をパチンと鳴らすとさっきまでの息苦しさが消えました。
不思議に笑う女を見ると何故か？どこかで見たような？誰かに似ているような？不思議な気持ちになります。

「・・・言葉を殺すって・・・どういうことですか？さっきまで苦しかったのと関係があるんですか？」
喋れるって素敵！

「そうね、関係あるわね！」
穏やかな微笑に同性の私もドキッとする美しさです。
前にも同性にドキッとっとしましたが・・・悲しいかなそれは女装した紅蓮でした・・・・。
・・・虚しい。
私の黒歴史です。

でも、今度は本物の女性です。だって、お胸がボヨンっと膨れています。
この人は女！間違い有りません・・・・・・ん？
「・・すみませんお胸触っても良いですか？」
私、大変失礼な事を言っているのは自覚しています。
トラウマなのでしょうか？自分の目で確かめたい。手で確認したい！と言う欲うには勝てません。どうせ女同士ですから相手の女性も、簡単に頷いてくれるでしょう！

「・・・嫌」
「そこを何とか！」
私！食い下がります。だって、どうしても確かめたいから。
「やっぱり、嫌」
ばっさり、きっぱり断られました。
「・・・わかりました。それでは質問を変えます・・女性ですか？」
「・・・・ぷっ・・ぷっ・・ぷっ・ぷぷぁ・・ははははは・・・」
力いっぱい、笑われています。
まあ予想はしていましたが。少しだけ恥ずかしいです。
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・おっ、可笑しい・・・貴女やっぱり面白い子ね！一花ちゃん」
涙を流してお腹を抱えている女性は、驚いた事に私の名前を知っていました。
私・・・名乗っていません。
この女性が急に怖くなりました。
「・・・貴女は誰？」
私は探るように私は女性を見つめた。
「ふふふ、誰だと思う？」
女性は楽しくてたまらないと言う風に、一花を見つめ返す。
「・・・知りたいから聞いているんです」
「・・・・そんなに知りたいの？一花ちゃん？」
悠馬をギュっと抱きしめます。
でも一瞬にして、悠馬は女性の腕の中に居ます。まるで瞬間移動です。
「私もこうしてあの子を抱いてやれば良かったのかしら？」
ポツリと物悲しそうに呟いて悠馬をあやし始めました。
何が何だか分りません。

「もう一度言います、貴女は誰ですか？それに悠馬を返してください」
「意地悪な一花ちゃんね？悠馬ちゃん」

「私の名前はニースと言うの一花ちゃん！ついでに、うちの愚息がお世話になっています」
ニースはゆっくりと頭を下げた。
「・・・え？愚息？」
「はい、うちの愚息ラヴィニスがお世話になっております」
ニッコリと笑うニースがラヴィニスにそっくりでは有りませんか？どうして気が付かなかったのでしょう？

それに異世界転移魔法陣何て言っていましたが！ラヴィニスのお母さんの家に来ちゃっただけではないですか！！

変な異世界に来ちゃったと思った私のバカ！！

それにしてもラヴィニスの母親は、美人ですね！！
ラヴィニスがカッコいいのは納得です。