勇者さまは私の愚弟です。

ホタル

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私の彼は、愚弟でした

人の噂はいつまでだっけ?

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「お前すげーな」

「こんにちわ」でも無く、「元気か?」でも無く。久し振りに会った幼馴染に言う第一声がこれですか?紅蓮!

「・・・何が?紅蓮」
紅茶を一口、口にしてから紅蓮の方を見た。

もうすでに、紅蓮の耳に入っているのか!

不機嫌に返事をするのは訳があります。

あれは2週間前の出来事です。

そう!『シュルプリーズ』でラヴィニスとジルを正座させて説教をしてから2週間!

一つの噂話がまことしやかに囁かれた。


『勇者と美しい従者を跪かせて優越に浸りながら、勇者につま先を舐めさせただけでは飽き足らず、舐められた足で勇者の後頭部に痛恨の一撃で勇者を床に沈め、勇者の頭を踏みつけて忠誠を誓わせて下僕にした』と言う噂話が広がっている。

絶賛拡散中です。

これは噂の一例です。

もっと酷い噂もある様です。

真実とは程遠い、ねじ曲がった噂が・・・。

「一花!当たり前だろう?あんな面白い話!!」

喜々として身を乗り出す紅蓮に一花の頬が引きつった。

一花の傷を見つけると酢と塩を混ぜて塗り付ける!

これがまた痛いところを重点的に塗り付ける!

紅蓮はそういう奴だった。

忘れていた訳ではありません。

紅蓮の存在自体を忘れていただけです。

そう、紅蓮の存在自体を忘れてました。

嗚呼、なんてタイミングで紅蓮は来たのでしょうか?

ラヴィニスに会いたいなら城で会えば良いって言うか?・・・私に会いに来たの?

わざわざ?

噂を当然信じて?

・・・いいえ紅蓮の事だからラヴィニスをどうやって下僕にしたか!を知りたいのでしょう。

紅蓮は伯父のラヴィニスの事が苦手の様で、ラヴィニスの前では借りてきたネコの様に大人しくなります。

だからでしょうか?私がラヴィニスを手懐けた経緯を知りたがっています。

でも残念な事に私も何故ラヴィニスに好かれたのかハッキリ言ってわかりません。

『本人に聞いてみて』と言ったら『そんな恐ろしい事言える訳無い』と言う始末。
その時の紅蓮の顔色と言ったら、紫色ですよ!紫色!唇が紫色になるのは見たことがありますが、顔が紫色になるのは初めて見ました。それが可笑しくて!可笑しくて!笑っていたら、紅蓮ったら『お前がラヴィニスと結婚をしないと俺がラヴィニスに嫌がらせされるんだよ。・・・一花と幼馴染と言うだけでラヴィニスは嫉妬するんだ・・・』最後の方は小さい声だったので聞こえませんでしたが、訳のわからない事を言いだす始末。

正直めんどくさい。

だからなのでしょうか?

今回の噂話も真実だと思って・・・。

いいえそれとも、もっと酷い事をしたと考えているでしょうか?
手懐けたと思っているのだから。

分かりますよ、だって、紅蓮の目が期待に、それはもう異様な輝きで私を見つめていますよ。

少年のような純真な眼差しだったら良かったのにと思えるほど、紅蓮の瞳は欲に汚れていましたよ。

残念な紅蓮。

「全然面白くは無いわよ紅蓮」
一花は一言紅蓮に言うと、目をキョトンとして紅蓮は一花の言葉を全く信じてはいなかった。

「わかったよ一花、それでラヴィニスに蹴りを入れたのは本当?」

なるほど、全、然!私を信じていないわね?

「だっだから・・・けっ蹴りは入れてないって・・・」
正直ラヴィニスに蹴りを食らわせてので目を合わせる事はできなかった。

「ふ~んそう?でも知っているか?一花?お前嘘をつく時は鼻の穴デカくなるって知っていた?」

「マジですか?紅蓮!」
一花は自分の鼻をつまんだ。

これで嘘がバレない・・・と思ったが・・・どうやら私は紅蓮の言葉に騙された様です。

騙された!

ニヤニヤと私を見る紅蓮が小鬼に見えます。

「・・・で?本当のところどうなのよ」

「・・・・蹴ったかも知れない」

「一花?良く聞こえなかったけど?」

「・・・蹴りました」

「ヤッパリ蹴ったか!手より足が出たのは流石に一花だな」

何が『流石』よ。

「流石ってどう言うことよ紅蓮!それにアレはラヴィニスが悪いのよ・・・あんな所で!あんなお店の所で!ラヴィニスったらストッキングの上からご褒美が欲しいと言って足の指を丹念に舐め回すのよ!しんじられる?」

同意を紅蓮に求めたが、帰ってきた言葉は否定の『いいえ』だった。

なにうぉ?







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