勇者さまは私の愚弟です。

ホタル

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私の彼は、愚弟でした

保護者

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髪の毛を振り乱し寝不足の目は充血し、悠馬に危害が有るのではと顔が引き攣りながら思いっきり走って、走ってやっと辿り着いたのが、懐しい少年騎士団寮。

懐かしい?‥‥‥懐かしいなんて思う訳が無い。今の私は悠馬の無事だけよ。

ここに悠馬が居る。そう思うと身体が自然に震えて来る。

もう少しで会えると思うと自然と心が高揚する。あのプニプニしてしっとりとした頬っぺた。愛くるしい笑いかた。たまにベソをかく姿はまさにエンジェル!


マイ スイート エンジェル!悠馬!!


何処のどいつだ!可愛い悠馬を攫いやがって!


当然!攫った奴の性根を強制したのは言うまでは無い。


ふっふっふ!


君がいけないんだよよ!


君が!


私の大事な悠馬を連れ去るから!だき石の拷問を受ける羽目になるんだよ!



うふふふふ。



当然だが、その上司も同じ目に合わせましたよ。

 
それが‥‥



何か?



問題でも?



ラヴィニスお前も同罪じゃぁぁぁ!




おーほほほほ!


一花は勝ち誇った様に立ち尽くしていると。一花の目の前には懐かしい人が立っていた。

「あなたは‥‥」



※※



騎士団の寮には2人で一部屋を共有している。貴族の子息のは1人で一部屋を利用している。

そして、扉を1つ、1つ開ける。

「ここにもいなぁ~い」

自然と一花の口から溢れた言葉と髪の毛を振り乱し血走った目で見部屋中を見渡した一花のに、部屋の中にいた騎士見習いは小刻みに震えていた。

トドメは部屋のドアを閉める時ニヤリと笑って更に騎士見習い達を恐怖の底へ叩き落とす事に余念は無かった。

これで何人かは騎士見習いを辞めて行った事は内緒の話し。







「ここにいたぁ~ふふふ」
やっと悠馬を見つけた。

「うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」

喜びの気持ちが一花の口から漏れる、溢れる。


『悠馬ったら、こんなところに隠れてダメだぞ!』と笑顔で悠馬に飛びつこうとした一花の瞳は獲物を見つけた飢えた獣の様に異様な光をもっていた。


笑いながら突進してくる一花を迎える男は震えながら一花に向かってナイフで渾身の一撃を‥‥くらわせたと思ったが、簡単に手からナイフを叩き落とされた。

『コイツ化け物か?』
言葉に出して言ったわけでは無いが、表情で読み取ったのか?一花は『いい度胸してるわね』と言って、股間を人蹴り。



あまりの激痛と出来事に男は泡を吹いて意識を失った。


まぁ当然でしょう。


私の悠馬に何かあったら、ただでは済まさない所存でございます。


オーホホホ!


※※


傷ひとつない悠馬の姿にホッとすると同時に、二度と悠馬を誘拐できない様に帰ったらラヴィニスに説教をする所存です。


放心していた男の隣にいた男は意外な人でした。


「遅い!貴女は一体何をして居たんですか?こちらは、このまま育てても構いませんでしたが!」


一花を冷たく睨む人は、悠馬を大事そうに抱えていた。

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