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出会いは突然に
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ハッァ!・・・ハッァ!・・・ハッ!・・・。
次の角を左・・、右・・・、そして、また、右・・・・。
「すみません!ごめんなさい!」
人にぶつかりそうになりながら、少年は走っていた。
雲ひとつ無い真っ青の空の下に、場違いな轟く怒声が響き渡る。
「まちやがれ―――!!このクソガキ―――!」
年季の入った抜き身のボロボロの剣を振り回して、腰の曲がった小柄の男がすばしっこい少年を追いかけまわしている。
「待てるか!バーカ!おとといきやがれ!くそ爺ぃ―――――――-!」
『やっと見つけたんだ・・ずっと探していたお父様のペンダント。お前の様な者にはふさわしくない。これは元あった場所に帰さないと』
少年はそっと胸にあるペンダントを握りしめる。
そして、追いかける男を小馬鹿にしながら人混みの中を走って逃げている。
男は『待てるか!バーカ!』という少年の言葉に、益々顔を赤かくして追いかけて来た。
それにしてもあの男しつこい、走るスピードも落ちてない体力バカなのか?
いやバカなのだろう!
バカを相手にするのは疲れる。体力が続かない。
少年の体力も呼吸する肺も限界に近付いてきた。
こうなれば街の路地裏に逃げ込んで、巻いてしまおう。
すぐに少年は裏路地に入り、また次の角を曲がると、目に前に壁があった。
全力で走っていたので避けられない!
ぶつかると目を閉じて衝撃に身を強張らせた。
「ぶわっ!」
壁に激突!!と思ったが・・・あまり痛くない・・・。
あまり痛くないが、激突したので少年は尻もちをついていた。
少年は、ゆっくりと目を開けた。
少年が壁だと思っていたのは、身長2メートルの赤い短髪の男若干日焼けした腕には呪文のような刺青が施されていた。
ついでに言うと、目つきがすこぶる悪い。
少年は、この大男にぶつかって尻もちをついていたのだった。
2メートル近くある大男は、ぶつかってきた少年をじっと見下ろしていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
尻もちをついた少年と大男は、言葉を交わさずただ、お互い睨み合っていた。
遠くから、声が聞こえてくる。
「ただじゃおかねぇ―――どこ行きやがった―――!」
声がだんだん近づいてくる。
少年は、声のする後ろを振り向いた。
まずい早く逃げなくちゃ、でもどこに?
周りを見ても大男以外に隠れるところはなかった。
「・・・お前、追われているのか?」
コクンと大男の問いに頷いた。
少年は、この大男を盾にして逃げ切る算段を頭の中で組み立てた。
「・・・はい僕は6軒先の宿屋に泊まっていたのですが、隣部屋にいた男が、そっちの趣味があるみたいで、僕の部屋に押しかけて、無理やり毛布を引きはがして・・・あんな事や・・・こんな事を・・・うぅぅ・・・」
泣く振りまでしたが、どうせ駄目だよな?騙され無いよな、さすがにそんな嘘、信じるバカはいよな・・・。
泣き真似をしながら、目つきの悪い大男をチラッと見ると。
「そうか・・・大変だったな・・・・・・もう大丈夫だ!俺がいる」
少年の頭をポンと軽くたたいて、フッと目じりを細めて笑った。
・・・・思いっきり少年の嘘を信じている。
あんな話・・・信じるバカがいたなんて・・・助かった。
こいつを囮にして、さっさと次の街に行こう!
彼とは今、この場を切り抜けるだけの関係なのだから。
少年はほそ笑んだ。
※※
「見つけたぁ―――-!ここに居たかぁ―――!さあ返してもらおうか小僧ォ―――!」
抜き身のボロボロの剣を振りかざしている腰の曲がった小柄の男は、大男の後ろに居る少年を見た。
そして、改めて大男をみて「あんた、コイツの仲間か?」と聞いた。
大男が少年の仲間だったら、勝ち目がない事を火を見るよりあきらかだった。
「いや、違うが」
「関係ねえーなら、引っ込んでいてもらおうか!俺はコイツに用があるんだ」
大男が少年の仲間でないと分かって、小柄な男は少年を見てニタリとわらった。
笑うと、小柄な男の口の中は何本か歯の抜けているのが見える。
そこから悪臭が漂てくるように見えるのは少年の気のせいだろうか?
「それは無理な相談だ。たった今こいつは俺が保護することになったからな」
目つきの悪い大男は、自分の持っている剣を、鞘から抜いた。
『は?保護?誰が?』
この人は何を言っているの?
ビックリした少年は大男を見上げた。
驚きを顔に出さないだけでもほめて欲しい。
そんな少年を見て大男はニヤリと少年に向けて笑い、続いて小柄な男の目を射抜いた。
「おっおい冗談だろ?何もこんなガキの為に・・・剣を抜く事はねぇだろ?旦那?」
分が悪いと思ったのか、小柄の男は言葉を発すなり、一直線に少年に向かって剣を振りおろした。
『斬られる』と思った瞬間、大男が相手の剣を叩き折った。
力の差は歴然としていた。
普通は剣を折ると芸当は出きない。
大男の力と瞬発力で叩き折った事になる。
「消えろ!」
大男は、殺気を滲ませて言った。
「ヒィィィィィ――――――――!」
剣を、叩き折られた小柄の男は、何が起きたか理解できず一瞬、惚けていたがすぐに状況を飲み込み声を引きつらせて逃げていった。
少年も余りの早い決着に呆気に取られて呆然としていた。
強い!こんなに強かったなんて!計算外だ、これでは二人が剣を交わっている間に逃げ出すという少年の計画は台無しになった。
―――――――だが、少年の耳にに悪魔が囁く・・・。
この際だ大男からお財布をいただこう。金は多くて困ることは無い・・・・。
大男の財布の中身次第では、目的地まで、真っすぐ行く事が出来る。
今までみたいに路銀を稼ぎながら、旅をする必要がなくなる。
ナイスアイディアだ。
そうと分かれば計画実行だ。
次の角を左・・、右・・・、そして、また、右・・・・。
「すみません!ごめんなさい!」
人にぶつかりそうになりながら、少年は走っていた。
雲ひとつ無い真っ青の空の下に、場違いな轟く怒声が響き渡る。
「まちやがれ―――!!このクソガキ―――!」
年季の入った抜き身のボロボロの剣を振り回して、腰の曲がった小柄の男がすばしっこい少年を追いかけまわしている。
「待てるか!バーカ!おとといきやがれ!くそ爺ぃ―――――――-!」
『やっと見つけたんだ・・ずっと探していたお父様のペンダント。お前の様な者にはふさわしくない。これは元あった場所に帰さないと』
少年はそっと胸にあるペンダントを握りしめる。
そして、追いかける男を小馬鹿にしながら人混みの中を走って逃げている。
男は『待てるか!バーカ!』という少年の言葉に、益々顔を赤かくして追いかけて来た。
それにしてもあの男しつこい、走るスピードも落ちてない体力バカなのか?
いやバカなのだろう!
バカを相手にするのは疲れる。体力が続かない。
少年の体力も呼吸する肺も限界に近付いてきた。
こうなれば街の路地裏に逃げ込んで、巻いてしまおう。
すぐに少年は裏路地に入り、また次の角を曲がると、目に前に壁があった。
全力で走っていたので避けられない!
ぶつかると目を閉じて衝撃に身を強張らせた。
「ぶわっ!」
壁に激突!!と思ったが・・・あまり痛くない・・・。
あまり痛くないが、激突したので少年は尻もちをついていた。
少年は、ゆっくりと目を開けた。
少年が壁だと思っていたのは、身長2メートルの赤い短髪の男若干日焼けした腕には呪文のような刺青が施されていた。
ついでに言うと、目つきがすこぶる悪い。
少年は、この大男にぶつかって尻もちをついていたのだった。
2メートル近くある大男は、ぶつかってきた少年をじっと見下ろしていた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
尻もちをついた少年と大男は、言葉を交わさずただ、お互い睨み合っていた。
遠くから、声が聞こえてくる。
「ただじゃおかねぇ―――どこ行きやがった―――!」
声がだんだん近づいてくる。
少年は、声のする後ろを振り向いた。
まずい早く逃げなくちゃ、でもどこに?
周りを見ても大男以外に隠れるところはなかった。
「・・・お前、追われているのか?」
コクンと大男の問いに頷いた。
少年は、この大男を盾にして逃げ切る算段を頭の中で組み立てた。
「・・・はい僕は6軒先の宿屋に泊まっていたのですが、隣部屋にいた男が、そっちの趣味があるみたいで、僕の部屋に押しかけて、無理やり毛布を引きはがして・・・あんな事や・・・こんな事を・・・うぅぅ・・・」
泣く振りまでしたが、どうせ駄目だよな?騙され無いよな、さすがにそんな嘘、信じるバカはいよな・・・。
泣き真似をしながら、目つきの悪い大男をチラッと見ると。
「そうか・・・大変だったな・・・・・・もう大丈夫だ!俺がいる」
少年の頭をポンと軽くたたいて、フッと目じりを細めて笑った。
・・・・思いっきり少年の嘘を信じている。
あんな話・・・信じるバカがいたなんて・・・助かった。
こいつを囮にして、さっさと次の街に行こう!
彼とは今、この場を切り抜けるだけの関係なのだから。
少年はほそ笑んだ。
※※
「見つけたぁ―――-!ここに居たかぁ―――!さあ返してもらおうか小僧ォ―――!」
抜き身のボロボロの剣を振りかざしている腰の曲がった小柄の男は、大男の後ろに居る少年を見た。
そして、改めて大男をみて「あんた、コイツの仲間か?」と聞いた。
大男が少年の仲間だったら、勝ち目がない事を火を見るよりあきらかだった。
「いや、違うが」
「関係ねえーなら、引っ込んでいてもらおうか!俺はコイツに用があるんだ」
大男が少年の仲間でないと分かって、小柄な男は少年を見てニタリとわらった。
笑うと、小柄な男の口の中は何本か歯の抜けているのが見える。
そこから悪臭が漂てくるように見えるのは少年の気のせいだろうか?
「それは無理な相談だ。たった今こいつは俺が保護することになったからな」
目つきの悪い大男は、自分の持っている剣を、鞘から抜いた。
『は?保護?誰が?』
この人は何を言っているの?
ビックリした少年は大男を見上げた。
驚きを顔に出さないだけでもほめて欲しい。
そんな少年を見て大男はニヤリと少年に向けて笑い、続いて小柄な男の目を射抜いた。
「おっおい冗談だろ?何もこんなガキの為に・・・剣を抜く事はねぇだろ?旦那?」
分が悪いと思ったのか、小柄の男は言葉を発すなり、一直線に少年に向かって剣を振りおろした。
『斬られる』と思った瞬間、大男が相手の剣を叩き折った。
力の差は歴然としていた。
普通は剣を折ると芸当は出きない。
大男の力と瞬発力で叩き折った事になる。
「消えろ!」
大男は、殺気を滲ませて言った。
「ヒィィィィィ――――――――!」
剣を、叩き折られた小柄の男は、何が起きたか理解できず一瞬、惚けていたがすぐに状況を飲み込み声を引きつらせて逃げていった。
少年も余りの早い決着に呆気に取られて呆然としていた。
強い!こんなに強かったなんて!計算外だ、これでは二人が剣を交わっている間に逃げ出すという少年の計画は台無しになった。
―――――――だが、少年の耳にに悪魔が囁く・・・。
この際だ大男からお財布をいただこう。金は多くて困ることは無い・・・・。
大男の財布の中身次第では、目的地まで、真っすぐ行く事が出来る。
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ナイスアイディアだ。
そうと分かれば計画実行だ。
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