フシギナハナシ【ショートショート】

ブンショー

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現代編

エリンギマイタケ

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土曜日の静かな午後だった。

E「私はエリンギが好きだな」
M「いや私はマイタケが好きなんだよ」
E「へぇーそんなにエリンギが好きなんだな」
M「君こそマイタケなんて好きなんだな」
E「おいマイタケなんてっとはなんだよ」
M「それ以外に何か言い方はないのかよ!」
E「あほか、それ以外にあるか!」

これをきっかけにエリンギ好きのEと
マイタケ好きのMは相手の言い分に納得が行かず戦闘を回避することは不可能だった。

EはまずMの胸ぐらを掴み右ストレートをお見舞いする。

だがそれを既に見切っていたMは既のところで右ストレートを回避、そこに待ってましたとMは回避したその姿勢から大きく後ろに反り返り左のハイキックをお見舞いする。

【バキッッッ!!】

大きな音とともに骨のきしむような音が鳴り響いた。

Eはその衝撃を受けややたじろいだ。
だがその顔にはダメージとは裏腹に笑顔があった。

「これだよ!これを待ってたんだよ!!!」

Eは痛みを堪えるどころか、より全身の神経が冴え渡る感覚を覚えたようだった。

Mもこればっかりは意外な反応だと、一瞬驚いた顔を覗かせたが

「E、だよな…そうこなくっちゃな!!」

Mは上半身のシャツをこれみよがしに破り捨て、服の下に隠していた驚くべきほどの肉体を顕にした。

Eも興奮を抑えることができず身体を震わせている、再び体勢を整え対峙した2人は睨み合いとなった。

しばらくの間沈黙は続いた。

時間にして10秒にもならなかったであろうが2人には1時間を超えるような時間に感じることができた。

そして口を開いたのはEだった。

「お前には知っておいて欲しかったよエリンギの良さを…」
「こちらも同感だ…死ぬ前にマイタケを食べさせてやりたかった」

「じゃっいくぜ!!」
「おうっ!!!」

2人はほぼ同時に自身の信じるものを掲げた!
「この旨さをわからんのかーーー!!」
奇声とも呼べる声は同時になり響いた!

そして2人同時に目を疑った。

E「おい、それしめじだぞ」
M「お前こそ、それエノキじゃないか」

「………」

互いの過ちに気づいた二人は
静かに仲良くすき焼きをすることにした。
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