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「ダメー! 清太は私の旦那様なのー!」
「そうですわ。清太様は私の殿方なのですわ!」
ネーリとエレガンが強気に前に出る。ていうか、エレガンまで前に出なくても。
「もー。二人共独占欲高いなー。あ、私はオーハ。よろしく。はい、そっちも自己紹介!」
「ネーリだよ!」
「エレガンですわ。オーハ、あなたのことは存じておりますわ。水泳界の若き精鋭。この前の自由泳ぎの大会も優勝していましたわよね」
「うん。確かにそれは私だね。でも、この前の大会は、私だけの力でもないんだよなあ。そのちょっと前は、スランプで大変だったんだから。でも、うささんが来てくれたら、すぐに私の調子が戻った。だから前の大会の優勝は、うささんのおかげでもあるんだよ!」
笑顔でそう言うオーハは、屈託なくて見ていて気持ちが良い。
「そう言ってくれて、ありがとう」
「うん。だから、うささんを紹介してくれた元の、清太にもお礼が言いたくて。本当にありがとう。あ、言葉だけじゃないよ。ちゃんとこっちにお礼の品も用意したんだから、こっち来て!」
俺達はオーハについていって、屋敷の中に入っていった。
そしてとある一室で、オーハは俺達に一着の下着を見せた。
「はい、エッチな下着、プレゼント!」
「いらない」
なんでこの人は笑顔でこんなもの見せられるんだ。
「ええーっ。でもでも、女性ならエッチな下着の一つや二つ、欲しいでしょ?」
「いや、俺はいらない」
そう言う俺の顔を、ネーリとエレガンが覗き込んできた。
「清太、これ、私に着てほしい?」
「いや、決してそんなことはないよ」
「清太様。これを身につけたら、また私と子作りしてくださいますか?」
「いや、決してそんなことはないよ」
「おやおや、お二人は興味津々だねえ。それじゃあ、もう一着、候補から外したのもプレゼントするよ。これで二人にあげられるね!」
いやいやオーハ、だからそんなことは望んでないって。
「え、もう一つあるの。やったー!」
「これで清太様をメロメロにできますわ!」
「二人共、そんなので釣られないで」
結局、二人は一つずつエッチな下着をもらってしまった。これ、俺、後で大丈夫だろうか?
「さて、じゃあ次は、うささんとの面会だね」
オーハがそう言うと、ネーリが両手を上げて喜んだ。
「わーい、うささんにやっと会えるー、久しぶりー!」
「そういえば、そういう話でしたわね」
「オーハ、うささんはどこ?」
「こっちだよ」
俺達は再びオーハに案内される。するとうささんは個室で、大量に与えられたニンジンスティックをかじっていた。
「ポリポリ。はあ、やっぱりニンジンはどれだけ食べても飽きませんねえ。む、この匂いは清太。あーん、会いたかったあー!」
うささんは俺を見つけるや否や、まっしぐらに俺の足元に駆け寄り、体をすりよせてくる。
「わあ、うささん久しぶりー、元気そうだねー!」
ネーリがうれしそうにうささんを見る。俺もうれしい。
「ああん、ウサギだけずるいですわ。私も清太様にすりつきますー」
エレガンがここで俺にしなだれかかる。
「ああ、ちょっと、エレガン」
困る俺。
「ああ、エレガンダメー、エレガンだけずるいー。私もー!」
そう言って反対からネーリもしなだれかかってくる。ちょっと重い。
「むむ、いらぬメスが多いですが、清太ー、あなたの匂いをこうしてまたかぎたかったですぞー。すりすりくんかくんか」
「ああ、皆いいなあ。よし。それじゃあ私も!」
そしてなぜかオーハも、後ろから俺の腰にだきついてきた。尻の割れ目に顔をこすりつけられる。
「うわあ、オーハ!」
びっくりする俺。
「ああん。何この新鮮な刺激。私、とってもゾクゾクするう!」
ダメだ、オーハも、それに皆も止まらない。
「私もこの機会に乗じるべきかしら」
「いや、ダメ、イーニエ。ダメ絶対。ていうか皆ももうダメだから、落ち着いてー!」
なぜか俺はしばらくの間、三人とうささんに抱き着かれ続けた。
一旦皆が落ち着いた後、俺はイスに座って膝の上にうささんを置き、頭や背中をなでてやることにした。
「おお、この感じ。なんとも久しぶりですなあ。ふふ、天国が久しぶりにやってまいりました」
うささんは上機嫌だ。そしてオーハは、うらやましそうに俺とうささんを見る。
「あー、うささんいいなー。清太にいっぱいお触りしてもらってて」
「オーハ、それはうらやましくないと思う」
「それに、うささんも普段はそんなに触らせてくれないんだよ。自分から近づいてきてもくれないし。なのに清太は凄いなあ!」
尊敬の目を向けられる俺。俺は思わずそっぽを向く。
「ふん。誰がメスなんかに近づくか。私は基本、発情期に同じウサギのメスにしか近づかないのです」
うささんの本音を皆に伝えたら、皆はなんて言うだろう。いや、平和のために言わないでおこう。
「んー。よし。うささんが元気かは確かめたね。私、なんだか安心した!」
「そうですか。ということは、もうここに用はないということですわね?」
ネーリとエレガンがそう言うと、オーハはそちらへと笑顔を向けた。
「だったらうちで泳いでいかない? 折角プールがあるんだからさ。水着も貸してあげるよ!」
「えっ」
俺、泳げないんだけど?
「え、泳げるの。私泳ぎたーい!」
「ふん。まあ、清太様と一緒に泳げるチャンス、逃す手はありませんわ」
「よし。それじゃあ決まりだね。今からプールに行こう!」
「あ、あの、俺、泳げないんだけど」
「大丈夫。泳げなくても楽しいよ。なんならうささんもつれていこう!」
「え、ええ?」
こうして、なぜか俺は、プールで泳がなければいけなくなった。
更衣室は、男女が分かれていなかった。
というか、男が基本この社会にいないのだ。
「きゃー、この水着可愛い!」
遠慮なく裸になって一番に水着になったネーリが、テンションを上げている。
「うん。今年の水着を取り揃えているからね。女は常に最先端の魅力をもってないと」
「さっすがオーハ! ねえねえ、清太。私、どう。きれい?」
「う、うん。きれいだよ」
「ちゃんとこっち見て言って!」
そう言われて、ネーリの手が俺の顔の向きを変える。
すると。
「ひゃっ」
「いやん!」
オーハが水着をつけていない胸をおさえて、エレガンが水着をつけていない腰を隠した。イーニエは丁度無言で水着に着替えたところだ。
ああ、まさかこんなハプニングが起こるなんて。手遅れだけど、目を瞑る。
「もう、清太。目を瞑ってちゃ私を見れないでしょ!」
「お、俺も着替えたらネーリを見るから、それまで待ってて」
「はーい。あ、じゃあ私が、清太の着替え手伝ってあげるね!」
「え、あ、ちょっと待ってっ」
「大丈夫。私は清太の裸見慣れてるから、それー!」
「きゃー!」
思わず叫ぶ。ああ、やだ、人前で裸にされるー!
「まったく、人というものは一度の着替えでやかましいですなあ」
この中で冷静なのは、うささんだけだろう。
「ああ、あれが男の方の腰の詳細!」
「あ、ああ、清太様。もう股間のあそこがビヨンビヨンしていますわ!」
しかも、オーハとエレガンにバッチリ俺の大事なところを見られてしまう。もうダメだ。心折れる。
「さあ、清太。ここに手を通してー」
しかも俺が今着せられているのは、スクール水着みたいな水着だ。
ザ、女の子用。
それを、着せられてしまった。
「よーし、でーきた!」
「は、恥ずかしい」
「せ、清太様、ステキ!」
「これが男の水着。やだ、なんか鼻血出そう」
ネーリは相変わらず元気だし、エレガンはときめいてるし、オーハは興奮している。そして俺は、三人の前でスクール水着姿。
は、恥ずかしい。死にたい。
「ね、ネーリ。もう、限界」
「うん。私も限界。早くプールに入ろう。それー!」
ネーリはまるで俺の精神をぶち壊すかのように、俺の手を引っ張って走った。
「ひゃっほー!」
そしてそのまま、俺もろともプールへイン。
「ぷはあっ。楽しい! どう、清太」
「がぼがぼ、助けて、ごぼごぼ」
俺は溺れた。
そう。俺は泳げないんだ。
泳げないんだよ。
「きゃあ、清太が大変!」
「なんだって、とう!」
俺はネーリとオーハによって、救出された。
プールからあがる俺。そこで、飲んだ水を吐き出す。
「ああ、ダメ。死ぬかと思った」
「ごめん、清太。私、はしゃぎすぎちゃって」
「ううん。いいよ。でも、俺もう本当にダメだから、後はずっとここで休ませて」
「うん。本当にごめんね?」
「だ、大丈夫、今は」
とにかく、ゆっくりしたい。
「あーあ、折角清太と一緒に泳げると思ったのに。しょうがない。それじゃあネーリ。一緒に泳ごう!」
「うん。競争しよう。負けないよ!」
「いいよ、それ!」
ネーリとオーハはまた元気よくプールへととびこむ。その間、俺はぼーっとする。
「清太。お前も大変だな」
「お隣失礼いたしますわ。清太様」
ここで、うささんとエレガンが両隣にきた。更にエレガンの後ろに、イーニエも控える。
「うささん、エレガンも。泳がなくていいの?」
「安心しろ、清太。ウサギは泳げん」
「私は清太様といる方が幸せです。それより清太様。私の水着姿、いかがですか?」
「う、うん。良いと思うよ」
「やったっ。うれしいっ。ではこのそそる水着と私の柔肌を、どうぞご堪能ください!」
「い、いや、そういうのは無理」
「遠慮しなくてもよいのですよ」
「遠慮とかそういう問題じゃないよ」
それからうささんとエレガンが、俺によりそってきた。そのままどちらも俺の変なところをまさぐりそうな感じだったので、とっさに両方の頭をなでて動きを止める。
「あああ、久々の清太の頭なでなで、幸せー」
「うふふ。清太様。私、幸せですわ」
俺に手が出されないように、なんとかこの状態をキープしよう。
そう思っていたら、イーニエが後ろから俺に抱き着いてきた。
「ふうっ」
「っ」
イーニエに、耳に息をふきかけられる。しかも俺の両乳首を、水着越しにいじってきた。
「イー、イーニエ。やめて」
思わずそう言う。すると、イーニエは俺の耳を唇噛みした。
「はい。ですが、清太様が悪いのですよ。こんなにも強く男の匂いをさせるから。はあはあ」
ダメだ。イーニエが暴走している。
「エレガン、止めて」
「んん? ふふ。清太様。このままもっと頭をなでてくださいませ」
ダメだ。エレガンもダメな感じになっている。
そのまま俺は体を弄ばれ、とうとうイーニエの手が俺の水着の中に入ってきた時、ネーリとオーハが戻ってきた。
「あー、皆ダメー。一度清太から離れてー!」
そしてネーリが皆を散らしてくれる。
「あ、ありがとう。ネーリ」
「清太。大丈夫、乱暴されてない?」
「う、うん。どうにか」
俺はひとまず立ち上がる。するとそこに、オーハが近づいてきた。
「うーん。遊びのプールも気持ち良いなあ。でも私、ちょっと熱い気分になってきちゃったよ」
そう言ってオーハが、ごく自然な動きで俺にだきつく。そして、耳にキスしてくる。
「ちゅ」
「あ、オーハ、ダメ!」
「ダメって、泳いだ後男がいたら、誰だってこうなっちゃうでしょ。ねえ、お願い。子作りしてえ。お金なら払うから、私今シたいいっ」
「オーハ、ダメだよ。清太をお金で抱くなら、一億は必要なんだから!」
「一億う? それくらい、ぽんと出してあげるよ。なんならかわりに、この別荘をあげちゃう」
そう言ってオーハは俺を押し倒し、俺の水着を脱がし始めた。
「ああ、オーハ、ダメ、だって」
「何がダメなのお。私、早く清太を味わいたいよおお。ほら、清太のここ、すごーい!」
ダメだ。俺の制止じゃ、きかない!
「あわ、あわわ」
「せ、清太様がおそわれてる。ダメ、私今頭なでられすぎて、体に力入らないい」
「私も、清太様の乳首をいじりすぎて、止める気になれません。ああ、清太様とオーハ様がつながってしまう」
「おやおや、清太はこんなところで交尾ですか。まったく、けしからんですな」
ああ、ダメだ。皆、ただ俺とオーハのなりゆきを見守っているだけだ。うささんですらガン見している!
そしてオーハは水着の下と俺の水着をスポポーンとし、ラブハリケーンした。
「ああん、お日様の下でのプールハプニング、良いー!」
「あー!」
まさかこんなことになろうとは。
とにかくこうして俺はオーハの別荘をもらい、ひとまず家に帰った。
その後はウサギ達に、ひたすらなぐさめてもらった。
俺、もう女性を信じられない。
そう思いながら、無心にウサギをなで続けた。
そうしていると、今回のウサギの世話も終わり、また新たなウサギの世話をする。
お金も順調に増えていく。というか、使い道がない。
ネーリも今はあんなことやこんなことを結構控えてくれるし、今は結構、安らぎの時間が続いていた。
正直、やっと理想に近いひきこもり生活がやって来たと思って、安心していたんだと思う。
それがよくなかったのかもしれない。
「こんにちはー。ジュエルラビットファクトリーですー」
「ん、呼んでないのに、なんの用だろう。というか、ウエルの声じゃなかったな」
俺はいつものように、玄関に行き、ドアを開けた。
すると、突然何者かにスプレーをふきかけられた。
プシュー。
「うっ」
薄れていく意識。
やがて、どたっと、何かが倒れる音がした。
あれ、これ、俺が倒れた音?
そう思った直後、俺の意識が途切れた。
気が付いたら、俺は牢屋の中にいた。
しかもよく見ると、周辺には大量のジュエルラビット達。
「ここは」
そう呟くと、やがて、牢屋の向こうに誰かが来た。
それは、白髪の女性だった。
「どうやら目が覚めたようだね」
「お、お前は」
「私はジャッテ。どこにでもいるような金持ちさ。そしてここは、私の別荘の地下牢だ」
ほ、本当に地下牢だったのか。
というか俺は、さらわれた?
「お、俺をどうするつもりだ?」
「何、どうもしないさ。ただ、ジュエルラビットの宝石を育ててほしいんだ。君がジュエルラビットの宝石を短時間で大きくできることは既に調べがついている。その才能を私のためだけに使ってほしいのだよ」
そうか。やはり、目的はこの周囲のジュエルラビットか。
「や、やっぱり、俺を誘拐したんだな。目的は、ジュエルラビットを育てての、金か」
「ああそうだ。まあ、ただ閉じ込めるだけだ。安心したまえ。はっはっはっは」
そう言ってジャッテは立ち去った。後に残されたのは、大量のジュエルラビットのみ。
「こいつ、良い匂いだー」
「良い匂いだー」
「おちつくー。幸せー」
俺はひとまず、ジュエルラビット達の頭をなでることにした。
それしか、やることがないからだ。
それに、もしジュエルラビットを上手く育てられなければ、俺は更に酷い目にあわされるかもしれない。
今は、ネーリや警察が助けにきてくれるのを待とう。
それに、ここは狭いし薄暗い。環境的には、悪くない。
「どうにか、なるといいな」
俺は自分を安心させるように呟きながら、無心にウサギをなでる手を動かし続けた。
三日後。ジャッテが牢屋内のジュエルラビットを確認しにきた。
「ふむ。確かに宝石が育っている。まだどれも1センチに満たないが、確かに早い」
ジャッテはそう言って、何度もうなずく。そしてそれから、俺を見た。
「それにしても、男という者は興味深いな。なぜか無性に気になる。今なら邪魔する者もいない。ここは一度、遊んでみるか」
そう言うとジャッテは、なぜか牢屋の中に入ってきた。
「何をする、つもりだ」
「なに。私も子作りをしようと思ってね。私はこれでも女なんだ。君も好きだろう。一緒に気持ち良いことしようじゃないか」
「俺は、そんな気はない」
「君になくても、私にはある。ふふふ。そう怯えるな。きっと気持ち良いぞ?」
そして俺は押し倒され、あっけなくあんなことやこんなことをしてしまった。
すると。
「あ、あひいっ。なにこれ、しゅごいー!」
ジャッテはあっさり敗北し、気絶した。
俺、裸になりながら呆然とする。
あれ、何この展開?
そう思っていると、遠くからドタドタと音がして、ネーリ、エレガン、イーニエ、オーハがやって来た。
「清太!」
「清太様!」
「清太!」
「清太様、ご無事ですか!」
「ああ。ネーリ、エレガン、オーハ、イーニエ。うん。大丈夫。俺を捕まえた犯人は、ここ」
四人は俺と気絶しているジャッテを見て、ホッとする。
「流石清太。犯人を捕まえたんだね!」
「素晴らしいですわ清太様。これで犯人は、完璧に捕まえられます!」
「清太素敵。やっぱり男って頼りになる!」
「今牢屋を開けます。さあ、このまま帰りましょう」
ネーリ、エレガン、オーハ、イーニエがそう言って、無事鉄格子は開き、俺は解放される。
「皆、ありがとう」
服を着ながら、そう言った。
そしてジャッテは、逮捕された。
「清太がさらわれた後、大変だったんだからね!」
ユーフォーの中で、ネーリが横から俺にだきつきながら言う。
「警察に電話して、ジュエルラビットファクトリーにも伝えて、エレガンにも頼って、オーハにも連絡して。そうしたら皆が抱えている特殊部隊達が一斉に清太を探し始めて、それでも三日はかかっちゃったんだから!」
つづけて、エレガンが横からだきつきながら言う。
「相手、ジャッテは強敵でした。衛生の記録や監視記録もぬり換えて、巧妙に清太様の誘拐を隠していたのですから。ですが、もう安心です。今度は、もっとセキュリティーの高い住居に引っ越しますわ。そしてそこには、私の会社の警備隊もいるから、安全です」
「私のとこの組員もいるよ!」
オーハが俺の足にだきつきながらそう言った。
「私と清太の愛の巣からは離れちゃうけど、清太の安全のためだもん。仕方ないよね!」
そして、ネーリがそう言った直後、イーニエが言った。
「皆さま。清太様の新居につきました。お降りください」
そして、ユーフォーから出たら、目の前には日本の城があった。
あれは、金のしゃちほこ?
「さあ、清太。ここが私達の新しい家だよ!」
「私達の財産を惜しみなく投入して、新しく用意したのですわ!」
「これから私達、ずーっと清太と暮らせるよ!」
え、え、どういうこと?
なぜか、よくわからない内に俺は、ネーリ、エレガン、オーハと同居することになったらしい。
そして、新居は城。
「何がどうなって、こうなったんだ」
「全ては清太のためなんだからね!」
三人同時にそう言われる。あいや、エレガンだけは様づけだったけど。
とにかく、俺はそのまま城の中に案内されることになった。
良かった。俺用の狭くて薄暗い部屋はあった。
ただ、ベッドが床敷きになって、四人寝れるようになっているのは気になるけど。
そしてそこには、ウサギがいっぱい。
「お、清太だ。やったーまた会えたー!」
あ、うささんもいる。うさいちやうささんもいるぞ。
「清太。今日からここが清太の部屋だよ!」
「そして、私達の寝室でもありますわ」
「今夜からずーっと、私達一緒だよ!」
ネーリ、エレガン、オーハに言われる。
「あ、あの、一人になって寝るっていうのは」
「無し!」
三人同時に言われた。
「私、清太と一緒じゃないと寝られないの」
「私もですわ。清太様がいないベッドの中で、毎晩寂しく泣いてますのよ」
「私だってそうだよ。毎晩清太が恋しいんだからね」
「だから、一緒に寝よ?」
三人同時にまた言われて、逃げ場がない雰囲気だ。
「観念してください」
イーニエにもそう言われる。
「はあ。わかりました」
どうやら、諦めるしかないみたいだ。
でも、またさらわれるよりはマシか。
今だけは、皆の気遣いを受け入れよう。
それと身がもつかどうかは、別だけど。
誘拐事件が終わった後、幸い俺の静かな時間はあった。
日中、皆大体仕事に励むからだ。
休みの日は俺とべったりしようとするけど、そうじゃない日もある。
俺はたまに神経をすり減らしながらも、なんとかひきこもり生活をエンジョイした。
そして、ある時、それが起こった。
「あ」
リングの宝石が、ある時とれた。
突然ぽろっと、俺が見ている前でだ。
「だ、大丈夫か、リング!」
俺は慌てて、リングの心配をする。
「ん、大丈夫ー。宝石は重かったし、また生えてくるよー」
「え?」
そうなの?
じゃあ、この宝石、どうしよう?
「ひとまず、エレガンに報告しよう」
結局、リングを育てる報酬は、落ちた宝石十センチの適正価格、5億ということになった。
ただ、この十センチの宝石、今までとれた試しがないらしい。
ならなぜ適正価格があるかというと、もし手に入れた時のためにつけておいたものだそうだ。
ということで、俺は5億ゲット。ネーリと山分けする。
そしてこの十センチ宝石、なんと不思議な力があった。
握っているだけでわかる、温かい、そして何かが動いている感覚。
他の宝石にはない力だった。
エレガンとイーニエはそれに興味を示し、宝石を研究所に送った。
そしてリングの飼育だが、それは続けることになった。
捕らぬ狸の皮算用で言うと、また数十日後に5億もらえるという予定。
それでいいのかと思うが、本人からオーケーが出たので何も言えない。
そういう契約を結んだら、次はうさいちの宝石が取れた。
うさいちの宝石も、大分大きくなっていたからな。
それもエレガンの研究所に送られる。
何か成果があるといいな。
ある時、エレガンが休みの日になって、俺にすりよってボーッとしていた。
すると突然ぽつりと、こう言った。
「清太様。清太様は、株の投資は行いませんか?」
「え、株?」
「はい。折角資金があるんですもの。やってみてもよろしいのではなくて?」
「でも株って、やったことないからわからないよ」
「大丈夫。ギャンブルみたいなものですわ。それに、上手くいけば自分も儲かるし、投資した会社も儲かります。それは社会にとても良い循環となりますわ」
「そう言われてもなあ。エレガンは株、やってるの?」
「はい。セレブですから」
「そうかあ。でも俺はセレブじゃないからなあ」
「もう十分リッチですわよ。あ、ではこういうのはどうでしょう。私がご紹介する会社からいくつか選んで、それに投資するというのは?」
「なるほど。それなら、悪くないかも」
「はい。必ず清太様に損はさせませんわ」
「わかった。じゃあ、失敗しても、やろう」
「はい。清太様!」
こうして俺は、三つの企業に投資をすることにした。
グリーンフレッシュ。
ビューティフルマイン。
+ムービー。
そこに、一億ずつ投資してみる。
すると、俺は株主への報酬として、すぐに三種類の物をもらった。
グリーンフレッシュは野菜作りの会社だったので、新鮮な野菜。
これはウサギ達が喜んだ。
ビューティフルマインは美容の会社だったので、美容液とサプリ。
サプリくらいなら飲めるけど、美容液はちょっと。と思っていたら、毎朝毎晩、皆が俺の全身にぬってくれるようになった。
そして+ムービーはゲームの会社だったので、ゲーム機とソフト。
俺はゲームをやったことないけど、そんな俺でも遊べるのだろうか?
まあ、試しにやってみる。
飽きたらやらなくなるだけだ。折角届いたんだから、ちょっと試してみた。
「そうですわ。清太様は私の殿方なのですわ!」
ネーリとエレガンが強気に前に出る。ていうか、エレガンまで前に出なくても。
「もー。二人共独占欲高いなー。あ、私はオーハ。よろしく。はい、そっちも自己紹介!」
「ネーリだよ!」
「エレガンですわ。オーハ、あなたのことは存じておりますわ。水泳界の若き精鋭。この前の自由泳ぎの大会も優勝していましたわよね」
「うん。確かにそれは私だね。でも、この前の大会は、私だけの力でもないんだよなあ。そのちょっと前は、スランプで大変だったんだから。でも、うささんが来てくれたら、すぐに私の調子が戻った。だから前の大会の優勝は、うささんのおかげでもあるんだよ!」
笑顔でそう言うオーハは、屈託なくて見ていて気持ちが良い。
「そう言ってくれて、ありがとう」
「うん。だから、うささんを紹介してくれた元の、清太にもお礼が言いたくて。本当にありがとう。あ、言葉だけじゃないよ。ちゃんとこっちにお礼の品も用意したんだから、こっち来て!」
俺達はオーハについていって、屋敷の中に入っていった。
そしてとある一室で、オーハは俺達に一着の下着を見せた。
「はい、エッチな下着、プレゼント!」
「いらない」
なんでこの人は笑顔でこんなもの見せられるんだ。
「ええーっ。でもでも、女性ならエッチな下着の一つや二つ、欲しいでしょ?」
「いや、俺はいらない」
そう言う俺の顔を、ネーリとエレガンが覗き込んできた。
「清太、これ、私に着てほしい?」
「いや、決してそんなことはないよ」
「清太様。これを身につけたら、また私と子作りしてくださいますか?」
「いや、決してそんなことはないよ」
「おやおや、お二人は興味津々だねえ。それじゃあ、もう一着、候補から外したのもプレゼントするよ。これで二人にあげられるね!」
いやいやオーハ、だからそんなことは望んでないって。
「え、もう一つあるの。やったー!」
「これで清太様をメロメロにできますわ!」
「二人共、そんなので釣られないで」
結局、二人は一つずつエッチな下着をもらってしまった。これ、俺、後で大丈夫だろうか?
「さて、じゃあ次は、うささんとの面会だね」
オーハがそう言うと、ネーリが両手を上げて喜んだ。
「わーい、うささんにやっと会えるー、久しぶりー!」
「そういえば、そういう話でしたわね」
「オーハ、うささんはどこ?」
「こっちだよ」
俺達は再びオーハに案内される。するとうささんは個室で、大量に与えられたニンジンスティックをかじっていた。
「ポリポリ。はあ、やっぱりニンジンはどれだけ食べても飽きませんねえ。む、この匂いは清太。あーん、会いたかったあー!」
うささんは俺を見つけるや否や、まっしぐらに俺の足元に駆け寄り、体をすりよせてくる。
「わあ、うささん久しぶりー、元気そうだねー!」
ネーリがうれしそうにうささんを見る。俺もうれしい。
「ああん、ウサギだけずるいですわ。私も清太様にすりつきますー」
エレガンがここで俺にしなだれかかる。
「ああ、ちょっと、エレガン」
困る俺。
「ああ、エレガンダメー、エレガンだけずるいー。私もー!」
そう言って反対からネーリもしなだれかかってくる。ちょっと重い。
「むむ、いらぬメスが多いですが、清太ー、あなたの匂いをこうしてまたかぎたかったですぞー。すりすりくんかくんか」
「ああ、皆いいなあ。よし。それじゃあ私も!」
そしてなぜかオーハも、後ろから俺の腰にだきついてきた。尻の割れ目に顔をこすりつけられる。
「うわあ、オーハ!」
びっくりする俺。
「ああん。何この新鮮な刺激。私、とってもゾクゾクするう!」
ダメだ、オーハも、それに皆も止まらない。
「私もこの機会に乗じるべきかしら」
「いや、ダメ、イーニエ。ダメ絶対。ていうか皆ももうダメだから、落ち着いてー!」
なぜか俺はしばらくの間、三人とうささんに抱き着かれ続けた。
一旦皆が落ち着いた後、俺はイスに座って膝の上にうささんを置き、頭や背中をなでてやることにした。
「おお、この感じ。なんとも久しぶりですなあ。ふふ、天国が久しぶりにやってまいりました」
うささんは上機嫌だ。そしてオーハは、うらやましそうに俺とうささんを見る。
「あー、うささんいいなー。清太にいっぱいお触りしてもらってて」
「オーハ、それはうらやましくないと思う」
「それに、うささんも普段はそんなに触らせてくれないんだよ。自分から近づいてきてもくれないし。なのに清太は凄いなあ!」
尊敬の目を向けられる俺。俺は思わずそっぽを向く。
「ふん。誰がメスなんかに近づくか。私は基本、発情期に同じウサギのメスにしか近づかないのです」
うささんの本音を皆に伝えたら、皆はなんて言うだろう。いや、平和のために言わないでおこう。
「んー。よし。うささんが元気かは確かめたね。私、なんだか安心した!」
「そうですか。ということは、もうここに用はないということですわね?」
ネーリとエレガンがそう言うと、オーハはそちらへと笑顔を向けた。
「だったらうちで泳いでいかない? 折角プールがあるんだからさ。水着も貸してあげるよ!」
「えっ」
俺、泳げないんだけど?
「え、泳げるの。私泳ぎたーい!」
「ふん。まあ、清太様と一緒に泳げるチャンス、逃す手はありませんわ」
「よし。それじゃあ決まりだね。今からプールに行こう!」
「あ、あの、俺、泳げないんだけど」
「大丈夫。泳げなくても楽しいよ。なんならうささんもつれていこう!」
「え、ええ?」
こうして、なぜか俺は、プールで泳がなければいけなくなった。
更衣室は、男女が分かれていなかった。
というか、男が基本この社会にいないのだ。
「きゃー、この水着可愛い!」
遠慮なく裸になって一番に水着になったネーリが、テンションを上げている。
「うん。今年の水着を取り揃えているからね。女は常に最先端の魅力をもってないと」
「さっすがオーハ! ねえねえ、清太。私、どう。きれい?」
「う、うん。きれいだよ」
「ちゃんとこっち見て言って!」
そう言われて、ネーリの手が俺の顔の向きを変える。
すると。
「ひゃっ」
「いやん!」
オーハが水着をつけていない胸をおさえて、エレガンが水着をつけていない腰を隠した。イーニエは丁度無言で水着に着替えたところだ。
ああ、まさかこんなハプニングが起こるなんて。手遅れだけど、目を瞑る。
「もう、清太。目を瞑ってちゃ私を見れないでしょ!」
「お、俺も着替えたらネーリを見るから、それまで待ってて」
「はーい。あ、じゃあ私が、清太の着替え手伝ってあげるね!」
「え、あ、ちょっと待ってっ」
「大丈夫。私は清太の裸見慣れてるから、それー!」
「きゃー!」
思わず叫ぶ。ああ、やだ、人前で裸にされるー!
「まったく、人というものは一度の着替えでやかましいですなあ」
この中で冷静なのは、うささんだけだろう。
「ああ、あれが男の方の腰の詳細!」
「あ、ああ、清太様。もう股間のあそこがビヨンビヨンしていますわ!」
しかも、オーハとエレガンにバッチリ俺の大事なところを見られてしまう。もうダメだ。心折れる。
「さあ、清太。ここに手を通してー」
しかも俺が今着せられているのは、スクール水着みたいな水着だ。
ザ、女の子用。
それを、着せられてしまった。
「よーし、でーきた!」
「は、恥ずかしい」
「せ、清太様、ステキ!」
「これが男の水着。やだ、なんか鼻血出そう」
ネーリは相変わらず元気だし、エレガンはときめいてるし、オーハは興奮している。そして俺は、三人の前でスクール水着姿。
は、恥ずかしい。死にたい。
「ね、ネーリ。もう、限界」
「うん。私も限界。早くプールに入ろう。それー!」
ネーリはまるで俺の精神をぶち壊すかのように、俺の手を引っ張って走った。
「ひゃっほー!」
そしてそのまま、俺もろともプールへイン。
「ぷはあっ。楽しい! どう、清太」
「がぼがぼ、助けて、ごぼごぼ」
俺は溺れた。
そう。俺は泳げないんだ。
泳げないんだよ。
「きゃあ、清太が大変!」
「なんだって、とう!」
俺はネーリとオーハによって、救出された。
プールからあがる俺。そこで、飲んだ水を吐き出す。
「ああ、ダメ。死ぬかと思った」
「ごめん、清太。私、はしゃぎすぎちゃって」
「ううん。いいよ。でも、俺もう本当にダメだから、後はずっとここで休ませて」
「うん。本当にごめんね?」
「だ、大丈夫、今は」
とにかく、ゆっくりしたい。
「あーあ、折角清太と一緒に泳げると思ったのに。しょうがない。それじゃあネーリ。一緒に泳ごう!」
「うん。競争しよう。負けないよ!」
「いいよ、それ!」
ネーリとオーハはまた元気よくプールへととびこむ。その間、俺はぼーっとする。
「清太。お前も大変だな」
「お隣失礼いたしますわ。清太様」
ここで、うささんとエレガンが両隣にきた。更にエレガンの後ろに、イーニエも控える。
「うささん、エレガンも。泳がなくていいの?」
「安心しろ、清太。ウサギは泳げん」
「私は清太様といる方が幸せです。それより清太様。私の水着姿、いかがですか?」
「う、うん。良いと思うよ」
「やったっ。うれしいっ。ではこのそそる水着と私の柔肌を、どうぞご堪能ください!」
「い、いや、そういうのは無理」
「遠慮しなくてもよいのですよ」
「遠慮とかそういう問題じゃないよ」
それからうささんとエレガンが、俺によりそってきた。そのままどちらも俺の変なところをまさぐりそうな感じだったので、とっさに両方の頭をなでて動きを止める。
「あああ、久々の清太の頭なでなで、幸せー」
「うふふ。清太様。私、幸せですわ」
俺に手が出されないように、なんとかこの状態をキープしよう。
そう思っていたら、イーニエが後ろから俺に抱き着いてきた。
「ふうっ」
「っ」
イーニエに、耳に息をふきかけられる。しかも俺の両乳首を、水着越しにいじってきた。
「イー、イーニエ。やめて」
思わずそう言う。すると、イーニエは俺の耳を唇噛みした。
「はい。ですが、清太様が悪いのですよ。こんなにも強く男の匂いをさせるから。はあはあ」
ダメだ。イーニエが暴走している。
「エレガン、止めて」
「んん? ふふ。清太様。このままもっと頭をなでてくださいませ」
ダメだ。エレガンもダメな感じになっている。
そのまま俺は体を弄ばれ、とうとうイーニエの手が俺の水着の中に入ってきた時、ネーリとオーハが戻ってきた。
「あー、皆ダメー。一度清太から離れてー!」
そしてネーリが皆を散らしてくれる。
「あ、ありがとう。ネーリ」
「清太。大丈夫、乱暴されてない?」
「う、うん。どうにか」
俺はひとまず立ち上がる。するとそこに、オーハが近づいてきた。
「うーん。遊びのプールも気持ち良いなあ。でも私、ちょっと熱い気分になってきちゃったよ」
そう言ってオーハが、ごく自然な動きで俺にだきつく。そして、耳にキスしてくる。
「ちゅ」
「あ、オーハ、ダメ!」
「ダメって、泳いだ後男がいたら、誰だってこうなっちゃうでしょ。ねえ、お願い。子作りしてえ。お金なら払うから、私今シたいいっ」
「オーハ、ダメだよ。清太をお金で抱くなら、一億は必要なんだから!」
「一億う? それくらい、ぽんと出してあげるよ。なんならかわりに、この別荘をあげちゃう」
そう言ってオーハは俺を押し倒し、俺の水着を脱がし始めた。
「ああ、オーハ、ダメ、だって」
「何がダメなのお。私、早く清太を味わいたいよおお。ほら、清太のここ、すごーい!」
ダメだ。俺の制止じゃ、きかない!
「あわ、あわわ」
「せ、清太様がおそわれてる。ダメ、私今頭なでられすぎて、体に力入らないい」
「私も、清太様の乳首をいじりすぎて、止める気になれません。ああ、清太様とオーハ様がつながってしまう」
「おやおや、清太はこんなところで交尾ですか。まったく、けしからんですな」
ああ、ダメだ。皆、ただ俺とオーハのなりゆきを見守っているだけだ。うささんですらガン見している!
そしてオーハは水着の下と俺の水着をスポポーンとし、ラブハリケーンした。
「ああん、お日様の下でのプールハプニング、良いー!」
「あー!」
まさかこんなことになろうとは。
とにかくこうして俺はオーハの別荘をもらい、ひとまず家に帰った。
その後はウサギ達に、ひたすらなぐさめてもらった。
俺、もう女性を信じられない。
そう思いながら、無心にウサギをなで続けた。
そうしていると、今回のウサギの世話も終わり、また新たなウサギの世話をする。
お金も順調に増えていく。というか、使い道がない。
ネーリも今はあんなことやこんなことを結構控えてくれるし、今は結構、安らぎの時間が続いていた。
正直、やっと理想に近いひきこもり生活がやって来たと思って、安心していたんだと思う。
それがよくなかったのかもしれない。
「こんにちはー。ジュエルラビットファクトリーですー」
「ん、呼んでないのに、なんの用だろう。というか、ウエルの声じゃなかったな」
俺はいつものように、玄関に行き、ドアを開けた。
すると、突然何者かにスプレーをふきかけられた。
プシュー。
「うっ」
薄れていく意識。
やがて、どたっと、何かが倒れる音がした。
あれ、これ、俺が倒れた音?
そう思った直後、俺の意識が途切れた。
気が付いたら、俺は牢屋の中にいた。
しかもよく見ると、周辺には大量のジュエルラビット達。
「ここは」
そう呟くと、やがて、牢屋の向こうに誰かが来た。
それは、白髪の女性だった。
「どうやら目が覚めたようだね」
「お、お前は」
「私はジャッテ。どこにでもいるような金持ちさ。そしてここは、私の別荘の地下牢だ」
ほ、本当に地下牢だったのか。
というか俺は、さらわれた?
「お、俺をどうするつもりだ?」
「何、どうもしないさ。ただ、ジュエルラビットの宝石を育ててほしいんだ。君がジュエルラビットの宝石を短時間で大きくできることは既に調べがついている。その才能を私のためだけに使ってほしいのだよ」
そうか。やはり、目的はこの周囲のジュエルラビットか。
「や、やっぱり、俺を誘拐したんだな。目的は、ジュエルラビットを育てての、金か」
「ああそうだ。まあ、ただ閉じ込めるだけだ。安心したまえ。はっはっはっは」
そう言ってジャッテは立ち去った。後に残されたのは、大量のジュエルラビットのみ。
「こいつ、良い匂いだー」
「良い匂いだー」
「おちつくー。幸せー」
俺はひとまず、ジュエルラビット達の頭をなでることにした。
それしか、やることがないからだ。
それに、もしジュエルラビットを上手く育てられなければ、俺は更に酷い目にあわされるかもしれない。
今は、ネーリや警察が助けにきてくれるのを待とう。
それに、ここは狭いし薄暗い。環境的には、悪くない。
「どうにか、なるといいな」
俺は自分を安心させるように呟きながら、無心にウサギをなでる手を動かし続けた。
三日後。ジャッテが牢屋内のジュエルラビットを確認しにきた。
「ふむ。確かに宝石が育っている。まだどれも1センチに満たないが、確かに早い」
ジャッテはそう言って、何度もうなずく。そしてそれから、俺を見た。
「それにしても、男という者は興味深いな。なぜか無性に気になる。今なら邪魔する者もいない。ここは一度、遊んでみるか」
そう言うとジャッテは、なぜか牢屋の中に入ってきた。
「何をする、つもりだ」
「なに。私も子作りをしようと思ってね。私はこれでも女なんだ。君も好きだろう。一緒に気持ち良いことしようじゃないか」
「俺は、そんな気はない」
「君になくても、私にはある。ふふふ。そう怯えるな。きっと気持ち良いぞ?」
そして俺は押し倒され、あっけなくあんなことやこんなことをしてしまった。
すると。
「あ、あひいっ。なにこれ、しゅごいー!」
ジャッテはあっさり敗北し、気絶した。
俺、裸になりながら呆然とする。
あれ、何この展開?
そう思っていると、遠くからドタドタと音がして、ネーリ、エレガン、イーニエ、オーハがやって来た。
「清太!」
「清太様!」
「清太!」
「清太様、ご無事ですか!」
「ああ。ネーリ、エレガン、オーハ、イーニエ。うん。大丈夫。俺を捕まえた犯人は、ここ」
四人は俺と気絶しているジャッテを見て、ホッとする。
「流石清太。犯人を捕まえたんだね!」
「素晴らしいですわ清太様。これで犯人は、完璧に捕まえられます!」
「清太素敵。やっぱり男って頼りになる!」
「今牢屋を開けます。さあ、このまま帰りましょう」
ネーリ、エレガン、オーハ、イーニエがそう言って、無事鉄格子は開き、俺は解放される。
「皆、ありがとう」
服を着ながら、そう言った。
そしてジャッテは、逮捕された。
「清太がさらわれた後、大変だったんだからね!」
ユーフォーの中で、ネーリが横から俺にだきつきながら言う。
「警察に電話して、ジュエルラビットファクトリーにも伝えて、エレガンにも頼って、オーハにも連絡して。そうしたら皆が抱えている特殊部隊達が一斉に清太を探し始めて、それでも三日はかかっちゃったんだから!」
つづけて、エレガンが横からだきつきながら言う。
「相手、ジャッテは強敵でした。衛生の記録や監視記録もぬり換えて、巧妙に清太様の誘拐を隠していたのですから。ですが、もう安心です。今度は、もっとセキュリティーの高い住居に引っ越しますわ。そしてそこには、私の会社の警備隊もいるから、安全です」
「私のとこの組員もいるよ!」
オーハが俺の足にだきつきながらそう言った。
「私と清太の愛の巣からは離れちゃうけど、清太の安全のためだもん。仕方ないよね!」
そして、ネーリがそう言った直後、イーニエが言った。
「皆さま。清太様の新居につきました。お降りください」
そして、ユーフォーから出たら、目の前には日本の城があった。
あれは、金のしゃちほこ?
「さあ、清太。ここが私達の新しい家だよ!」
「私達の財産を惜しみなく投入して、新しく用意したのですわ!」
「これから私達、ずーっと清太と暮らせるよ!」
え、え、どういうこと?
なぜか、よくわからない内に俺は、ネーリ、エレガン、オーハと同居することになったらしい。
そして、新居は城。
「何がどうなって、こうなったんだ」
「全ては清太のためなんだからね!」
三人同時にそう言われる。あいや、エレガンだけは様づけだったけど。
とにかく、俺はそのまま城の中に案内されることになった。
良かった。俺用の狭くて薄暗い部屋はあった。
ただ、ベッドが床敷きになって、四人寝れるようになっているのは気になるけど。
そしてそこには、ウサギがいっぱい。
「お、清太だ。やったーまた会えたー!」
あ、うささんもいる。うさいちやうささんもいるぞ。
「清太。今日からここが清太の部屋だよ!」
「そして、私達の寝室でもありますわ」
「今夜からずーっと、私達一緒だよ!」
ネーリ、エレガン、オーハに言われる。
「あ、あの、一人になって寝るっていうのは」
「無し!」
三人同時に言われた。
「私、清太と一緒じゃないと寝られないの」
「私もですわ。清太様がいないベッドの中で、毎晩寂しく泣いてますのよ」
「私だってそうだよ。毎晩清太が恋しいんだからね」
「だから、一緒に寝よ?」
三人同時にまた言われて、逃げ場がない雰囲気だ。
「観念してください」
イーニエにもそう言われる。
「はあ。わかりました」
どうやら、諦めるしかないみたいだ。
でも、またさらわれるよりはマシか。
今だけは、皆の気遣いを受け入れよう。
それと身がもつかどうかは、別だけど。
誘拐事件が終わった後、幸い俺の静かな時間はあった。
日中、皆大体仕事に励むからだ。
休みの日は俺とべったりしようとするけど、そうじゃない日もある。
俺はたまに神経をすり減らしながらも、なんとかひきこもり生活をエンジョイした。
そして、ある時、それが起こった。
「あ」
リングの宝石が、ある時とれた。
突然ぽろっと、俺が見ている前でだ。
「だ、大丈夫か、リング!」
俺は慌てて、リングの心配をする。
「ん、大丈夫ー。宝石は重かったし、また生えてくるよー」
「え?」
そうなの?
じゃあ、この宝石、どうしよう?
「ひとまず、エレガンに報告しよう」
結局、リングを育てる報酬は、落ちた宝石十センチの適正価格、5億ということになった。
ただ、この十センチの宝石、今までとれた試しがないらしい。
ならなぜ適正価格があるかというと、もし手に入れた時のためにつけておいたものだそうだ。
ということで、俺は5億ゲット。ネーリと山分けする。
そしてこの十センチ宝石、なんと不思議な力があった。
握っているだけでわかる、温かい、そして何かが動いている感覚。
他の宝石にはない力だった。
エレガンとイーニエはそれに興味を示し、宝石を研究所に送った。
そしてリングの飼育だが、それは続けることになった。
捕らぬ狸の皮算用で言うと、また数十日後に5億もらえるという予定。
それでいいのかと思うが、本人からオーケーが出たので何も言えない。
そういう契約を結んだら、次はうさいちの宝石が取れた。
うさいちの宝石も、大分大きくなっていたからな。
それもエレガンの研究所に送られる。
何か成果があるといいな。
ある時、エレガンが休みの日になって、俺にすりよってボーッとしていた。
すると突然ぽつりと、こう言った。
「清太様。清太様は、株の投資は行いませんか?」
「え、株?」
「はい。折角資金があるんですもの。やってみてもよろしいのではなくて?」
「でも株って、やったことないからわからないよ」
「大丈夫。ギャンブルみたいなものですわ。それに、上手くいけば自分も儲かるし、投資した会社も儲かります。それは社会にとても良い循環となりますわ」
「そう言われてもなあ。エレガンは株、やってるの?」
「はい。セレブですから」
「そうかあ。でも俺はセレブじゃないからなあ」
「もう十分リッチですわよ。あ、ではこういうのはどうでしょう。私がご紹介する会社からいくつか選んで、それに投資するというのは?」
「なるほど。それなら、悪くないかも」
「はい。必ず清太様に損はさせませんわ」
「わかった。じゃあ、失敗しても、やろう」
「はい。清太様!」
こうして俺は、三つの企業に投資をすることにした。
グリーンフレッシュ。
ビューティフルマイン。
+ムービー。
そこに、一億ずつ投資してみる。
すると、俺は株主への報酬として、すぐに三種類の物をもらった。
グリーンフレッシュは野菜作りの会社だったので、新鮮な野菜。
これはウサギ達が喜んだ。
ビューティフルマインは美容の会社だったので、美容液とサプリ。
サプリくらいなら飲めるけど、美容液はちょっと。と思っていたら、毎朝毎晩、皆が俺の全身にぬってくれるようになった。
そして+ムービーはゲームの会社だったので、ゲーム機とソフト。
俺はゲームをやったことないけど、そんな俺でも遊べるのだろうか?
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