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地球からオールガール星に帰ってきて、すぐの日。
「清太様。ジュエルラビットの宝石の研究がひと段落したので、ぜひ清太様にその成果を見てほしいそうです」
エレガンにそう言われた。なので、こう答える。
「え、いいよ。俺引きこもりだし。いつも通り引きこもってるよ」
「まあ、そう言わず。成果の報告とは言いつつも、試作機の試験運転も兼ねているそうなのです。どうかぜひお付き合いください。報酬も出るそうです」
「それ、断れないの?」
「断られると私が悲しみます」
「そうかあ。じゃあ、うーん。わかったよ。行くよ」
「ありがとうございます清太様。では早速研究所に行く日付を決めますね!」
エレガンがうれしそうに去る。はあ、また外出かあ。ちょっと鬱になりそうだ。
でも、十センチ宝石の研究って、確か電力になってたはずだよな。一体俺に何を見せようというのだろう?
俺とエレガン、あとエレールの三人で研究所にやって来た。
「これはこれは。エレガン様、清太様。ようこそラボへ。私はここの主任のプラームです。以後よろしく」
「はい」
「では早速ですが、私達の研究成果をご覧ください。こっちです」
俺はプラームにつれられて、なんだか近未来的な造りの研究所内を歩く。
「では移動時間の間に、研究成果の内容を説明しておきましょう。私達は研究の成果あって、ジュエルラビットの十センチ宝石を連結させ、発電力をパワーアップさせる装置を作り出すことに成功しました」
「うん」
「そして今の所、最新の成果では十センチ宝石を10個つなげて、民家十億軒分の電力を生み出すことに成功しています」
「それって凄いことでは?」
「はい。何より素晴らしいのは、そのサイズです。十センチ宝石を十個集めた程度の大きさでその電力が生み出されているので、もはやどこに設置しても問題ないという優れっぷり。発電施設の建造等の手間もいりません。また、エネルギーが生み出される際の、放熱や有害物質の発生等のような現象も、今の所発見されていません。これは正に、正規の大発明なのですよ」
「へえ」
なんだか宝石の研究は、おおごとになっていたみたいだ。
「そして私達はすぐに、この宝石エネルギー増幅装置、通称テンジュエルギミックを兵器に利用しました」
「えっ」
ああいや、予想を大きく上回っておおごとになっていたみたいだ。
「本日清太様には、その成果を見ていただきたかったのです。ではご覧ください。あれが私達が技術の最先端を駆使して開発した人型兵器、ラヴィーズです!」
そう言ってプラームが指し示した先には、一体の大きな鉄の巨人がいた。
頭はヘルメットのよう、兎耳のようなアンテナ。大きなおっぱい。体型は、ちょっと細身に見える。
けど何より、大きい。
「全長30メートルあります」
それは凄い。ていうか。
「大きすぎじゃない?」
「大は小を兼ねると言うでしょう。そこも私達の知恵と努力の結晶なのですよ」
どや顔で言われても、困る。
「というわけで、さあ、清太様。本日はラヴィーズの稼働試験ということで、ぜひ乗って動かしてみてください!」
「え、いいの?」
「はい」
「というか、俺がやれるの?」
「はい」
「ああ、言い方がまずかったか。俺はきっと、操縦なんてできないよ?」
「大丈夫です。とにかく乗ってください」
大丈夫か、このプラームっていう子。
思わずエレガンを見ると、エレガンはエレールを抱いたまま自信ありげにうなずいた。
本当に大丈夫なのか、この展開?
仕方なく俺は、ラヴィーズに乗ることにした。
ラヴィーズのコックピットは腰の上、下腹あたりだった。そこまでつれていかれて、後は一人で乗り込む。
「男、発見。男を確認。彼をマスターと認定。ラヴィーズメインシステム、作動します」
すると、なんかいきなり声が聞こえてきた。お、男って、俺のこと?
「清太様。今スタッフが全員撤収します。ラヴィーズを動かさずに、しばらくお待ちください」
コックピット内には、プラームの声が聞こえた。
「いやだから、俺本当にこんなの動かせないよ?」
「大丈夫です。清太様。ラヴィーズはパイロットの脳波を受信して動くようになっています。ですので、あなたが思った通りにラヴィーズが動きます」
「へえ」
じゃあ、手を上げろって言ったら。
「ああ、清太様。だからまだ動かさないでください!」
「あ、ごめん」
正直、コックピットからじゃラヴィーズが手を上げたかなんてわからなかったけど、怒られてしまった。
ひとまず、このまま待機していよう。幸い、じっとしていることは得意だ。
「清太様。スタッフの撤収が完了しました。では今から、二歩前に歩いてください」
「はい」
二歩歩くように念じる。すると、確かにラヴィーズが動いたようだ。目の前のモニター画面の光景も、そういう感じに動いたから。
「はい。清太様。次は、前方の空にターゲットを用意します。しばらくお待ちください」
「ターゲット?」
俺が疑問に思っていると、前方地上で何か機械が作動して、次の瞬間目の前、やや上の方に大きな的が出現した。
あれは、立体映像?
「清太様。あのターゲットになにかを当てると、ターゲットが壊れます。右手をそちらに伸ばして、ラヴィーズハンドビーム。と言ってください」
言われた通りにする。
「ラヴィーズハンドビーム」
すると、立体映像は一本のビームによって破壊され、花火になった。
「クリア。清太様。今のと同じ的を、左右の空にも用意します。それを撃ってください」
「うん。ねえプラーム」
「何か?」
「このロボットのビームって、どれくらいの攻撃力があるの?」
「そうですね。通常のユーフォーのビームより強力ですよ。それにラヴィーズの全体は、稼働中常に十センチ宝石のエネルギーから生み出せる、US粒子によってバリアがはられているので、損傷の心配もありません。まあ、はっきり言って無敵ですね。今のところ、これ一機あれば世界とれます」
「それって凄すぎるよ」
「えへへー。清太様にほめられたー。もっと言ってください。それが私達のやる気につながります!」
「あ、うん。とにかく、的攻撃するね」
俺は本当に左右にあった的を、手からのビームで攻撃した。これで的は全部花火になる。
「第一試験、クリア。では清太様。次は飛んでみてください」
「飛ぶ?」
「はい。飛行モード、とか、離陸、とか言ってもらえれば、飛べます」
「じゃあ、離陸」
おお、ラヴィーズが浮いた。凄い。
「それでは清太様、適当に飛んで、帰ってきてください。もちろんここ以外で着陸してはいけませんよ」
「うん。わかったよ」
ひとまず、飛ぼう。
俺はラヴィーズで空を飛び、ちょっと飛ばしただけで海にきてしまった。
危ない危ない。元の場所へ戻ろう。
速いな、ラヴィーズの飛行速度。
なんとかラヴィーズのコックピット内で地図アプリを操作して、研究所まで戻って来る。
「ふう。帰ってこれた」
「お疲れ様です。清太様。ご気分はなんともありませんか?」
「うん。大丈夫だよ、プラーム」
「本当の本当に大丈夫ですね? 一応こちらでもメディカルチェックを行っていて、確認はしていますが」
「あの、プラーム。何かあるの?」
「い、いえ、何も。本当に何もありませんよ?」
そうだろうか。疑わしい。
「じゃあ、いいけど。後で嘘だとわかったら、エレガンに頼んで、君になにかペナルティーを頼もうかな」
「ああ、嘘ですごめんなさい。実は、ラヴィーズのパイロットは最初、突然謎の嘔吐や発熱にみまわれて、長時間操縦できなかったんです。おそらく、ラヴィーズの内部に問題があると思われます。ただ、前に一回だけ試してもらった、地球人の男の操縦は問題なかったので、今回もそういう結果だといいなあ。と、思っていたのです!」
ああ、なるほど。それで俺がこれを操縦して、お金をもらえるのか。実験の対価として。
「つまり俺、危険じゃなかった?」
「い、いえいえ。清太様の前に一人男パイロットを挟んでいたので、問題なしです。それに今回の操縦試験で、男なら皆ムリなくラヴィーズを動かせるという可能性が高まったので、清太様にはとても活躍してくださいました。本当にありがとうございます!」
それ。俺以外の男でも良かったんじゃないかなあ。
「それに、皆大きなロボットは好きでしょ。清太様なら喜ぶと思って」
「いや、特には」
「そうだったのですか! それは、真に申し訳ありませんでした。折角良かれと思って事前に説明しなかったのに」
「いや、そこで謝られても」
「ですが、清太様。わかってくださいますよね。このままラヴィーズの改良、そしてラヴィーズの姉妹機の製造を始めても、清太様ならオーケーしてくださいますよね。巨大ロボットは、私達のロマンですから。ですからどうか清太様も、このままずっと私達にお力添えをしてください!」
プラームにそう言われても、俺は、巨大ロボ、攻撃兵器になんて興味ない。それに、あっても怖いだけだと思う。
このラヴィーズ一機だけで、十分脅威だ。だからもうこれ以上は造らなくていいんじゃないかな。
と思ったところで、ここで突然、コックピット内に更なる声が聞こえた。入った時に聞こえた声だ。
「マスター。緊急度の高い映像が送信されています。すぐにモニターに映します」
マスターって、本当に俺の事?
そう思っていると、突然目の前に、紫髪の女性が映っている映像が出された。
紫髪の人の着ている服は豪華で、ティアラもかぶっていて、まるで女王様みたいだった。
「キャート国の諸君、ごきげんよう。私はパーサン王国の女王、ギンメイである」
あ、本当に女王様だった。
「なんですか、この映像は!」
プラームがそう言った。ついでに訊く。
「プラーム。ここってキャート国なの?」
「はい。民主主義国、キャート。それがこの国です」
なるほど。つまり本当に、これは俺達に向けられたメッセージなのか。
「突然だが、我らパーサン王国はそなた達キャート国に戦争をしかける。政府は直ちに敗北を宣言し、私に従属を従いなさい。そうすれば、破壊活動をやめ、あなた達は私達による平和の統治の中暮らせます」
もの凄い勝手な言い草だな。ほぼテロリストの言い分だ。
「それでは、私はそなた達からの敗北宣言があるまで待ちます。それまでお達者で。ふふ」
映像が消える。なんということだ。
「なんということを。パーサン王国の女王、ギンメイめ」
プラームがそう言う。
その時、突然コックピット内にかん高い音が鳴った。確認するとレーダーに、三つの敵影が映っていた。
「周囲に未確認物体を確認。マスター、対処してください」
声が俺にそう指示する。
と言われても、どうすればいいんだ?
「清太様、あのユーフォーはおそらくパーサン王国のユーフォーです。ササッと撃破しちゃってください!」
プラームにそう言われる。
撃破? 俺が?
「ムリムリムリ。プラーム達の方でなんとかできない?」
「清太様、早く。ここにはエレガン様もエレール様もいるのですよ!」
「はっ」
エレガン、エレール。俺の娘。
そうだ。娘を守らないと。エレガンも。
俺は、俺は。
「ラヴィーズ、敵を倒せ!」
「オーケーマスター。そのご指示をお待ちしていました」
ラヴィーズは勝手に動く。元は自動操縦みたいなものだから、その動きには迷いがなく、正確だ。
だが、判断は相手の方が早かった。
三機のユーフォーから、ビームが放たれる。狙いはラヴィーズ。
そのビームをラヴィーズは、完全に消滅させた。きっとバリアの力だ。
「やりました。バリアは問題なく作動しています。効果も十分!」
プラームが喜んでいる。その間に俺は、まず一機倒す!
「ラヴィーズハンドビーム!」
右手からビームを出す。これでユーフォーは一機爆散。
「て、敵は、殺してないよね!」
「イエスマスター。しっかり脱出用のパラシュートが空に見えます」
「ほっ、良かった」
「ではもう一機狙います」
ラヴィーズは勝手に動いて、今度は左手でラヴィーズハンドビームを撃つ。
これで二機目のユーフォーも爆破した。
「マスター。ラヴィーズブレストビームと言ってください」
?
ひとまず、言われた通りにしよう。
「ラヴィーズブレストビーム」
「オーケー。ラヴィーズブレストビーム準備完了。ファイア」
三機目のユーフォーは、ラヴィーズのおっぱいから放たれた二本のビームに貫かれた。
これも、爆散。
「周辺の敵影、全てロストしました」
ふう。これでなんとかなったか。
「清太様、お願いがあります!」
「なんだい、プラーム」
「この戦争を終わらせるには、敵の大本を倒すしかありません。早速ラヴィーズの瞬間移動機能を使って、パーサン王国のギンメイがいる城まで行き、倒してほしいです!」
「え、ラヴィーズって瞬間移動までできるの?」
「はい。お願いします。この国のためにも!」
そうか。
正直、引きこもりが頼まれるようなことじゃないけど、今ここに俺がいるんだ。仕方ない。
「わかった。やってみる。ラヴィーズ、瞬間移動でギンメイがいる城まで行ってくれ」
「イエスマスター。インターネット検索で女王ギンメイが居住している城を検索、ヒット。直ちに瞬間移動します」
次の瞬間、俺は知らない場所にいた。目の前には城。ここにギンメイがいるのか。
でも、この城を壊してギンメイを生き埋めにするというのは、何か違う気がする。
そう逡巡した直後、いきなり全方位からビームを撃たれた。幸いバリアが防いでくれるが、ラヴィーズのバリアが何時までもってくれるかわからない。俺は焦る。
「ラヴィーズ。ギンメイの居場所はわからないか?」
「イエスマスター。ラヴィーズソナーを使います。ヒット。先程の映像と同じ姿をした人物を探し当てました。殺しますか?」
「いいや、そんな物騒なことはやめて。捕まえて」
「イエスマスター」
ラヴィーズが城に手をつっこみ、城壁を破壊し、ケーキを崩すように掘り進む。
そしてやがて、一人の女性をつかまえた。
モニター越しに右手の中にいる人物を確認する。
よし。この顔、ギンメイ女王様で間違いないな。
「ラヴィーズ。もう退散しよう。元の位置まで瞬間移動してくれ」
「イエスマスター」
瞬間移動で、研究所まで戻って来る。
そしてギンメイをおろして、俺も降りると、その時ラヴィーズに言われた。
「マスター。またのご利用を、お待ちしております」
「ああ、うん」
なんだか大変だったけど、もう乗らないと思う。
その後すぐ、ギンメイをとらえた情報を世界中に拡散して、パーサン王国は戦争をやめた。
そのまま、ギンメイは牢屋送り。たぶん一生出てこれないだろう。
キャート国は少し攻撃を受けてしまったらしいが、幸い死者は0。重傷者も出なかったようだ。
そして政府はラヴィーズの活躍を称賛し、プラーム達への研究資金を提供した。これでプラーム達は狂喜乱舞。まだまだ巨大ロボットを造るつもりらしい。
まあ、俺はもう巨大ロボットなんてこりごりだ。実際に乗ってみて、本当にむいてないと思った。
ネーリ達はほめてくれたけど、正直ほめすぎだった。だって、俺はたまたまあの場にいただけなんだから。これは偶然というものだ。
そして後日、俺はギンメイのことで相談を受けた。
なんでも、政府はギンメイに無理矢理子を産ませて、その子を王国に送り込んで権力を支配、もとい、政府のいいように動かす腹積もりらしい。オールガール星人は父よりも母の地位を重要視するそうだ。
そのギンメイのパートナーとして、戦争を早期終結させた英雄である俺が選ばれ、ちょっとあんなことやこんなことをしてくれないだろうか。みたいな連絡がきた。
それを俺は、丁重にお断りした。
正直もう、これ以上子供を作るとか、考えたくない。
それに、敵国同然のところに女王の子供として送るなんて冷たいこと、俺には絶対できない。
もうパーサン王国とギンメイには、関わらないでおこう。そう心に誓った。
その判断をネーリ達は、喜んでくれた。やっぱり、家庭が大切。俺は引きこもりだけど、引きこもり以外の苦労を彼女達におしつけたくない。だから、変な重荷はごめんだ。
まあ、ギンメイとの子作りのお誘いを受けた時は、一瞬選択肢のようなものを見た気がするけど、これで良い。
俺は、引きこもるために生きてるんだからな。王国の権力とか、そういう話とは無縁でいたい。
ラヴィーズのパイロットは地球からやって来たニートに決まった。
なんでも、オールガール星に来ても結局働けず、ウサギも満足に飼えない地球人が何人かいて、その中で割と元気で、比較的従順な男が選ばれたらしい。
更に、予備のパイロットも数名雇用されたらしい。
良かった。少し、拍手を送りたい気分になった。ありがとう、見知らぬ誰か。君達のおかげでもう俺はあれに乗らなくて済む。
でも、赤の他人だから、会わないでおく。
そして今、ラヴィーズの姉妹機が製造されている最中。きっと、もっと恐ろしい強さになると思う。正しく使われることを願うばかりだ。
結果的に俺が生み出したようなラヴィーズが、他の星々を支配するような活動を始めたら、たまったものじゃないな。
うん。深く考えないでおこう。
ある日、俺の元に手紙が届いた。
目を通してみると、そこには驚くべきことが書かれてあった。
なんでも、俺との子作り費用は一億とのことで、俺と子作りしたい人が一万ずつお金を出しあったらしい。
その結果、俺との子作り募集に百億円集まったから、百人のオールガール星人と子作りしてほしい。なお選ばれた女性達は、厳選なくじ引きで決められたという。
そんな内容が書かれていた。
俺は頭が真っ白になって、ひとまず皆に相談してみる。
すると食事中、皆はあっけらかんと言った。
「ああ、そんなに集まったんだ。じゃあ仕方ないねー」
「まあ清太様、これも男の仕事として割り切ってください。ていのいい臨時収入だと思えばいいのですわ」
「清太の体を狙うのは気に食わないけど、まあ清太だし、放っておかないのも無理はないよねえ」
「え、ネーリ、エレガン、オーハ、なんでそんな冷静なの」
「だって、子作りは女の命題だし」
三人にそう言われて、ちょっとしたショックを受ける。
あれ。ひょっとして俺、皆からあんまり大切にされてない?
「きっと、永愛式をやったっていう効果もあると思うよ。清太の衣裳姿、きれいだったし。きっとネットにあがった画像を見て気に入っちゃった人がいっぱいいたのかも」
「ううっ。ネーリ、思い出させないでくれ」
「ラヴィーズを操縦してパーサン王国との戦争を三分で終わらせたのも効いていますわ。今清太様はこの国のヒーローですから、子を望まれる方が出てくるのも仕方ありませんわ」
「あ、あれは、たまたまあの時、俺が乗っていたからで」
「ジュエルラビットをペットとして売り出したのも大きいだろうね。私みたいに感謝のついでに子作りしたいって思う人、やっぱそれなりにいるだろうし」
「え、あ、ああ。そうなの?」
皆にそう言われると、なんだか俺自身が今回の原因のように思えてくる。
「それに、清太様は私やネーリ、オーハとも関係をもっています。その接点を狙って清太様に近づく者もきっと少なくありませんわ」
エレガンが言う。
「あ、ああー。皆凄いもんね」
「うん」
皆うなずく。
「それじゃあ、俺はこの子作りを拒むことはできないんだ?」
「うん。だってもうお金は集まったみたいだし。頑張ってね、清太!」
ネーリにそう言われる。うう、頑張りたくないー。
「しかし、私達以外の者がまた清太様の子を手に入れるなんて、なんだか妬ましいですわ」
「そうだねー。やっぱり、娘一人だけじゃ足りないよねー。もう一人くらい、オリーブの妹が欲しいなー」
エレガンにうなずいて、オーハがそんな不吉なことを言う。
いや、不吉? めでたい? どっち?
とにかく俺は、肉食獣のような眼光を放つ三人にターゲットロックオンされた。
「ねえ清太。この際だから、二人目、作ろ?」
「清太様。私も、次の子を産みたいですわ」
「清太、お願い。今夜、私と頑張って?」
「うっ」
なぜだ。俺、動けない。
これじゃあまるで、蛇に睨まれたカエルだー!
「よし、決まり!」
そして、三人にそう言われた。
「待って、まだ決まってない!」
「清太。逃げないの。百人に一人ずつ子供をあげるんだから、私達にだってもう一人くらいくれるでしょ?」
「そうですわ。私も丁度、もっと愛娘が欲しいと思っていたところですわ!」
「清太。おねがーい。もう一回愛情ちょうだーい?」
「えー!」
ダメだ、逃げられない。
こうして俺は、もう既に四人の娘がいるというのに、また彼女達に食べられてしまった。
そして翌日、皆から懐妊報告。
ああ、これはダメな流れだ。今は大人しくうささん達をなでていよう。
君達の存在感とお金の入金だけが、今の俺の心を癒やしてくれるんだ。
そうして、百人子作りの予定も決まってしまい、これから百日間毎日、俺の城にかわるがわる美女がやって来ることになった。
そして一人目の顔合わせ&ベッドインは、どこかで見たことあるような、緑髪の女性だった。
「こんばんは」
「こんばんは、清太さん。今宵はよろしくお願いします!」
「こちらこそ、お手柔らかに」
「ふふふ。久しぶりに清太さんと会えました。私今、胸がすっごくドキドキしてます!」
「あの、どこかでお会いしました?」
「はい。以前、昼間の公園でお会いしました。あの時はウサギさんを滑り台で遊ばせていましたよね。お写真、撮らせてもらいました」
「ああ、あの時の。お久しぶりです」
「清太さんは、私のこと忘れてたんですか?」
「はい。でも、今やっと思い出しました」
「ふふ。それは、少し寂しいですけど、うれしいです。あの時撮った写真は、私のホームページに載せて、たくさんの人に好評価をいただきましたよ。その多くの女性達が、今回の子作り集金くじに参加しました」
「そんなまさか、あの時の写真で?」
「はい。では早速、子作りしましょうね?」
「あ、その、俺でよければ」
「うふふ。かわいい。それでは、にゃあーん!」
「わー!」
俺の身は乱暴にされた。翌日。第二夜に現れたのはプラームだった。
「お久しぶりです、清太様!」
「プラーム。まさか君か」
「はいー。清太様のような素敵な殿方と一夜共に過ごせるチャンスを、私達が見逃すはずないじゃないですかあ。まあ、研究チームの中でくじに当たったのは私だけでしたけど」
「そんな、俺なんて良い男じゃないよ。引きこもりだし」
「またまたあ。その引きこもりの価値を、清太様が爆上げしたんじゃないですかあ。ジュエルラビットの飼育の成果、まだ順調なんでしょ?」
「それはそうだけど」
「あの十センチ宝石のおかげで私達の研究はどんどん進んでいますし、まさに清太様さまさまですって!」
「でもそれと子作りは、別な気がする」
「さあ、話はこれくらいにしておきましょう。それより私は、清太様と早く子作りがしたいです!」
「ええ、いいよ。このまま話をして眠ろう」
「それも魅力的な案ですが、何より私の体が飢えているので! それではいざ、ふーじこちゃーん!」
「あああ、どこで憶えたのそんなダイブ!」
こんな感じで、俺は百人の女性達と肌を重ねた。
俺、ただのひきこもりなのに。とほほ。
「清太様。ジュエルラビットの宝石の研究がひと段落したので、ぜひ清太様にその成果を見てほしいそうです」
エレガンにそう言われた。なので、こう答える。
「え、いいよ。俺引きこもりだし。いつも通り引きこもってるよ」
「まあ、そう言わず。成果の報告とは言いつつも、試作機の試験運転も兼ねているそうなのです。どうかぜひお付き合いください。報酬も出るそうです」
「それ、断れないの?」
「断られると私が悲しみます」
「そうかあ。じゃあ、うーん。わかったよ。行くよ」
「ありがとうございます清太様。では早速研究所に行く日付を決めますね!」
エレガンがうれしそうに去る。はあ、また外出かあ。ちょっと鬱になりそうだ。
でも、十センチ宝石の研究って、確か電力になってたはずだよな。一体俺に何を見せようというのだろう?
俺とエレガン、あとエレールの三人で研究所にやって来た。
「これはこれは。エレガン様、清太様。ようこそラボへ。私はここの主任のプラームです。以後よろしく」
「はい」
「では早速ですが、私達の研究成果をご覧ください。こっちです」
俺はプラームにつれられて、なんだか近未来的な造りの研究所内を歩く。
「では移動時間の間に、研究成果の内容を説明しておきましょう。私達は研究の成果あって、ジュエルラビットの十センチ宝石を連結させ、発電力をパワーアップさせる装置を作り出すことに成功しました」
「うん」
「そして今の所、最新の成果では十センチ宝石を10個つなげて、民家十億軒分の電力を生み出すことに成功しています」
「それって凄いことでは?」
「はい。何より素晴らしいのは、そのサイズです。十センチ宝石を十個集めた程度の大きさでその電力が生み出されているので、もはやどこに設置しても問題ないという優れっぷり。発電施設の建造等の手間もいりません。また、エネルギーが生み出される際の、放熱や有害物質の発生等のような現象も、今の所発見されていません。これは正に、正規の大発明なのですよ」
「へえ」
なんだか宝石の研究は、おおごとになっていたみたいだ。
「そして私達はすぐに、この宝石エネルギー増幅装置、通称テンジュエルギミックを兵器に利用しました」
「えっ」
ああいや、予想を大きく上回っておおごとになっていたみたいだ。
「本日清太様には、その成果を見ていただきたかったのです。ではご覧ください。あれが私達が技術の最先端を駆使して開発した人型兵器、ラヴィーズです!」
そう言ってプラームが指し示した先には、一体の大きな鉄の巨人がいた。
頭はヘルメットのよう、兎耳のようなアンテナ。大きなおっぱい。体型は、ちょっと細身に見える。
けど何より、大きい。
「全長30メートルあります」
それは凄い。ていうか。
「大きすぎじゃない?」
「大は小を兼ねると言うでしょう。そこも私達の知恵と努力の結晶なのですよ」
どや顔で言われても、困る。
「というわけで、さあ、清太様。本日はラヴィーズの稼働試験ということで、ぜひ乗って動かしてみてください!」
「え、いいの?」
「はい」
「というか、俺がやれるの?」
「はい」
「ああ、言い方がまずかったか。俺はきっと、操縦なんてできないよ?」
「大丈夫です。とにかく乗ってください」
大丈夫か、このプラームっていう子。
思わずエレガンを見ると、エレガンはエレールを抱いたまま自信ありげにうなずいた。
本当に大丈夫なのか、この展開?
仕方なく俺は、ラヴィーズに乗ることにした。
ラヴィーズのコックピットは腰の上、下腹あたりだった。そこまでつれていかれて、後は一人で乗り込む。
「男、発見。男を確認。彼をマスターと認定。ラヴィーズメインシステム、作動します」
すると、なんかいきなり声が聞こえてきた。お、男って、俺のこと?
「清太様。今スタッフが全員撤収します。ラヴィーズを動かさずに、しばらくお待ちください」
コックピット内には、プラームの声が聞こえた。
「いやだから、俺本当にこんなの動かせないよ?」
「大丈夫です。清太様。ラヴィーズはパイロットの脳波を受信して動くようになっています。ですので、あなたが思った通りにラヴィーズが動きます」
「へえ」
じゃあ、手を上げろって言ったら。
「ああ、清太様。だからまだ動かさないでください!」
「あ、ごめん」
正直、コックピットからじゃラヴィーズが手を上げたかなんてわからなかったけど、怒られてしまった。
ひとまず、このまま待機していよう。幸い、じっとしていることは得意だ。
「清太様。スタッフの撤収が完了しました。では今から、二歩前に歩いてください」
「はい」
二歩歩くように念じる。すると、確かにラヴィーズが動いたようだ。目の前のモニター画面の光景も、そういう感じに動いたから。
「はい。清太様。次は、前方の空にターゲットを用意します。しばらくお待ちください」
「ターゲット?」
俺が疑問に思っていると、前方地上で何か機械が作動して、次の瞬間目の前、やや上の方に大きな的が出現した。
あれは、立体映像?
「清太様。あのターゲットになにかを当てると、ターゲットが壊れます。右手をそちらに伸ばして、ラヴィーズハンドビーム。と言ってください」
言われた通りにする。
「ラヴィーズハンドビーム」
すると、立体映像は一本のビームによって破壊され、花火になった。
「クリア。清太様。今のと同じ的を、左右の空にも用意します。それを撃ってください」
「うん。ねえプラーム」
「何か?」
「このロボットのビームって、どれくらいの攻撃力があるの?」
「そうですね。通常のユーフォーのビームより強力ですよ。それにラヴィーズの全体は、稼働中常に十センチ宝石のエネルギーから生み出せる、US粒子によってバリアがはられているので、損傷の心配もありません。まあ、はっきり言って無敵ですね。今のところ、これ一機あれば世界とれます」
「それって凄すぎるよ」
「えへへー。清太様にほめられたー。もっと言ってください。それが私達のやる気につながります!」
「あ、うん。とにかく、的攻撃するね」
俺は本当に左右にあった的を、手からのビームで攻撃した。これで的は全部花火になる。
「第一試験、クリア。では清太様。次は飛んでみてください」
「飛ぶ?」
「はい。飛行モード、とか、離陸、とか言ってもらえれば、飛べます」
「じゃあ、離陸」
おお、ラヴィーズが浮いた。凄い。
「それでは清太様、適当に飛んで、帰ってきてください。もちろんここ以外で着陸してはいけませんよ」
「うん。わかったよ」
ひとまず、飛ぼう。
俺はラヴィーズで空を飛び、ちょっと飛ばしただけで海にきてしまった。
危ない危ない。元の場所へ戻ろう。
速いな、ラヴィーズの飛行速度。
なんとかラヴィーズのコックピット内で地図アプリを操作して、研究所まで戻って来る。
「ふう。帰ってこれた」
「お疲れ様です。清太様。ご気分はなんともありませんか?」
「うん。大丈夫だよ、プラーム」
「本当の本当に大丈夫ですね? 一応こちらでもメディカルチェックを行っていて、確認はしていますが」
「あの、プラーム。何かあるの?」
「い、いえ、何も。本当に何もありませんよ?」
そうだろうか。疑わしい。
「じゃあ、いいけど。後で嘘だとわかったら、エレガンに頼んで、君になにかペナルティーを頼もうかな」
「ああ、嘘ですごめんなさい。実は、ラヴィーズのパイロットは最初、突然謎の嘔吐や発熱にみまわれて、長時間操縦できなかったんです。おそらく、ラヴィーズの内部に問題があると思われます。ただ、前に一回だけ試してもらった、地球人の男の操縦は問題なかったので、今回もそういう結果だといいなあ。と、思っていたのです!」
ああ、なるほど。それで俺がこれを操縦して、お金をもらえるのか。実験の対価として。
「つまり俺、危険じゃなかった?」
「い、いえいえ。清太様の前に一人男パイロットを挟んでいたので、問題なしです。それに今回の操縦試験で、男なら皆ムリなくラヴィーズを動かせるという可能性が高まったので、清太様にはとても活躍してくださいました。本当にありがとうございます!」
それ。俺以外の男でも良かったんじゃないかなあ。
「それに、皆大きなロボットは好きでしょ。清太様なら喜ぶと思って」
「いや、特には」
「そうだったのですか! それは、真に申し訳ありませんでした。折角良かれと思って事前に説明しなかったのに」
「いや、そこで謝られても」
「ですが、清太様。わかってくださいますよね。このままラヴィーズの改良、そしてラヴィーズの姉妹機の製造を始めても、清太様ならオーケーしてくださいますよね。巨大ロボットは、私達のロマンですから。ですからどうか清太様も、このままずっと私達にお力添えをしてください!」
プラームにそう言われても、俺は、巨大ロボ、攻撃兵器になんて興味ない。それに、あっても怖いだけだと思う。
このラヴィーズ一機だけで、十分脅威だ。だからもうこれ以上は造らなくていいんじゃないかな。
と思ったところで、ここで突然、コックピット内に更なる声が聞こえた。入った時に聞こえた声だ。
「マスター。緊急度の高い映像が送信されています。すぐにモニターに映します」
マスターって、本当に俺の事?
そう思っていると、突然目の前に、紫髪の女性が映っている映像が出された。
紫髪の人の着ている服は豪華で、ティアラもかぶっていて、まるで女王様みたいだった。
「キャート国の諸君、ごきげんよう。私はパーサン王国の女王、ギンメイである」
あ、本当に女王様だった。
「なんですか、この映像は!」
プラームがそう言った。ついでに訊く。
「プラーム。ここってキャート国なの?」
「はい。民主主義国、キャート。それがこの国です」
なるほど。つまり本当に、これは俺達に向けられたメッセージなのか。
「突然だが、我らパーサン王国はそなた達キャート国に戦争をしかける。政府は直ちに敗北を宣言し、私に従属を従いなさい。そうすれば、破壊活動をやめ、あなた達は私達による平和の統治の中暮らせます」
もの凄い勝手な言い草だな。ほぼテロリストの言い分だ。
「それでは、私はそなた達からの敗北宣言があるまで待ちます。それまでお達者で。ふふ」
映像が消える。なんということだ。
「なんということを。パーサン王国の女王、ギンメイめ」
プラームがそう言う。
その時、突然コックピット内にかん高い音が鳴った。確認するとレーダーに、三つの敵影が映っていた。
「周囲に未確認物体を確認。マスター、対処してください」
声が俺にそう指示する。
と言われても、どうすればいいんだ?
「清太様、あのユーフォーはおそらくパーサン王国のユーフォーです。ササッと撃破しちゃってください!」
プラームにそう言われる。
撃破? 俺が?
「ムリムリムリ。プラーム達の方でなんとかできない?」
「清太様、早く。ここにはエレガン様もエレール様もいるのですよ!」
「はっ」
エレガン、エレール。俺の娘。
そうだ。娘を守らないと。エレガンも。
俺は、俺は。
「ラヴィーズ、敵を倒せ!」
「オーケーマスター。そのご指示をお待ちしていました」
ラヴィーズは勝手に動く。元は自動操縦みたいなものだから、その動きには迷いがなく、正確だ。
だが、判断は相手の方が早かった。
三機のユーフォーから、ビームが放たれる。狙いはラヴィーズ。
そのビームをラヴィーズは、完全に消滅させた。きっとバリアの力だ。
「やりました。バリアは問題なく作動しています。効果も十分!」
プラームが喜んでいる。その間に俺は、まず一機倒す!
「ラヴィーズハンドビーム!」
右手からビームを出す。これでユーフォーは一機爆散。
「て、敵は、殺してないよね!」
「イエスマスター。しっかり脱出用のパラシュートが空に見えます」
「ほっ、良かった」
「ではもう一機狙います」
ラヴィーズは勝手に動いて、今度は左手でラヴィーズハンドビームを撃つ。
これで二機目のユーフォーも爆破した。
「マスター。ラヴィーズブレストビームと言ってください」
?
ひとまず、言われた通りにしよう。
「ラヴィーズブレストビーム」
「オーケー。ラヴィーズブレストビーム準備完了。ファイア」
三機目のユーフォーは、ラヴィーズのおっぱいから放たれた二本のビームに貫かれた。
これも、爆散。
「周辺の敵影、全てロストしました」
ふう。これでなんとかなったか。
「清太様、お願いがあります!」
「なんだい、プラーム」
「この戦争を終わらせるには、敵の大本を倒すしかありません。早速ラヴィーズの瞬間移動機能を使って、パーサン王国のギンメイがいる城まで行き、倒してほしいです!」
「え、ラヴィーズって瞬間移動までできるの?」
「はい。お願いします。この国のためにも!」
そうか。
正直、引きこもりが頼まれるようなことじゃないけど、今ここに俺がいるんだ。仕方ない。
「わかった。やってみる。ラヴィーズ、瞬間移動でギンメイがいる城まで行ってくれ」
「イエスマスター。インターネット検索で女王ギンメイが居住している城を検索、ヒット。直ちに瞬間移動します」
次の瞬間、俺は知らない場所にいた。目の前には城。ここにギンメイがいるのか。
でも、この城を壊してギンメイを生き埋めにするというのは、何か違う気がする。
そう逡巡した直後、いきなり全方位からビームを撃たれた。幸いバリアが防いでくれるが、ラヴィーズのバリアが何時までもってくれるかわからない。俺は焦る。
「ラヴィーズ。ギンメイの居場所はわからないか?」
「イエスマスター。ラヴィーズソナーを使います。ヒット。先程の映像と同じ姿をした人物を探し当てました。殺しますか?」
「いいや、そんな物騒なことはやめて。捕まえて」
「イエスマスター」
ラヴィーズが城に手をつっこみ、城壁を破壊し、ケーキを崩すように掘り進む。
そしてやがて、一人の女性をつかまえた。
モニター越しに右手の中にいる人物を確認する。
よし。この顔、ギンメイ女王様で間違いないな。
「ラヴィーズ。もう退散しよう。元の位置まで瞬間移動してくれ」
「イエスマスター」
瞬間移動で、研究所まで戻って来る。
そしてギンメイをおろして、俺も降りると、その時ラヴィーズに言われた。
「マスター。またのご利用を、お待ちしております」
「ああ、うん」
なんだか大変だったけど、もう乗らないと思う。
その後すぐ、ギンメイをとらえた情報を世界中に拡散して、パーサン王国は戦争をやめた。
そのまま、ギンメイは牢屋送り。たぶん一生出てこれないだろう。
キャート国は少し攻撃を受けてしまったらしいが、幸い死者は0。重傷者も出なかったようだ。
そして政府はラヴィーズの活躍を称賛し、プラーム達への研究資金を提供した。これでプラーム達は狂喜乱舞。まだまだ巨大ロボットを造るつもりらしい。
まあ、俺はもう巨大ロボットなんてこりごりだ。実際に乗ってみて、本当にむいてないと思った。
ネーリ達はほめてくれたけど、正直ほめすぎだった。だって、俺はたまたまあの場にいただけなんだから。これは偶然というものだ。
そして後日、俺はギンメイのことで相談を受けた。
なんでも、政府はギンメイに無理矢理子を産ませて、その子を王国に送り込んで権力を支配、もとい、政府のいいように動かす腹積もりらしい。オールガール星人は父よりも母の地位を重要視するそうだ。
そのギンメイのパートナーとして、戦争を早期終結させた英雄である俺が選ばれ、ちょっとあんなことやこんなことをしてくれないだろうか。みたいな連絡がきた。
それを俺は、丁重にお断りした。
正直もう、これ以上子供を作るとか、考えたくない。
それに、敵国同然のところに女王の子供として送るなんて冷たいこと、俺には絶対できない。
もうパーサン王国とギンメイには、関わらないでおこう。そう心に誓った。
その判断をネーリ達は、喜んでくれた。やっぱり、家庭が大切。俺は引きこもりだけど、引きこもり以外の苦労を彼女達におしつけたくない。だから、変な重荷はごめんだ。
まあ、ギンメイとの子作りのお誘いを受けた時は、一瞬選択肢のようなものを見た気がするけど、これで良い。
俺は、引きこもるために生きてるんだからな。王国の権力とか、そういう話とは無縁でいたい。
ラヴィーズのパイロットは地球からやって来たニートに決まった。
なんでも、オールガール星に来ても結局働けず、ウサギも満足に飼えない地球人が何人かいて、その中で割と元気で、比較的従順な男が選ばれたらしい。
更に、予備のパイロットも数名雇用されたらしい。
良かった。少し、拍手を送りたい気分になった。ありがとう、見知らぬ誰か。君達のおかげでもう俺はあれに乗らなくて済む。
でも、赤の他人だから、会わないでおく。
そして今、ラヴィーズの姉妹機が製造されている最中。きっと、もっと恐ろしい強さになると思う。正しく使われることを願うばかりだ。
結果的に俺が生み出したようなラヴィーズが、他の星々を支配するような活動を始めたら、たまったものじゃないな。
うん。深く考えないでおこう。
ある日、俺の元に手紙が届いた。
目を通してみると、そこには驚くべきことが書かれてあった。
なんでも、俺との子作り費用は一億とのことで、俺と子作りしたい人が一万ずつお金を出しあったらしい。
その結果、俺との子作り募集に百億円集まったから、百人のオールガール星人と子作りしてほしい。なお選ばれた女性達は、厳選なくじ引きで決められたという。
そんな内容が書かれていた。
俺は頭が真っ白になって、ひとまず皆に相談してみる。
すると食事中、皆はあっけらかんと言った。
「ああ、そんなに集まったんだ。じゃあ仕方ないねー」
「まあ清太様、これも男の仕事として割り切ってください。ていのいい臨時収入だと思えばいいのですわ」
「清太の体を狙うのは気に食わないけど、まあ清太だし、放っておかないのも無理はないよねえ」
「え、ネーリ、エレガン、オーハ、なんでそんな冷静なの」
「だって、子作りは女の命題だし」
三人にそう言われて、ちょっとしたショックを受ける。
あれ。ひょっとして俺、皆からあんまり大切にされてない?
「きっと、永愛式をやったっていう効果もあると思うよ。清太の衣裳姿、きれいだったし。きっとネットにあがった画像を見て気に入っちゃった人がいっぱいいたのかも」
「ううっ。ネーリ、思い出させないでくれ」
「ラヴィーズを操縦してパーサン王国との戦争を三分で終わらせたのも効いていますわ。今清太様はこの国のヒーローですから、子を望まれる方が出てくるのも仕方ありませんわ」
「あ、あれは、たまたまあの時、俺が乗っていたからで」
「ジュエルラビットをペットとして売り出したのも大きいだろうね。私みたいに感謝のついでに子作りしたいって思う人、やっぱそれなりにいるだろうし」
「え、あ、ああ。そうなの?」
皆にそう言われると、なんだか俺自身が今回の原因のように思えてくる。
「それに、清太様は私やネーリ、オーハとも関係をもっています。その接点を狙って清太様に近づく者もきっと少なくありませんわ」
エレガンが言う。
「あ、ああー。皆凄いもんね」
「うん」
皆うなずく。
「それじゃあ、俺はこの子作りを拒むことはできないんだ?」
「うん。だってもうお金は集まったみたいだし。頑張ってね、清太!」
ネーリにそう言われる。うう、頑張りたくないー。
「しかし、私達以外の者がまた清太様の子を手に入れるなんて、なんだか妬ましいですわ」
「そうだねー。やっぱり、娘一人だけじゃ足りないよねー。もう一人くらい、オリーブの妹が欲しいなー」
エレガンにうなずいて、オーハがそんな不吉なことを言う。
いや、不吉? めでたい? どっち?
とにかく俺は、肉食獣のような眼光を放つ三人にターゲットロックオンされた。
「ねえ清太。この際だから、二人目、作ろ?」
「清太様。私も、次の子を産みたいですわ」
「清太、お願い。今夜、私と頑張って?」
「うっ」
なぜだ。俺、動けない。
これじゃあまるで、蛇に睨まれたカエルだー!
「よし、決まり!」
そして、三人にそう言われた。
「待って、まだ決まってない!」
「清太。逃げないの。百人に一人ずつ子供をあげるんだから、私達にだってもう一人くらいくれるでしょ?」
「そうですわ。私も丁度、もっと愛娘が欲しいと思っていたところですわ!」
「清太。おねがーい。もう一回愛情ちょうだーい?」
「えー!」
ダメだ、逃げられない。
こうして俺は、もう既に四人の娘がいるというのに、また彼女達に食べられてしまった。
そして翌日、皆から懐妊報告。
ああ、これはダメな流れだ。今は大人しくうささん達をなでていよう。
君達の存在感とお金の入金だけが、今の俺の心を癒やしてくれるんだ。
そうして、百人子作りの予定も決まってしまい、これから百日間毎日、俺の城にかわるがわる美女がやって来ることになった。
そして一人目の顔合わせ&ベッドインは、どこかで見たことあるような、緑髪の女性だった。
「こんばんは」
「こんばんは、清太さん。今宵はよろしくお願いします!」
「こちらこそ、お手柔らかに」
「ふふふ。久しぶりに清太さんと会えました。私今、胸がすっごくドキドキしてます!」
「あの、どこかでお会いしました?」
「はい。以前、昼間の公園でお会いしました。あの時はウサギさんを滑り台で遊ばせていましたよね。お写真、撮らせてもらいました」
「ああ、あの時の。お久しぶりです」
「清太さんは、私のこと忘れてたんですか?」
「はい。でも、今やっと思い出しました」
「ふふ。それは、少し寂しいですけど、うれしいです。あの時撮った写真は、私のホームページに載せて、たくさんの人に好評価をいただきましたよ。その多くの女性達が、今回の子作り集金くじに参加しました」
「そんなまさか、あの時の写真で?」
「はい。では早速、子作りしましょうね?」
「あ、その、俺でよければ」
「うふふ。かわいい。それでは、にゃあーん!」
「わー!」
俺の身は乱暴にされた。翌日。第二夜に現れたのはプラームだった。
「お久しぶりです、清太様!」
「プラーム。まさか君か」
「はいー。清太様のような素敵な殿方と一夜共に過ごせるチャンスを、私達が見逃すはずないじゃないですかあ。まあ、研究チームの中でくじに当たったのは私だけでしたけど」
「そんな、俺なんて良い男じゃないよ。引きこもりだし」
「またまたあ。その引きこもりの価値を、清太様が爆上げしたんじゃないですかあ。ジュエルラビットの飼育の成果、まだ順調なんでしょ?」
「それはそうだけど」
「あの十センチ宝石のおかげで私達の研究はどんどん進んでいますし、まさに清太様さまさまですって!」
「でもそれと子作りは、別な気がする」
「さあ、話はこれくらいにしておきましょう。それより私は、清太様と早く子作りがしたいです!」
「ええ、いいよ。このまま話をして眠ろう」
「それも魅力的な案ですが、何より私の体が飢えているので! それではいざ、ふーじこちゃーん!」
「あああ、どこで憶えたのそんなダイブ!」
こんな感じで、俺は百人の女性達と肌を重ねた。
俺、ただのひきこもりなのに。とほほ。
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