20 / 37
20 雪山その7
しおりを挟む
13 雪山の地竜
目覚めた。
気持ちの良い朝だ。あいや、今の天気は吹雪か。とにかく、今日も元気にやっていこう。
「おはようございます、マスター」
「おはよう、カナタ。カナタ、朝ごはんを食べ終わった後でもいい。ジャナカの様子を見に行ってくれないか。同時に支度を済ませて、早く動き始めたい」
「その件ですが、マスター。昨夜ジャナカは、マスターを襲おうとしました」
「へ?」
「なので私達の手で厳重に拘束し、そのままカマクラ内にて放置しております。処遇はいかがいたしましょうか?」
「へ?」
「そうですね。考える時間も必要です。まずは食事でもどうぞ。ウッドルフ、朝のフルーツを」
「ワン!」
「ま、待って。まずは、ジャナカを見に行こう」
「イエスマスター」
これは、どういうことだ?
ジャナカが、俺を奇襲?
ありえない。と言いたいが、しかしそんなに仲が良いわけでもない。
前に二度程会ったウサット族からも攻撃以外されたことがないし、ジャナカ本人とだって最初は戦った。
けど、まさかまだ攻撃してくるなんて。
いや、俺はジャナカからの再度の攻撃を警戒して、長刀を奪ってもいる。予想内の出来事であったというべきか。
ただ、その事実に衝撃を感じ、戸惑いを隠せないだけで。
まず、ジャナカと会おう。それから今後のことを決めよう。
俺はカナタ、ウッドルフ、ナミウルフ、フレイムピラージャイアントと共にカマクラを出る。そしてジャナカのカマクラにおじゃまする。
ああ、全員は入れなかったか。ひとまず俺だけ入るが、そこには確かに、水と土の縄で拘束されているジャナカがいた。
「殺すなら殺せ」
「そんなことできないよ。俺はジャナカと話をしに来ただけだ。ジャナカ、なぜ俺をおそおうとしたんだ?」
「決まっている。お前の力は驚異だ。里にお前を近づかせないために、お前の命を狙ったんだ」
「そう、か」
皆のため、か。彼女も俺と同じように、誰かのために命をかけようとしたのか。
けど、ジャナカの決意は、無意味だ。
「ジャナカ、君は間違ってる」
「そうだろうな。結果このざまだ」
「そういうことじゃない。俺はウサット族の里には行かない。だからジャナカの危惧していたことは、ただの空回りだ」
「そんなこと誰が信じられる!」
「俺はもう、ウサット族の里の場所を知っている」
「!」
「イルフィンが、最初に会ったウサット族の子供の後を追跡していたんだ。だから、正確にはまだ、俺は里の場所を知らないけど、けどそもそも里の場所を知る必要もない。俺はここでレベルを上げて、そのまま王国へ戻る」
「そ、それでも、お前は驚異だ。それに、お前が嘘を言っている可能性もある!」
「ねえ、ジャナカ。俺達は、分かり合えないのかな?」
「そんな未来は、ない!」
「そう。でも、俺はその未来を、信じる」
だって、諦めたらそこで終わりだろ。
だったら、諦めずにいれば、その分可能性は残るじゃないか。
俺はどうしても、ウサット族のことを敵とは思えない。
けどそう言ったら、バウコン帝国のことも。
いや、今はレベル上げと、今のことに集中しよう。
「ジャナカ。君を里に帰したいけど、きっと里まで遠い。今ここで、戦力を二分させることは避けたい。それに、君は強い。また俺達の前に立ちはだかったら、その力は驚異だろう。だから、そんな危険もおかしたくはない」
「そうか。では殺すか?」
「いいや。君を一緒につれていく。俺達が帰るその時に、君を無事に送り返すよ」
「なぜ殺さない」
「殺す必要が無いし、殺したくもないし、殺す以外の選択肢を探したいからだ」
ジャナカは一度目をつぶって、そして言った。
「お前は甘いな」
「わかってくれたら、まずは朝ごはんを食べよう。拘束はとけないけど、カナタ、食べさせてあげて」
「イエスマスター」
俺は一度、自分のいたカマクラまで戻ることにする。
今ジャナカと一緒にいても、空気が重くなるだけだろう。
ジャナカは拘束したまま、ウッドルフの背に縛られることとなった。
そして俺達は、今日も吹雪の中獲物を探す。
向こうからやって来るモンスターは、バリピスノのみ。ドラウグドルは探さないと見つからない。しかもイルフィンの探知からも逃れる曲者だ。
索敵は難航したが、早い内にドラウグドルを二体発見。無事に撃破。
きっと90レベルまでもう少しだ。そう思い、更に雪山を歩く。
「キューキュー!」
そんな時、突然イルフィンが甲高い声をあげた。
「マスター、イルフィンが危険をうったえています。逃げましょう!」
そのカナタの声を聞いて、俺はうなずく。
というか、その時には既に皆、山を下りはじめ、全力疾走していた。
「まさかとは思うが、ドラゴンが現れたか!」
山頂付近に近づきすぎたか?
いや、今までずっと用心していた。きっと今回、たまたま運が悪かっただけだろう。
「コールルオー!」
そんな時、雪山に響く、力強く荒々しい獣の声が耳に届いた。
次の瞬間、俺達の目の前に氷の壁が出現し、天に、そして左右に伸びていく。
ダメだ、逃げ切れない!
「グオオーン!」
そんな時、ジュレイドラゴンが体からツルを伸ばし、ネツウルフに乗る俺を捕まえ、そのまま二人で上昇しようとした。
だから俺は、首を横に振った。
「逆だ、ジュレイドラゴン。逃げるんじゃない、迎え撃て!」
氷の壁は左右よりは上下の方が短い。だから確かに、空に逃げた方が可能性はあると思う。
けれど、相手がそうやすやすと、こちらを逃がすとは考えられない。
「皆、一塊になるんだ。そしてウッドルフ、ジャナカの拘束をとれ!」
俺の指示通り、皆一か所に集まる。そしてジュレイドラゴンにおろしてもらった後、再び動けるようになったジャナカに、長刀を返す。
「ジャナカ、これを!」
「な、なぜ私をここで解放する!」
「死にたくないからだ。ジャナカもそうだろう!」
「!」
そう言い合っている内に、状況が変わった。
氷の壁で挟むように、たくさんの氷塊が上からこちらへと飛来してきた。
その動きは直線ではない。上から、斜め横から、弧を描くように近づいてくる。まるでミサイルのようだ。
十中八九、敵、それもドラゴンからの攻撃だ。
「メタルギアジャイアント召喚!」
俺は、間一髪のところでメタルギアジャイアント二人目を召喚した。
それも、今回は皆をかばえる程大きい、今召喚できる限り一番大きなサイズでだ。
「ターゲット一枚をチャンスカードに変え、巨大メタルギアジャイアントをパワーアップ!」
更に強化まで行う。直後、氷塊ミサイルが全弾巨大メタルギアジャイアントに命中した。
割れる氷塊と、メタルギアジャイアントの体。
数秒後、辺りは吹雪の吹く音のみに戻ったけど、目の前ではボロボロになった巨大メタルジャイアントが、やっとの思いで立っている。
パワーアップさせてても、こんなにやられるのか!
「皆、巨大メタルギアジャイアントの回復を急いで!」
回復させられる仲間は即行動。更にカナタや他ジャイアント、ドラゴン達は、巨大メタルギアジャイアントの後ろから出て戦闘態勢に入る。ネツウルフだけ俺を背に乗せに来る。
そして、それは現れた。
白と緑色の、二色の美しい体。
頭には四本の大角。内二本がまっすぐで、もう二本はねじれて天へと伸びている。
巨大メタルギアジャイアントよりは小さいが、それでも十分に大きな巨体。
翼はないが、四本足で雪を踏みしめるそれは。
「コースノール」
ジャナカが、正体を知っていた。
「コールルオー!」
「皆、かかれ!」
「ガオオオーン!」
「ワオーン!」
「キューキュー!」
「イエスマスター!」
逃げ場がないのなら、倒すしかない。
相手はドラゴン。俺の仲間以外で、初めて出会う幻想世界の住人。
この出会いは不幸だが、まだやられたと決まったわけではない。
なんとしてでも、生きて帰る!
私はジャナカ。ただ死を待つだけだったはずの女。
それがどういうわけか、まだ五体満足のまま息をしている。
自分を襲った相手を頑なに傷付けようとしない男、サバクの気の迷いを、幸いと思うか不幸と思うか。
どちらにしろ私はそのおかげで、この山の支配者の一角、コースノールと会うことができた。
いつもは近寄らないような遠くに来ているからだろう。私もこの高度でドラゴンと会うとは思わなかった。
だが私達は、おそらくコースノールの魔法によって逃げ場を封じられてしまった。おそらく氷壁の下の雪中も封じられているだろう。
しかもその後すぐに放たれた攻撃魔法は全てが超凶悪な威力で、それが吹雪のようにおそってきた。
今私の命があるのは、サバクの召喚モンスターが守ってくれたおかげだ。
しかも、今私は自由の身だ。愛刀グイルチャッツィエも手元に戻ってきた。
このまま、生きようとしていいのだろうか?
また、家族と会える夢を見ていいのだろうか?
今わかっていることは、一つ。
考えることは、コースノールを倒した後でもできるということだ。
すぐにサバクのドラゴンとジャイアント達が数体、コースノールへ殺到した。ウルフ四体も、警戒しながら接近していく。
それを見てからコースノールが動く。まず大きい方の赤いドラゴンに目をつけ、接近。
ドラゴン達の動きより、コースノールの方が速い。ドラゴン達が囲いきるより前に、コースノールは大きい赤いドラゴンに肉薄する。
これに対して狙われたドラゴンは、ブレスを吐きながら上へ逃げる。近くにいた金色のドラゴン、灰色のドラゴン、小さい赤いドラゴンはブレスを吐きつつ、逆に接近する。
だがコースノールはその三体のドラゴンには目もくれず、右前足を振り上げて狙ったドラゴンを攻撃。
大きい赤いドラゴンはこれを避けきれず、後ろ前足を一本潰されながら軽く吹き飛ばされた。しかもドラゴンがやられたところは氷に包まれていて、体の半分近くが動かせなくなってしまった。
コースノールの攻撃は、ただ強力なだけではないようだ。氷魔法のおまけつきか。これは要注意だ。
対するドラゴン達の攻撃、そして遅れて近づくゴーレム、ウルフ達の攻撃魔法が、コースノールに命中。しかしコースノールの体には大した傷がついた様子もなく、ドラゴン3体を振り払うと、コースノールは次の獲物に目をつける。
今度はゴーレム達に目がとまったようだ。先程と同様、急速接近し、前足の鋭い爪で切り裂く。あるいは押しつぶす。
これにゴーレム達は、密集して待ち構えた。両手に属性魔法をまとい、相手からの攻撃に耐える。
ゴーレム達はなんとか前足の一撃には耐えた。だがすぐさま押しつぶされながら氷漬けにされ、数秒で氷の中に閉じ込められる。
ゴーレム達のやや後方に陣取っていたウルフ達も魔法を放つが、大したダメージにはなっていない。この戦力差は、圧倒的か。
だが、それでも私は死にたくない。そして、ここにいる全員が私と同じ目をしている。
ならば、命がけで戦おう。例えここで死ぬ運命だとしても、力を尽くして悔いなく終わりたい。
「ウサット流剣技、ホワイトフェザー」
自然と私もゴーレム達と共に駆け出していた。そして今、コースノールの目は私を見ていない。やるなら絶好の機会だ。
私の遠距離攻撃は、コースノールの瞳を狙っていた。だが軽く顔を動かされて、顔の端に当たる。効果は無しといったところか。傷になっている様子はない。
「ふっ!」
一方、カナタという女は刀を構えて跳躍し、振り下ろされた後のコースノールの前足を狙って振り抜いた。
そちらの攻撃は、少しの切り傷を残すという結果に終わる。血は出ていないが、ダメージには一応なっていそうだ。この結果を見る限りでは、私のように弱点を強引に突くよりは、彼女のように全力の一撃をぶち当てた方が効果はあるかもしれない。
三体のドラゴンが左右後方から突撃し、くらいつく。するとコースノールはその場で暴れ、三体を振りほどいてから一度後退した。その際にコースノールの鱗の破片がいくつか落ちる。流石はドラゴン。力の差はあれど、少しでもあれにダメージを与えられるとは。この戦いの要は、ドラゴン達になるか。
ここで大きい赤いドラゴンが、氷を溶かして戻って来た。一直線にコースノールに迫る。足が一本潰れているというのに、大したものだ。他三体のドラゴンも遅れて突撃する。
コースノールがこのドラゴン4体に構っている内に、私も接近再開。カナタとウルフ達は、私より速いスピードで走っていく。
「コールルオー!」
するとここでコースノールが、魔法を使った。自分の周囲に氷塊を生み出して、全部でそろったら追尾弾として発射する。
私はその数を一瞬で把握。合計百一発か。先程も見た魔法だが、はっきり言って対処は不可能だ。速度も威力も桁外れすぎる。
私達はこの氷塊魔法を、死ぬ物狂いで迎撃した。
回避は無駄だ。速度が速すぎるし、追尾もしてくる。ならば一発でも多く、被弾する前に破壊するしかない。
「ウサット流剣技、ホワイトファング!」
上手くタイミングを合わせ、氷塊を両断する。なんとか成功したが、喜ぶのはまだ早い。氷塊の数は百一。まだ次がある。
「ウサット流剣技、ホワイトネイル!」
即座に二つ目、三つ目も破壊。しかしここで私に限界がきた。
四つ目、五つ目の氷塊をくらってしまう。四肢がバラバラになったりはしなかったが、当然のように大ダメージ。いたるところの骨が砕ける。すぐには立てなくなった。
ここまでか。
コースノールを相手にここまでやれたのなら、まあよくやった方だろう。
吹雪が常に視界を遮る。ここで私の人生が終わるのも、まあ悪くはないだろう。
私の命は、一度雪山に還るのだ。そして一度まっさらに浄化され、再び生を受ける。
それが私の運命ならば、受け入れよう。
「まあ、ウサット族もいるのですか」
そんな考えをしていた私に、声をかける者がいた。
水色の髪をした女だ。
こいつもサバクの召喚モンスターなのだろうか?
そう思っていると、いきなり女に水をぶっかけられた。
「感謝しなさいウサット族。一応あなたも貴重な戦力なのでしょう? もっと役に立ってもらいますわ」
驚くことに、みるみる体中の痛みがひいていく。
まさか、女の水で回復しているというのか。
「超治癒水です。もう完治したでしょう。またボロボロになったら治してさしあげますわ」
そう言って女がコースノールへと近づいていく。更に他のドラゴン達も、空を飛んで敵の元へ行く。
あのドラゴン達は、巨大ゴーレムを治していたドラゴン達か。む、一体多い気がするな。あの少し大きな緑色のドラゴンは、里に来た個体に似ている気がする。
いや、今悠長に考えているヒマはない。体は動く。なら立ち上がるべきだ。
その時、巨大な金色の光線が、コースノールに直撃した。
放ったのは巨大ゴーレムだった。ボロボロだった体は、もう傷一つない。あの傷をたった数秒で治したというのか。でたらめだ、こいつらは。
だが、光線はコースノールを貫けない。どうやら一撃必殺ではないようだ。
当然か。相手はこの山に君臨するドラゴン。秒殺できるような相手ではない。
更に後方から、二体のゴーレムが走ってくる。私もすかさず駆け出した。あの水色髪の女や新たなドラゴン達は、たった今猛威をふるった氷塊魔法によってダメージを受けた仲間達を回復させているようだった。私を含めコースノールの近くにいた者達は半死半生の体だったが、あの回復水をかけられれば、たちまち戦力として復活するだろう。
これは、チャンスだ。コースノールを倒すチャンス。
劣勢だが、ここまで戦えている。このまま敵の攻撃をしのぎ続ければ、こちらも助かるチャンスがあるはずだ。
金色の光線が終わる。そこには湯気を立ち昇らせるものの、傷一つないコースノールの姿があった。
そしてコースノールはお返しとばかりに、口から青白い光線を放つ。
光線の先は見ないでおく。あれは間違いなく一撃必殺の威力だろう。それに何より、攻撃先が私ではないことに着目する。ならば今は、一秒でも早く接近するのみ。
敵の光線が終わる頃に、こちらのドラゴンが4体復活する。皆ブレスを吐きながら、コースノールに突撃する。
コースノールはまとわりつくドラゴンを振り払うべく暴れ回る。私はその動きを見切り、速度を緩めることなく肉薄した。
「ウサット流剣技、ホワイトホーン」
全力をこめて、愛刀の切っ先でコースノールの右前足を突き刺す。
その一撃は鱗一枚を砕いたが、それだけだった。出血はせず、大したダメージにはならない。
私はすぐさま離れ、距離をおく。一瞬だけコースノールに睨まれヒヤリとしたが、すぐにドラゴン達へと視線を戻したので、一安心する。
これでも私は、戦闘にはかなりの自信があった。だが、現実はコースノールにダメージを与えることすら困難でいる。それが私の危機感を大きく刺激する。
だが、私はまだ最強の攻撃を放ってはいない。今は、それに賭けるしかない。
幸いコースノールは、まだ私を始末しようとは考えていない。今のうちに、勝機を見出さなければ。
「ウサット流剣技、ホワイトブレス」
あまり深く踏み込まず、けん制程度の技を放つ。やはりコースノールにダメージは与えられない。だがここは様子見だ。そして敵の隙を探るのだ。
「ウサット流剣技、ホワイトハウル。ホワイトシェイド」
技を続ける。だがまだコースノールは私を歯牙にもかけない。これでいい。準備は整った。後は奥の手を叩きこむだけ。
できればコースノールの弱点を狙いたい。ならばここは多少無謀だが、言い伝えに聞くドラゴンの急所を狙ってみよう。
ドラゴンの顔の下には、逆鱗と呼ばれる柔らかい部分があるという。そこを狙う。
コースノールは終始動き回り、猛攻を続けている。その目の前に立つとなれば、死の危険は避けられないだろう。
だがそこにしか勝機が見えないのも事実。生き残りたいのなら、死への恐怖を乗り越えろ。その先にしか、私の力で通じる道は無い。
私はコースノールにではなく、サバクのドラゴンに目を向ける。大きい赤いドラゴン、あいつがいい。あいつの近くに移動する。
そしてチャンスはすぐに訪れた。
「コールルオー!」
「ガオーア!」
二体のドラゴンが真っ向から殴り合う。大きい赤いドラゴンは二撃で撃沈、距離をおく。しかしそのわずかに意識がこちらへと向かない中、私は疾駆した。
「ウサット流剣技、ホワイトブラッド」
回避防御を一切考えない、ただ斬りかかり、切り捨てるだけの大技。これが私の奥の手だ。
タイミング、狙いは正確だった。私の一撃は、コースノールの喉上に届く。
すると、今までと違って容易く鱗を貫き、肉を切り裂くことができた。
しかしこの一撃は、浅い。ほんの少量の血しぶきが私の顔にかかるのみ。
その瞬間、私の胸は早鐘を打った。
突然私の体がパワーアップする。
具体的に言うと、攻撃力、防御力が上がり、自然治癒力、魔力回復力も強化される。
その力を、私は自然と理解することができた。
ドラゴンの血。
ドラゴンを倒した勇者のみが手に入れられる、ドラゴンの加護。これを手にした者は、常人とはかけ離れた力を手にし、更に長寿の恩恵を受けるともいわれている。
その力が、わずかばかりながらも私の中に宿ったのだ。
そして私の全細胞が、私に命令した。
もっと血を手に入れよ。
もっと血を手に入れよ。
今こそこの力をわがものとせよ。この体にドラゴンの血を満たせ!
「コールルオー!」
「!」
意識を現実に戻す。すかさず距離をとり、わずかでも安全な場所へと向かう。
だが、私のその判断は誤りだった。
コースノールは、私を凝視していた。たった今負ったダメージにより、私を一番危険な敵だと判断したのだろう。
コースノールが私に前足踏みつけをおみまいした。
とっさに後ろへ跳ぶ。ギリギリ回避するが、前足が地面を踏みしめた際に発生した氷が、私を捕まえた。
氷に包まれる両足。これで私は、回避できなくなる。
すぐさまもう一度上がる前足。それは私の頭上から離れない。
死んだ。と思った。
次の瞬間、サバクの召喚モンスター達が一斉にコースノールの他の足を攻撃して、コースノールの体を倒した。
その隙をついて、カナタが私を捕まえている氷を雑に切り裂き、私を開放する。
「まだ動けますね!」
「ああ。だが今攻撃しなくて良かったのか?」
「何言ってるんですか。仲間の命が最優先です。マスターなら絶対そうおっしゃいます!」
その言葉に、少なからず衝撃を受けた。
「お前がサバクの何を知っている」
「ほぼ全てです。それより、今のあなたの攻撃はかなり有効でした。私もその技、盗ませていただきます」
「待て。ならば話がある。お前が本当に技を盗めるのなら、話を聞け」
そう言いつつ、コースノールから更に距離をとる。コースノールはまた私を睨みつけたが、それよりも近くにいる召喚モンスター達の猛攻に耐え兼ね、視線をそちらへ移す。話をするなら、今が絶好の時だろう。
「話なら手短に」
「私のホワイトフェザー、ホワイトファング、ホワイトネイル、ホワイトホーン、ホワイトブレス、ホワイトハウル、ホワイトシェイドは、剣技であると同時に、印でもある。この7つの技を放ち、印を集めきると、奥の手、ホワイトブラッドの威力は三倍になる。印を結ぶ順番は問わない」
「なるほど。それは貴重な情報です。ですが、私はあなたの剣技を全て見てはいません。ここはジャナカが先行して、私に手本を見せてください」
「わかった。やれるものなら、やってみろ。あと、コースノールの弱点は間違いなく逆鱗だ。攻撃するなら、そこだ」
「あなたが攻撃したところですね。了解しました。では、最後のホワイトブラッドで、同時に狙いましょう」
「コールルオー!」
私達が話を終えたのと同時に、コースノールが新たな魔法を使った。
コースノールの周囲にいた者達が、自然と氷漬けになり始めたのだ。
これでサバクの勢力のほとんどが、行動不能になる。だがそれでもまだ、こちらには勝機があった。
ここで再び後ろから、金色の光線が放たれたのだ。
「コールルオー!」
二回目の光線は、コースノールを苦しませた。光線の先で、わずかに苦しんでいるのが見える。
更に、こちらへと走る巨体が一つあった。
巨大な青いゴーレムが新たに現れ、コースノールに一直線に向かっていくのだ。
サバクめ。更に召喚できるのなら、早くやればいいものを。だがこれはチャンスだ。あの巨人に隠れるように接近し、コースノールにもう一度ホワイトブラッドを決めたい。
「では、いきますよジャナカ。ご武運を!」
「そちらもな!」
光線が終わり、すかさず巨大な青いゴーレムが殴りかかる。私も休憩は終わりだ。氷漬けになった足も、今なら魔法で復活させられそうだ。
体にくっつく氷を砕きながら走る。コースノールを休ませる手はない。こちらの戦力がまだ活きている内に、やつの喉元にくらいつけ!
「ホワイトフェザー!」
「ホワイトフェザー!」
「ホワイトブレス!」
「ホワイトブレス!」
「ホワイトファング!」
「ホワイトファング!」
私に続くカナタの剣技は、見事なものだった。
彼女なら、私と並ぶ、いや、私を超える剣士になるかもしれない。その実力が今は頼もしい。
そう、頼もしい。カナタも、そして他の召喚モンスター達も、今では命を預け合える大切な仲間だ。そこに敵意は挟めない。
それはなんとも気持ち良い、奇妙な感覚だった。
巨大な青いゴーレムとコースノールが殴り合っている隙間を縫って、私とカナタが流麗な動きで技を出し合っていく。
ホワイトネイル、ホワイトホーン、ホワイトハウル、ホワイトシェイド。7つ全ての技を決めきる。
するとその頃には既に、氷漬けにされていた召喚モンスター達が復活し、再びコースノールを攻撃していた。
だがこちらもただでは済まない。今巨大な青いゴーレムがやられ、光になって消えていく。他の者達も、無傷ではない。皆ギリギリのところで耐えている。
「コールルオー!」
コースノールはここで、氷塊魔法を使ってきた。
だがその瞬間、コースノールの注意が散漫になった。この隙を逃してはならない。ここで、決める!
「ホワイトブラッド!」
「ホワイトブラッド!」
私とカナタの声が重なった。
次の瞬間、私とカナタの刃がコースノールの逆鱗を切り裂き、大きな血しぶきが舞う。
その際にドラゴンの血を体中に浴びて、私の体が歓喜した。
そんな、至福のひと時を味わう中。
突然、コースノールの顔が目の前にきて、その口の中をよく見ることができた。
「ジャナカ!」
直後、私はカナタによって蹴り飛ばされる。
高速でコースノールから離れる私が見たのは、一口で食われるカナタの最後だった。
目覚めた。
気持ちの良い朝だ。あいや、今の天気は吹雪か。とにかく、今日も元気にやっていこう。
「おはようございます、マスター」
「おはよう、カナタ。カナタ、朝ごはんを食べ終わった後でもいい。ジャナカの様子を見に行ってくれないか。同時に支度を済ませて、早く動き始めたい」
「その件ですが、マスター。昨夜ジャナカは、マスターを襲おうとしました」
「へ?」
「なので私達の手で厳重に拘束し、そのままカマクラ内にて放置しております。処遇はいかがいたしましょうか?」
「へ?」
「そうですね。考える時間も必要です。まずは食事でもどうぞ。ウッドルフ、朝のフルーツを」
「ワン!」
「ま、待って。まずは、ジャナカを見に行こう」
「イエスマスター」
これは、どういうことだ?
ジャナカが、俺を奇襲?
ありえない。と言いたいが、しかしそんなに仲が良いわけでもない。
前に二度程会ったウサット族からも攻撃以外されたことがないし、ジャナカ本人とだって最初は戦った。
けど、まさかまだ攻撃してくるなんて。
いや、俺はジャナカからの再度の攻撃を警戒して、長刀を奪ってもいる。予想内の出来事であったというべきか。
ただ、その事実に衝撃を感じ、戸惑いを隠せないだけで。
まず、ジャナカと会おう。それから今後のことを決めよう。
俺はカナタ、ウッドルフ、ナミウルフ、フレイムピラージャイアントと共にカマクラを出る。そしてジャナカのカマクラにおじゃまする。
ああ、全員は入れなかったか。ひとまず俺だけ入るが、そこには確かに、水と土の縄で拘束されているジャナカがいた。
「殺すなら殺せ」
「そんなことできないよ。俺はジャナカと話をしに来ただけだ。ジャナカ、なぜ俺をおそおうとしたんだ?」
「決まっている。お前の力は驚異だ。里にお前を近づかせないために、お前の命を狙ったんだ」
「そう、か」
皆のため、か。彼女も俺と同じように、誰かのために命をかけようとしたのか。
けど、ジャナカの決意は、無意味だ。
「ジャナカ、君は間違ってる」
「そうだろうな。結果このざまだ」
「そういうことじゃない。俺はウサット族の里には行かない。だからジャナカの危惧していたことは、ただの空回りだ」
「そんなこと誰が信じられる!」
「俺はもう、ウサット族の里の場所を知っている」
「!」
「イルフィンが、最初に会ったウサット族の子供の後を追跡していたんだ。だから、正確にはまだ、俺は里の場所を知らないけど、けどそもそも里の場所を知る必要もない。俺はここでレベルを上げて、そのまま王国へ戻る」
「そ、それでも、お前は驚異だ。それに、お前が嘘を言っている可能性もある!」
「ねえ、ジャナカ。俺達は、分かり合えないのかな?」
「そんな未来は、ない!」
「そう。でも、俺はその未来を、信じる」
だって、諦めたらそこで終わりだろ。
だったら、諦めずにいれば、その分可能性は残るじゃないか。
俺はどうしても、ウサット族のことを敵とは思えない。
けどそう言ったら、バウコン帝国のことも。
いや、今はレベル上げと、今のことに集中しよう。
「ジャナカ。君を里に帰したいけど、きっと里まで遠い。今ここで、戦力を二分させることは避けたい。それに、君は強い。また俺達の前に立ちはだかったら、その力は驚異だろう。だから、そんな危険もおかしたくはない」
「そうか。では殺すか?」
「いいや。君を一緒につれていく。俺達が帰るその時に、君を無事に送り返すよ」
「なぜ殺さない」
「殺す必要が無いし、殺したくもないし、殺す以外の選択肢を探したいからだ」
ジャナカは一度目をつぶって、そして言った。
「お前は甘いな」
「わかってくれたら、まずは朝ごはんを食べよう。拘束はとけないけど、カナタ、食べさせてあげて」
「イエスマスター」
俺は一度、自分のいたカマクラまで戻ることにする。
今ジャナカと一緒にいても、空気が重くなるだけだろう。
ジャナカは拘束したまま、ウッドルフの背に縛られることとなった。
そして俺達は、今日も吹雪の中獲物を探す。
向こうからやって来るモンスターは、バリピスノのみ。ドラウグドルは探さないと見つからない。しかもイルフィンの探知からも逃れる曲者だ。
索敵は難航したが、早い内にドラウグドルを二体発見。無事に撃破。
きっと90レベルまでもう少しだ。そう思い、更に雪山を歩く。
「キューキュー!」
そんな時、突然イルフィンが甲高い声をあげた。
「マスター、イルフィンが危険をうったえています。逃げましょう!」
そのカナタの声を聞いて、俺はうなずく。
というか、その時には既に皆、山を下りはじめ、全力疾走していた。
「まさかとは思うが、ドラゴンが現れたか!」
山頂付近に近づきすぎたか?
いや、今までずっと用心していた。きっと今回、たまたま運が悪かっただけだろう。
「コールルオー!」
そんな時、雪山に響く、力強く荒々しい獣の声が耳に届いた。
次の瞬間、俺達の目の前に氷の壁が出現し、天に、そして左右に伸びていく。
ダメだ、逃げ切れない!
「グオオーン!」
そんな時、ジュレイドラゴンが体からツルを伸ばし、ネツウルフに乗る俺を捕まえ、そのまま二人で上昇しようとした。
だから俺は、首を横に振った。
「逆だ、ジュレイドラゴン。逃げるんじゃない、迎え撃て!」
氷の壁は左右よりは上下の方が短い。だから確かに、空に逃げた方が可能性はあると思う。
けれど、相手がそうやすやすと、こちらを逃がすとは考えられない。
「皆、一塊になるんだ。そしてウッドルフ、ジャナカの拘束をとれ!」
俺の指示通り、皆一か所に集まる。そしてジュレイドラゴンにおろしてもらった後、再び動けるようになったジャナカに、長刀を返す。
「ジャナカ、これを!」
「な、なぜ私をここで解放する!」
「死にたくないからだ。ジャナカもそうだろう!」
「!」
そう言い合っている内に、状況が変わった。
氷の壁で挟むように、たくさんの氷塊が上からこちらへと飛来してきた。
その動きは直線ではない。上から、斜め横から、弧を描くように近づいてくる。まるでミサイルのようだ。
十中八九、敵、それもドラゴンからの攻撃だ。
「メタルギアジャイアント召喚!」
俺は、間一髪のところでメタルギアジャイアント二人目を召喚した。
それも、今回は皆をかばえる程大きい、今召喚できる限り一番大きなサイズでだ。
「ターゲット一枚をチャンスカードに変え、巨大メタルギアジャイアントをパワーアップ!」
更に強化まで行う。直後、氷塊ミサイルが全弾巨大メタルギアジャイアントに命中した。
割れる氷塊と、メタルギアジャイアントの体。
数秒後、辺りは吹雪の吹く音のみに戻ったけど、目の前ではボロボロになった巨大メタルジャイアントが、やっとの思いで立っている。
パワーアップさせてても、こんなにやられるのか!
「皆、巨大メタルギアジャイアントの回復を急いで!」
回復させられる仲間は即行動。更にカナタや他ジャイアント、ドラゴン達は、巨大メタルギアジャイアントの後ろから出て戦闘態勢に入る。ネツウルフだけ俺を背に乗せに来る。
そして、それは現れた。
白と緑色の、二色の美しい体。
頭には四本の大角。内二本がまっすぐで、もう二本はねじれて天へと伸びている。
巨大メタルギアジャイアントよりは小さいが、それでも十分に大きな巨体。
翼はないが、四本足で雪を踏みしめるそれは。
「コースノール」
ジャナカが、正体を知っていた。
「コールルオー!」
「皆、かかれ!」
「ガオオオーン!」
「ワオーン!」
「キューキュー!」
「イエスマスター!」
逃げ場がないのなら、倒すしかない。
相手はドラゴン。俺の仲間以外で、初めて出会う幻想世界の住人。
この出会いは不幸だが、まだやられたと決まったわけではない。
なんとしてでも、生きて帰る!
私はジャナカ。ただ死を待つだけだったはずの女。
それがどういうわけか、まだ五体満足のまま息をしている。
自分を襲った相手を頑なに傷付けようとしない男、サバクの気の迷いを、幸いと思うか不幸と思うか。
どちらにしろ私はそのおかげで、この山の支配者の一角、コースノールと会うことができた。
いつもは近寄らないような遠くに来ているからだろう。私もこの高度でドラゴンと会うとは思わなかった。
だが私達は、おそらくコースノールの魔法によって逃げ場を封じられてしまった。おそらく氷壁の下の雪中も封じられているだろう。
しかもその後すぐに放たれた攻撃魔法は全てが超凶悪な威力で、それが吹雪のようにおそってきた。
今私の命があるのは、サバクの召喚モンスターが守ってくれたおかげだ。
しかも、今私は自由の身だ。愛刀グイルチャッツィエも手元に戻ってきた。
このまま、生きようとしていいのだろうか?
また、家族と会える夢を見ていいのだろうか?
今わかっていることは、一つ。
考えることは、コースノールを倒した後でもできるということだ。
すぐにサバクのドラゴンとジャイアント達が数体、コースノールへ殺到した。ウルフ四体も、警戒しながら接近していく。
それを見てからコースノールが動く。まず大きい方の赤いドラゴンに目をつけ、接近。
ドラゴン達の動きより、コースノールの方が速い。ドラゴン達が囲いきるより前に、コースノールは大きい赤いドラゴンに肉薄する。
これに対して狙われたドラゴンは、ブレスを吐きながら上へ逃げる。近くにいた金色のドラゴン、灰色のドラゴン、小さい赤いドラゴンはブレスを吐きつつ、逆に接近する。
だがコースノールはその三体のドラゴンには目もくれず、右前足を振り上げて狙ったドラゴンを攻撃。
大きい赤いドラゴンはこれを避けきれず、後ろ前足を一本潰されながら軽く吹き飛ばされた。しかもドラゴンがやられたところは氷に包まれていて、体の半分近くが動かせなくなってしまった。
コースノールの攻撃は、ただ強力なだけではないようだ。氷魔法のおまけつきか。これは要注意だ。
対するドラゴン達の攻撃、そして遅れて近づくゴーレム、ウルフ達の攻撃魔法が、コースノールに命中。しかしコースノールの体には大した傷がついた様子もなく、ドラゴン3体を振り払うと、コースノールは次の獲物に目をつける。
今度はゴーレム達に目がとまったようだ。先程と同様、急速接近し、前足の鋭い爪で切り裂く。あるいは押しつぶす。
これにゴーレム達は、密集して待ち構えた。両手に属性魔法をまとい、相手からの攻撃に耐える。
ゴーレム達はなんとか前足の一撃には耐えた。だがすぐさま押しつぶされながら氷漬けにされ、数秒で氷の中に閉じ込められる。
ゴーレム達のやや後方に陣取っていたウルフ達も魔法を放つが、大したダメージにはなっていない。この戦力差は、圧倒的か。
だが、それでも私は死にたくない。そして、ここにいる全員が私と同じ目をしている。
ならば、命がけで戦おう。例えここで死ぬ運命だとしても、力を尽くして悔いなく終わりたい。
「ウサット流剣技、ホワイトフェザー」
自然と私もゴーレム達と共に駆け出していた。そして今、コースノールの目は私を見ていない。やるなら絶好の機会だ。
私の遠距離攻撃は、コースノールの瞳を狙っていた。だが軽く顔を動かされて、顔の端に当たる。効果は無しといったところか。傷になっている様子はない。
「ふっ!」
一方、カナタという女は刀を構えて跳躍し、振り下ろされた後のコースノールの前足を狙って振り抜いた。
そちらの攻撃は、少しの切り傷を残すという結果に終わる。血は出ていないが、ダメージには一応なっていそうだ。この結果を見る限りでは、私のように弱点を強引に突くよりは、彼女のように全力の一撃をぶち当てた方が効果はあるかもしれない。
三体のドラゴンが左右後方から突撃し、くらいつく。するとコースノールはその場で暴れ、三体を振りほどいてから一度後退した。その際にコースノールの鱗の破片がいくつか落ちる。流石はドラゴン。力の差はあれど、少しでもあれにダメージを与えられるとは。この戦いの要は、ドラゴン達になるか。
ここで大きい赤いドラゴンが、氷を溶かして戻って来た。一直線にコースノールに迫る。足が一本潰れているというのに、大したものだ。他三体のドラゴンも遅れて突撃する。
コースノールがこのドラゴン4体に構っている内に、私も接近再開。カナタとウルフ達は、私より速いスピードで走っていく。
「コールルオー!」
するとここでコースノールが、魔法を使った。自分の周囲に氷塊を生み出して、全部でそろったら追尾弾として発射する。
私はその数を一瞬で把握。合計百一発か。先程も見た魔法だが、はっきり言って対処は不可能だ。速度も威力も桁外れすぎる。
私達はこの氷塊魔法を、死ぬ物狂いで迎撃した。
回避は無駄だ。速度が速すぎるし、追尾もしてくる。ならば一発でも多く、被弾する前に破壊するしかない。
「ウサット流剣技、ホワイトファング!」
上手くタイミングを合わせ、氷塊を両断する。なんとか成功したが、喜ぶのはまだ早い。氷塊の数は百一。まだ次がある。
「ウサット流剣技、ホワイトネイル!」
即座に二つ目、三つ目も破壊。しかしここで私に限界がきた。
四つ目、五つ目の氷塊をくらってしまう。四肢がバラバラになったりはしなかったが、当然のように大ダメージ。いたるところの骨が砕ける。すぐには立てなくなった。
ここまでか。
コースノールを相手にここまでやれたのなら、まあよくやった方だろう。
吹雪が常に視界を遮る。ここで私の人生が終わるのも、まあ悪くはないだろう。
私の命は、一度雪山に還るのだ。そして一度まっさらに浄化され、再び生を受ける。
それが私の運命ならば、受け入れよう。
「まあ、ウサット族もいるのですか」
そんな考えをしていた私に、声をかける者がいた。
水色の髪をした女だ。
こいつもサバクの召喚モンスターなのだろうか?
そう思っていると、いきなり女に水をぶっかけられた。
「感謝しなさいウサット族。一応あなたも貴重な戦力なのでしょう? もっと役に立ってもらいますわ」
驚くことに、みるみる体中の痛みがひいていく。
まさか、女の水で回復しているというのか。
「超治癒水です。もう完治したでしょう。またボロボロになったら治してさしあげますわ」
そう言って女がコースノールへと近づいていく。更に他のドラゴン達も、空を飛んで敵の元へ行く。
あのドラゴン達は、巨大ゴーレムを治していたドラゴン達か。む、一体多い気がするな。あの少し大きな緑色のドラゴンは、里に来た個体に似ている気がする。
いや、今悠長に考えているヒマはない。体は動く。なら立ち上がるべきだ。
その時、巨大な金色の光線が、コースノールに直撃した。
放ったのは巨大ゴーレムだった。ボロボロだった体は、もう傷一つない。あの傷をたった数秒で治したというのか。でたらめだ、こいつらは。
だが、光線はコースノールを貫けない。どうやら一撃必殺ではないようだ。
当然か。相手はこの山に君臨するドラゴン。秒殺できるような相手ではない。
更に後方から、二体のゴーレムが走ってくる。私もすかさず駆け出した。あの水色髪の女や新たなドラゴン達は、たった今猛威をふるった氷塊魔法によってダメージを受けた仲間達を回復させているようだった。私を含めコースノールの近くにいた者達は半死半生の体だったが、あの回復水をかけられれば、たちまち戦力として復活するだろう。
これは、チャンスだ。コースノールを倒すチャンス。
劣勢だが、ここまで戦えている。このまま敵の攻撃をしのぎ続ければ、こちらも助かるチャンスがあるはずだ。
金色の光線が終わる。そこには湯気を立ち昇らせるものの、傷一つないコースノールの姿があった。
そしてコースノールはお返しとばかりに、口から青白い光線を放つ。
光線の先は見ないでおく。あれは間違いなく一撃必殺の威力だろう。それに何より、攻撃先が私ではないことに着目する。ならば今は、一秒でも早く接近するのみ。
敵の光線が終わる頃に、こちらのドラゴンが4体復活する。皆ブレスを吐きながら、コースノールに突撃する。
コースノールはまとわりつくドラゴンを振り払うべく暴れ回る。私はその動きを見切り、速度を緩めることなく肉薄した。
「ウサット流剣技、ホワイトホーン」
全力をこめて、愛刀の切っ先でコースノールの右前足を突き刺す。
その一撃は鱗一枚を砕いたが、それだけだった。出血はせず、大したダメージにはならない。
私はすぐさま離れ、距離をおく。一瞬だけコースノールに睨まれヒヤリとしたが、すぐにドラゴン達へと視線を戻したので、一安心する。
これでも私は、戦闘にはかなりの自信があった。だが、現実はコースノールにダメージを与えることすら困難でいる。それが私の危機感を大きく刺激する。
だが、私はまだ最強の攻撃を放ってはいない。今は、それに賭けるしかない。
幸いコースノールは、まだ私を始末しようとは考えていない。今のうちに、勝機を見出さなければ。
「ウサット流剣技、ホワイトブレス」
あまり深く踏み込まず、けん制程度の技を放つ。やはりコースノールにダメージは与えられない。だがここは様子見だ。そして敵の隙を探るのだ。
「ウサット流剣技、ホワイトハウル。ホワイトシェイド」
技を続ける。だがまだコースノールは私を歯牙にもかけない。これでいい。準備は整った。後は奥の手を叩きこむだけ。
できればコースノールの弱点を狙いたい。ならばここは多少無謀だが、言い伝えに聞くドラゴンの急所を狙ってみよう。
ドラゴンの顔の下には、逆鱗と呼ばれる柔らかい部分があるという。そこを狙う。
コースノールは終始動き回り、猛攻を続けている。その目の前に立つとなれば、死の危険は避けられないだろう。
だがそこにしか勝機が見えないのも事実。生き残りたいのなら、死への恐怖を乗り越えろ。その先にしか、私の力で通じる道は無い。
私はコースノールにではなく、サバクのドラゴンに目を向ける。大きい赤いドラゴン、あいつがいい。あいつの近くに移動する。
そしてチャンスはすぐに訪れた。
「コールルオー!」
「ガオーア!」
二体のドラゴンが真っ向から殴り合う。大きい赤いドラゴンは二撃で撃沈、距離をおく。しかしそのわずかに意識がこちらへと向かない中、私は疾駆した。
「ウサット流剣技、ホワイトブラッド」
回避防御を一切考えない、ただ斬りかかり、切り捨てるだけの大技。これが私の奥の手だ。
タイミング、狙いは正確だった。私の一撃は、コースノールの喉上に届く。
すると、今までと違って容易く鱗を貫き、肉を切り裂くことができた。
しかしこの一撃は、浅い。ほんの少量の血しぶきが私の顔にかかるのみ。
その瞬間、私の胸は早鐘を打った。
突然私の体がパワーアップする。
具体的に言うと、攻撃力、防御力が上がり、自然治癒力、魔力回復力も強化される。
その力を、私は自然と理解することができた。
ドラゴンの血。
ドラゴンを倒した勇者のみが手に入れられる、ドラゴンの加護。これを手にした者は、常人とはかけ離れた力を手にし、更に長寿の恩恵を受けるともいわれている。
その力が、わずかばかりながらも私の中に宿ったのだ。
そして私の全細胞が、私に命令した。
もっと血を手に入れよ。
もっと血を手に入れよ。
今こそこの力をわがものとせよ。この体にドラゴンの血を満たせ!
「コールルオー!」
「!」
意識を現実に戻す。すかさず距離をとり、わずかでも安全な場所へと向かう。
だが、私のその判断は誤りだった。
コースノールは、私を凝視していた。たった今負ったダメージにより、私を一番危険な敵だと判断したのだろう。
コースノールが私に前足踏みつけをおみまいした。
とっさに後ろへ跳ぶ。ギリギリ回避するが、前足が地面を踏みしめた際に発生した氷が、私を捕まえた。
氷に包まれる両足。これで私は、回避できなくなる。
すぐさまもう一度上がる前足。それは私の頭上から離れない。
死んだ。と思った。
次の瞬間、サバクの召喚モンスター達が一斉にコースノールの他の足を攻撃して、コースノールの体を倒した。
その隙をついて、カナタが私を捕まえている氷を雑に切り裂き、私を開放する。
「まだ動けますね!」
「ああ。だが今攻撃しなくて良かったのか?」
「何言ってるんですか。仲間の命が最優先です。マスターなら絶対そうおっしゃいます!」
その言葉に、少なからず衝撃を受けた。
「お前がサバクの何を知っている」
「ほぼ全てです。それより、今のあなたの攻撃はかなり有効でした。私もその技、盗ませていただきます」
「待て。ならば話がある。お前が本当に技を盗めるのなら、話を聞け」
そう言いつつ、コースノールから更に距離をとる。コースノールはまた私を睨みつけたが、それよりも近くにいる召喚モンスター達の猛攻に耐え兼ね、視線をそちらへ移す。話をするなら、今が絶好の時だろう。
「話なら手短に」
「私のホワイトフェザー、ホワイトファング、ホワイトネイル、ホワイトホーン、ホワイトブレス、ホワイトハウル、ホワイトシェイドは、剣技であると同時に、印でもある。この7つの技を放ち、印を集めきると、奥の手、ホワイトブラッドの威力は三倍になる。印を結ぶ順番は問わない」
「なるほど。それは貴重な情報です。ですが、私はあなたの剣技を全て見てはいません。ここはジャナカが先行して、私に手本を見せてください」
「わかった。やれるものなら、やってみろ。あと、コースノールの弱点は間違いなく逆鱗だ。攻撃するなら、そこだ」
「あなたが攻撃したところですね。了解しました。では、最後のホワイトブラッドで、同時に狙いましょう」
「コールルオー!」
私達が話を終えたのと同時に、コースノールが新たな魔法を使った。
コースノールの周囲にいた者達が、自然と氷漬けになり始めたのだ。
これでサバクの勢力のほとんどが、行動不能になる。だがそれでもまだ、こちらには勝機があった。
ここで再び後ろから、金色の光線が放たれたのだ。
「コールルオー!」
二回目の光線は、コースノールを苦しませた。光線の先で、わずかに苦しんでいるのが見える。
更に、こちらへと走る巨体が一つあった。
巨大な青いゴーレムが新たに現れ、コースノールに一直線に向かっていくのだ。
サバクめ。更に召喚できるのなら、早くやればいいものを。だがこれはチャンスだ。あの巨人に隠れるように接近し、コースノールにもう一度ホワイトブラッドを決めたい。
「では、いきますよジャナカ。ご武運を!」
「そちらもな!」
光線が終わり、すかさず巨大な青いゴーレムが殴りかかる。私も休憩は終わりだ。氷漬けになった足も、今なら魔法で復活させられそうだ。
体にくっつく氷を砕きながら走る。コースノールを休ませる手はない。こちらの戦力がまだ活きている内に、やつの喉元にくらいつけ!
「ホワイトフェザー!」
「ホワイトフェザー!」
「ホワイトブレス!」
「ホワイトブレス!」
「ホワイトファング!」
「ホワイトファング!」
私に続くカナタの剣技は、見事なものだった。
彼女なら、私と並ぶ、いや、私を超える剣士になるかもしれない。その実力が今は頼もしい。
そう、頼もしい。カナタも、そして他の召喚モンスター達も、今では命を預け合える大切な仲間だ。そこに敵意は挟めない。
それはなんとも気持ち良い、奇妙な感覚だった。
巨大な青いゴーレムとコースノールが殴り合っている隙間を縫って、私とカナタが流麗な動きで技を出し合っていく。
ホワイトネイル、ホワイトホーン、ホワイトハウル、ホワイトシェイド。7つ全ての技を決めきる。
するとその頃には既に、氷漬けにされていた召喚モンスター達が復活し、再びコースノールを攻撃していた。
だがこちらもただでは済まない。今巨大な青いゴーレムがやられ、光になって消えていく。他の者達も、無傷ではない。皆ギリギリのところで耐えている。
「コールルオー!」
コースノールはここで、氷塊魔法を使ってきた。
だがその瞬間、コースノールの注意が散漫になった。この隙を逃してはならない。ここで、決める!
「ホワイトブラッド!」
「ホワイトブラッド!」
私とカナタの声が重なった。
次の瞬間、私とカナタの刃がコースノールの逆鱗を切り裂き、大きな血しぶきが舞う。
その際にドラゴンの血を体中に浴びて、私の体が歓喜した。
そんな、至福のひと時を味わう中。
突然、コースノールの顔が目の前にきて、その口の中をよく見ることができた。
「ジャナカ!」
直後、私はカナタによって蹴り飛ばされる。
高速でコースノールから離れる私が見たのは、一口で食われるカナタの最後だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる