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 ステータス

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 短いです。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 少し休憩して息を整えた訊は改めて確認した。

  『あまり認めたくないが、夢でもない、ドッキリでもないとなったらもう異世界転移しかないな』

 もう認めるしかないか。と考えながら、近くにあるウサギの死体を見る。

 おじいちゃんの家で動物の死体は見たり、血抜きをみたりしていたので、多少は見慣れてはいるが、動物を殺したという嫌悪感が少しある。また、友人から異世界転生・転移物の小説をオススメされ読んでいたこともあり、これから先、動物を殺すことは多々あるんだろうと考えた。
 ここで俺は、気分を変えようとあることを考えた。

  『ここが異世界で、こんな魔物のような動物が出てくるなら魔法とか使えんのか?』

 訊は魔法使いが好きでRPGの主人公は全て魔法使いの職業を選択して使っていたほどだ。

  『そういや小説にはステータスとかも出てきたな』

 しかしあれは小説であって現実ではないと思うが、なにぶん何の説明もなしにこの草原にいるのだ。そして、もし小説のような異世界、または、ゲームのような世界だった場合、なにかしら出るだろう、と考えた。
 まずは小説でも定番な台詞だ。

  『ステータス!』

 ……何も起きねぇ!しかも、これじみに恥ずかしいし、なんで声に出したんだろう。けど、そうも言っていられないので色々試してみた。

  (ステータス!)

 と心の中でも唱えたがこれもダメだった。しばらく苦悩しているとふと、RPGのゲーム画面が訊の頭によぎる。これで何かしら出なかったら諦めようと考え、念じてみる。

  (メニュー!!)

 ピコッ!っという音と同時に目の前に半透明なボードが出てきた。

  『おっ!やっと出てきたな。えぇーと』

  松井 訊 17歳
 攻撃力  E
 防御力  E
 敏捷性  E
 頭脳力  E
 器用さ  X

 ◆スキル
 操作

  『んー、ゲームに似てるけどレベルやHP、MPは無いんだな』

 それにしても、弱いな。この世界の基準がわからないけど多分弱い。
 だが、ステータスで一番気になる点がひとつある。いや、前から分かってはいたが実際見てみるとどれだけ凄いか分かる。

  『俺、器用すぎじゃね?』
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