☆【 さんきゅう 】

霜月 雄之助

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☆【 源気 】ゲンキ

【 元タクシ―・ドライバーの実話 】

私がタクシー・ドライバーをしていた時の事。もう10年以上前…。
お客様は神様だ!という態度の人が怖かった。
運が悪いのか、そういう人とばかり、かち合った。
例え、相手に非が合っても
負かされてしまう。

例:親子で受験日に乗車してきたお客様。すでに遅刻していたのを運転が遅いから遅刻する!責任を取れっ!と怒鳴る母親。よくも人生を棒にふってくれたわねっ!
エコーカードを楯に学校に着くまで、怒鳴られた―。
息子がやっと助け船を出してくれた。「お母さんが出るの遅れたんだろう?」
母親「お黙りっ!」
船は速攻、沈没してしまった…。

反論するのも一つの手段かもしれないが、面倒になるのは頂けない。新人ドライバーの俺には時間も大事だった。しかし、
負のパワーの持ち主が多すぎて
折れるのに俺の心が折れてしまった…。
もうドライバーを辞めよう。
そう決意した。

最後のドライバー生活だけは
気分よく過ごしたい。
そう思い、あることを決意し、
最後のタクシー業務に挑んだ。

それは最後の1ヶ月間。お客様に今までで一番、嬉しかった事を聞く事だった―。初めは緊張して中々、切り出せなかったが
自分の背中を押し、「次に乗せたお客様に絶対、聞く事!」と、自分に枷をつけた。
忘れもしない新宿で拾った着物姿の上品な女性だった。
行き先を聞き、時間がかかる事を
予測し、話しを切り出した。
お客様、今まで一番嬉しかった事を教えて頂けないでしょうか?

突飛な事を聞く私に驚いた様子で
着物姿の女性は
「会社で聞けと言われたの?」と
逆に質問されてしまった。

時間はあったので、今月でドライバー職を辞める事を説明し、
最後の1ヶ月は双方、気分よく過ごしたいと思い、嬉しい事や楽しかった事なら良い事だと思い、聞いてみようと思いました。

着物姿の女性は
私の気持ち、想いを良く理解してくれたようで話しをしてくれた。

「とても楽しくて、良い事だと思うわ」と言い、自分の一番 嬉しかった話しを話してくれた。

それはとても話しきれる内容のモノではなかった…。

「一番、嬉しかった事は、子供を産んだこと。授かったこと」

なるほど。それは一番だなぁ!
俺は産めないし…。

続けて言ったことが
意味深で怖い言葉だった…。

「子供が無事に産まれた事が、一番、嬉しかったこと。例え、愛していない人と作った子供でも…ね!」


ええ~~~!?

お客様の目的地に着いてしまった。

「ありがとう!とても楽しかった!あっという間に着いちゃったわ。あはは。でも、良い運転手さんなのに残念ね…ありがとう!」

良い話しを聞けた。
大切な宝物を分けてもらったような温かい気持ちになっていた。
これでお客様に良い気分のまま、目的地まで送ることが出来る!と
確信した―。


ただ最後の言葉は
あまりに意味深で怖さというか
影的なモノを感じたw
また女性独特の強さみたいなモノを感じた…。

つづく~
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