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なし
嘘つき
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「ごめん。たしかに食欲ない。」
「でも、骨折でしょ??食欲に関係してくるものじゃないよね?普通に体調悪いとか?」
少し悩んだかと思ったら、零は
「体調は悪くない。」
と言った。本人も原因は分からないらしい。
「ただ、口に入れると吐き気がするんだ。最近ずっと。」
そう言い、零は喉元をさする。白い顔が、青白くなっていて不健康に思えた。
少し、怖くなった。
嫌な予感がした。
ここが病院だからということもあるのか、もしかして変な病気にかかっているのではないかと思った。
零に、1度検診を受けるようにと伝え、扉から出る。心配で離れたくない気持ちはあったが、そろそろ塾の時間なのだ。だから、明日も来るといって病院を後にした。
☂︎*̣̩⋆̩*
翌日、零のいた号室に、零はいなかった。
退院したとか?それは無い。まだ、足の骨は完全に治ってないし、リハビリだって行っていない。
じゃあ何故ここに零がいない……?
急いでナースのいるカウンターの方へ向かう。
「雨宮零くんね。あの子なら、部屋移動したのよ、昨日。検査で問題があってね。305号室よ。」
「ありがとうございます。」
怖くて聞けなかった。検査でどんな問題があったのか。零は病気になってしまったのか。零に逢いに行くことすらも、私にとっては辛いことだった。
大したことがなければいい。そう心に祈り続けた。
「零……?」
零の部屋は、個室になっていた。ベッドが2台分置けるくらいの個室。大きな窓から差し込む光が、室内を照らしていた。
私は扉の前で立ち尽くしていた。これ以上零に近づくのが怖かったのだ。
「別に大したことない。多重人格症候群なんだってさ。」
そんな私を安心させようとしたのか、彼は明るく言った。
ただ私は、その病気がなんなのかさっぱり分からなかった。
「バカみてーな顔してこっち見んなよ笑。簡単に言えば精神病だ。」
精神病というのは、アダルトチルドレンとかそうゆう類のものか?だが、それと同じようなものなら部屋を変える意味は無いと思うが。なぜなら、精神病で入院するのはなかなかないからだ。うつ病や、認知症なら分かるが……。
「じゃあなんで部屋変えたの?」
「ちょっと特殊なだってよ。」
自分が病気になっていると言うのに、どうでも良さそうにベッドでだるそうにしている。
ふと机に目がいく。机の上には書類が数枚乗っていた。
私は許可なく勝手にとって読み始めた。
『診断書
病名ー特別性多重人格症候群
四月二十二日に行った検診の結果、
特別性多重人格症候群と診断。
非常に珍しい症状の為、治療法が
見つかっておらず。心身と向き合い、
自我を取り戻すことが重要とされる。
なお、この病気の患者の事例として、
治らず、自我を乗っ取られ、脳死した
例が挙げられる。
余命は、彼の自分自身との向き合い次
第で変化していくと考えられる。
完全に完治する事例もあるが、少人数
に過ぎない。
よって雨宮零氏を……』
「何、これ……。」
「おいっ!勝手に見るなよ!」
零がやっと私の見ている書類に気づいたのか、慌ててその紙を取ろうとしてきた。だが、私の体は静止したように動かず、零はすんなりと奪い取った。
零が……死ぬ。
これだけが、頭の中をループしていた。
「でも、骨折でしょ??食欲に関係してくるものじゃないよね?普通に体調悪いとか?」
少し悩んだかと思ったら、零は
「体調は悪くない。」
と言った。本人も原因は分からないらしい。
「ただ、口に入れると吐き気がするんだ。最近ずっと。」
そう言い、零は喉元をさする。白い顔が、青白くなっていて不健康に思えた。
少し、怖くなった。
嫌な予感がした。
ここが病院だからということもあるのか、もしかして変な病気にかかっているのではないかと思った。
零に、1度検診を受けるようにと伝え、扉から出る。心配で離れたくない気持ちはあったが、そろそろ塾の時間なのだ。だから、明日も来るといって病院を後にした。
☂︎*̣̩⋆̩*
翌日、零のいた号室に、零はいなかった。
退院したとか?それは無い。まだ、足の骨は完全に治ってないし、リハビリだって行っていない。
じゃあ何故ここに零がいない……?
急いでナースのいるカウンターの方へ向かう。
「雨宮零くんね。あの子なら、部屋移動したのよ、昨日。検査で問題があってね。305号室よ。」
「ありがとうございます。」
怖くて聞けなかった。検査でどんな問題があったのか。零は病気になってしまったのか。零に逢いに行くことすらも、私にとっては辛いことだった。
大したことがなければいい。そう心に祈り続けた。
「零……?」
零の部屋は、個室になっていた。ベッドが2台分置けるくらいの個室。大きな窓から差し込む光が、室内を照らしていた。
私は扉の前で立ち尽くしていた。これ以上零に近づくのが怖かったのだ。
「別に大したことない。多重人格症候群なんだってさ。」
そんな私を安心させようとしたのか、彼は明るく言った。
ただ私は、その病気がなんなのかさっぱり分からなかった。
「バカみてーな顔してこっち見んなよ笑。簡単に言えば精神病だ。」
精神病というのは、アダルトチルドレンとかそうゆう類のものか?だが、それと同じようなものなら部屋を変える意味は無いと思うが。なぜなら、精神病で入院するのはなかなかないからだ。うつ病や、認知症なら分かるが……。
「じゃあなんで部屋変えたの?」
「ちょっと特殊なだってよ。」
自分が病気になっていると言うのに、どうでも良さそうにベッドでだるそうにしている。
ふと机に目がいく。机の上には書類が数枚乗っていた。
私は許可なく勝手にとって読み始めた。
『診断書
病名ー特別性多重人格症候群
四月二十二日に行った検診の結果、
特別性多重人格症候群と診断。
非常に珍しい症状の為、治療法が
見つかっておらず。心身と向き合い、
自我を取り戻すことが重要とされる。
なお、この病気の患者の事例として、
治らず、自我を乗っ取られ、脳死した
例が挙げられる。
余命は、彼の自分自身との向き合い次
第で変化していくと考えられる。
完全に完治する事例もあるが、少人数
に過ぎない。
よって雨宮零氏を……』
「何、これ……。」
「おいっ!勝手に見るなよ!」
零がやっと私の見ている書類に気づいたのか、慌ててその紙を取ろうとしてきた。だが、私の体は静止したように動かず、零はすんなりと奪い取った。
零が……死ぬ。
これだけが、頭の中をループしていた。
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