友達の辞め方、募集します。

浅川未羽

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〈1〉私たちは、出会います。

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私は今、大学2年生である。
女子大生、というやつだ。軽音サークルにも所属し、日々を満喫している。

いや、

満喫していた。



私にはとても親しい友人がいる。

出会いは、大学に入学して2ヶ月ほど経ったときのことだった。
授業終わり、学校の購買でお茶を手に取り、レジへ向かおうとすると

「あっ!同じ学部の人ですよね!」

と、後ろから声をかけられた。

振り返ると、黒縁眼鏡をかけた男性が、こちらに笑顔を向けながら立っていた。
端正な顔立ちをしているが、寝癖がついたままのようで、髪の毛はボサボサである。せっかく綺麗な顔をしているのに、もったいない。

いや、そんなことを考えている場合ではない。私はこの男性のことを全く知らないのだ。

「えーと、ごめんなさい…サークルの方ですか?」

私が所属する軽音サークルは、幽霊部員を合わせれば150人を超える。認識できていない人がいてもおかしくはないのだ。

「いや、違いますよ。さっき、同じ授業受けてたから、もしかして学部も学年も同じかなぁと思って話しかけたんです。…あっ。でも、アナタの演奏を聞いたことはありますよ」

「演奏ですか…?だったら、人違いじゃないですかね。私、まだライブ出たことないですから」

「ライブじゃなくて、練習室です。弾いてたでしょ、キーボード」

「練習室…確かに弾いてましたけど…」

「僕、音楽好きなんです。高校までは吹奏楽やってたんですよ」

「はぁ…そうですか」

「それに、アナタが練習していた曲、僕も大好きなんです!」

「えっ…そうなんですか?」

私が好きな曲は、すごくマイナーなものが多く、深く語り合える人にはなかなか出会えない。
さらに同世代ということもあって、急に、彼に親近感と興味が湧いた。

購買を出たあと、私たちは、学校から徒歩2分ほどのオシャレなカフェに入った。

色々話していくうちに、無類の猫好きであること、映画鑑賞が趣味であること、コーヒーはブラックしか飲めないことなど、くだらないながらもたくさんの共通点を見つけた。

そして気付けば
毎日一緒にいるようになっていた。
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