残飯あさりの期待外れ勇者として追放されたけど、何でも食べて取り込む《悪食の聖印》は最強への近道でした

フーツラ

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魔法の才4

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अग्नि बाणファイアーバレッド!」

マノンが巣穴に魔法を放つと、炎に追い立てられたホーンラビットが外に飛び出してきた。俺は冷静にショートソードの腹で叩いて気絶させ、ナイフで止めを刺して剥ぎ取りを始めた。

「ジョスイ!魔法、超楽しい!」

「ですじゃ!ですじゃ!魔法は楽しいものなんですじゃ!」

マノンはジョスイから詠唱を習っただけですぐに魔法を使えるようになってしまった。素人の癖にジョスイと発動速度も変わらない。ジョスイは、これぞ捜し求めていた才能だと大興奮している。

「このままマノン殿が魔法に慣れれば、長年の研究の末に辿り着いた新魔法が発動するところも儂が死ぬ前に見られる筈ですじゃ!」

ジョスイがマノンを拝み出す程の勢いで褒め称える。

「もー、ジョスイやめてよー!調子にのっちゃうじゃん!」

もうのってるだろ。


***


ホーンラビットを10羽狩ったところで昼休憩を挟み、さてどうしようかと思案している時だった。

「ところでハクロウ殿。ハクロウ殿の聖印にはどんな能力があるのですじゃ?」

もう同じパーティーなのだ。隠すこともなかろう。

「俺の聖印か?先ず聖印を授かった者の基本として、魔物と戦った後の成長が早いらしい」

「まあ、基本ですな」

「あと、最近気付いたんだけど、めちゃくちゃ顎と歯が丈夫になってる」

「え!そうなの?石食べられる?」

「それが、食べられるんだ。ほれ」

俺は手ごろな石を拾って口に入れ、噛み砕いてみせた。

「なにそれ!びっくり超人じゃん!」

「いや、一応勇者なんだが…」

「石を食べたときは魔石を食べた時と同じように強くなったりはしないの?」

「流石に石では何も身体に変化はないな」

「ちょ、ちょ、魔石を食べると強くなるってどういうことですじゃ?」

「そのまんまだけど。こんな感じ」

俺はホーンラビットの魔石を取り出し、嚙み砕いて咀嚼した。《悪食の聖印》によって魔石から抽出された魔力が俺の身体を駆け巡り、力の膜のようなものが全身を覆った。

「これは一体なんですじゃ!」

反応が面白いのでサービスだ。俺はショートソードにも力を通して発光させ、手頃な岩に向かって剣身を振るった。岩はスパッと2つに割れて、ゴロンと地面に転がった。

「…魔石の魔力がそのまま力として使われているのですかな?しかし、効率が良すぎますぞ!ホーンラビットの魔石でこの結果は反則ですじゃ!」

「でも魔石って美味しくないんだ」

「そういう問題ではないですじゃ!これは魔石以外のものも積極的に食べてみる必要があるのですじゃ!」

「どういうものを食べるんだ?」

「そうですなー。とりあえず薬の素材なんかは一通り試してみるのですじゃ!先ずはホーンラビットの角からですじゃ!」

「角生えたら面白いわね!ハクロウ、期待してるからね!」

「いや、食べないから!」

「期待してるから、角ロウ!」

「生えないから!」

生えないよな?
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