残飯あさりの期待外れ勇者として追放されたけど、何でも食べて取り込む《悪食の聖印》は最強への近道でした

フーツラ

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魔法の才5

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「よかった…」

こんなに緊張したのは聖印祝福の儀以来だったかもしれない。あれ、割と最近だな。

マノンとジョスイに乗せられてホーンラビットの角を食べたのだが、角が生える気配はない。そもそも、角が生えるならその前に石が生えている筈なので、大丈夫なのは当たり前なのだ。

「うわ…」

「がっかりですじゃ…」

「なんだよ!その反応は!角が生えるわけないだろ!常識で考えろ!」

「石食べる人に常識とか言われても、ねえ?」

「ですじゃ!ですじゃ!」

「うるさい!もう今日は帰るぞ!明日からは少し強い魔物を狙っていくぞ!早朝、ギルドに集合だ」


***


早朝のギルドは異様な熱気に包まれていた。冒険者達は依頼掲示板の周りに集り、職員が新しい依頼を張り出すのを今か今かと待ち構えている。せっかく早起きして来たのだ。少しでもいい依頼を見付けたい。2人の職員が依頼掲示板のところにやってきて、冒険者達を下がらせた。

「ハクロウ、任せたわよ!金貨もらえるような依頼を見付けてきなさい!」

「Fランク冒険者が受けられる依頼に金貨を稼げるようなものはないだろ」

「やる前から諦めるない!」

「いや、そういう問題じゃないから」

「いいから行ってきなさい!ほら!」

俺はマノンに背中を押されて冒険者達で出来た生垣に混ざった。2人の職員がいなくなった瞬間、その生垣がワッと掲示板の前まで動いた。皆が押し合い圧し合いしながら手を伸ばして、お目当ての依頼票を奪い合う。俺も内容はチラ見程度で、とにかく受けられるギリギリのEランクの依頼票を手に取って泳ぐように人波から離れた。

「どう?いいの取れた?」

俺よりも頭半分ほど背の高いマノンが後ろから覗き込んできた。

「うーん、まあ、そこそこかな。報酬は大銀貨3枚だ」

「内容は?」

まだ字の読めないマノンが促してくる。

「西の森に猟師が使う狩猟小屋があるそうだ。その近くにラージスライムが住み着いたからなんとかしてほしいってよ」

「ラージスライム?大きいの?」

「大きいのか?ジョスイ」

「まぁ、大きいですな。横に4歩ぐらいはありますかの」

「食べ応えありそうね!」

「お前なぁ」

「スライムの体液は薬の材料になるので需要ありますじゃ。生きている状態で採取する必要がありますがの。ガラス瓶が要りますじゃ」

「おどり食いね!」

「食べないよ!」

「どちらかというと、飲む感じですじゃ」

「そこじゃない!」
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