残飯あさりの期待外れ勇者として追放されたけど、何でも食べて取り込む《悪食の聖印》は最強への近道でした

フーツラ

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魔法の才6

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「ハクロウ!猟師の小屋ってどこよ!」

「…多分この先だ」

「この先はさっき行きましたぞ」

「ならジョスイはどっちだと思うんだ?」

「うっ…」

ちっ。西の森に来た俺達は案の定、迷っていた。俺とマノンが方向音痴なのは今更だが、ジョスイもなかなかだ。

「ジョスイ、道案内の魔法はないの?」

「残念ながらないですじゃ…」

「よし。一度目印の大樹に戻ろう。そこからまたやり直しだ」

細いロープを括り付けた大樹は冒険者ギルドで教えられた狩猟小屋への目印だ。そこから北西に向かうと泉があり、そこから少し北に行くと狩猟小屋があると聞いたのだが、そもそも泉が見つからない。そんな中、歩き回っているうちに迷ってしまったのだ。

マノンがロープを手繰り寄せながら歩き始める。ジョスイがマノンに続き、俺は周囲を警戒しながら殿を務める。


✳︎✳︎✳︎


どれだけ歩いたろうか。マノンが急に立ち止まり、ジョスイがつんのめって地面に手をついた。

「急に止まると危ないですじゃ!」

「……ロープ切れてる」

「え?」

「ロープが切れてる!」

確かにマノンの手にはロープの先がある。随分ささくれ立っているので魔物に切られたのかもしれない。

「こうなったらコンパスを頼りに一度森から出よう。ジョスイ、コンパスを出してくれ」

「了解ですじゃ」

ジョスイがローブのポケットからコンパスを取り出して固まった。

「どうしたの?ジョスイ」

「……これはあかんやつや」

「ジョスイ!口調が変だぞ!何があった!」

ジョスイは真っ青だ。そして差し出した手にはガラスが割れて針の曲がったコンパスが握られていた。

「し、失礼。さっき転んだ時にやってしもうたのかも…」

「やっちゃったもんは仕方ないわ!ハクロウ、なんとかなさい!」

「なんとかって…うーん、そうだ!」

俺は腰の小袋から一番小さい魔石を出し、口に入れて飲み込んだ。少し間があって、身体に爆発的な力が漲るのが感じられた。

「ちょっと上に行って見てくるわ」

俺は手ごろな樹の枝に向かって飛び上がり、またそれを蹴って上へ上へ。最後に大きく跳躍して森を突き抜け、空へと舞い上がった。眼下には今までいた森が広がっている。とんでもない高さだが、気持ちが昂ぶっているせいで全然怖くない。

何度か飛び上がって周囲の様子を窺うと、樹が生えてない場所がみつかった。もしかしたら狩猟小屋が建っているかもしれない。念入りに方向を確認して俺達はまた森を進み始めた。
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