45 / 53
45話 世間を巻き込む
しおりを挟む
何回玄関チャイムを鳴らしても、コーポ勝田101号室から反応はなかった。
「久保の野郎、家には帰ってないようです! ここは鶯谷駅から徒歩五分程度のアパートです! 誰か、ここで見張っててくれないかな~」
『思いっ切りアパート名映ってるし!!』
『ほーん。コーポ◯◯ね~』
『ちょっと鶯谷に散歩に行こうかな~』
『俺も散歩してくるか~』
『お前ら、エグいなwww』
『死ぬ死ぬマンチャンネルに喧嘩売ったから、仕方ない』
『グミとマリナの仇は取らないと』
『殴ったの死ぬ死ぬマンだけどな!!』
ボス部屋で事件が起きてからまだ二十四時間経っていないこともあって、視聴者からの注目度は高い。
チャンネル登録者の数もそれほど減っていない。
久保のバックにいる奴は、死ぬ死ぬマンのファン層を見誤っていたのだ。
普通の配信者がパーティーメンバーの女の子を殴って怪我させれば、視聴者から見放されるだろう。
しかし、ウチは違う。
勿論、非難はされる。だが、それ以上に期待されるのだ。
何をやらかすのかと、心を躍らせてチャンネルに張り付きになるのが死ぬ死ぬマンチャンネルの視聴者だ。
「実はですね~今、ある視聴者から気になる情報がDMで寄せられたんですよね~。皆さん、死ぬ負けハンターズって覚えてます? あそこのリーダーが配信中にぽろっと言ったそうなんです。"もうすぐ、いい事が起きる"って。ちょうど、俺達がギガースに挑む少し前のタイミングだそうです!」
『えっ、またDライブ?』
『あいつら、まだ根に持ってたの?』
『いや、それだけでは流石に証拠にならないでしょ」
『Dライブのビルって青山だっけ?』
『えっ、殴り込み?』
『よし! 行け! 死ぬ死ぬマン!』
「とりあえず! "お話"をしにDライブさんのところへ行ってきますね!」
俺はコーポ勝田の前から駆け出した。
#
青山霊園から少し歩くと、小洒落たビルが見えてきた。
十階建てぐらいだろうか?
ガラス張りのそれは如何にも今風で、オープンな雰囲気がある。
入り口の前まで行くと、二人の警備員が慌てた様子でやって来た。
「こんにちは! 死ぬ死ぬマンです! 中に入ってもいいですか? いいですよね?」
「関係者以外の立ち入りはお断りしています」
警備員は仁王立ちになって毅然と答える。
「関係者だし!」
「なら、ADカードを見せてください」
こいつら、真面目だな。
「はい! どうぞ!」
リュックの中からカードを取り出して見せる。
「……鶯谷ラブホテル組合となってますが……」
「ここ、ラブホテルじゃないんですか!?」
「違います。Dスクエアです」
格好つけやがって。
「えっ! あのDライブさんのビルですか! ちょうど良かった! Dライブ所属の死ぬ負けハンターズさんに用があるんですけど、ちょっと呼んでくれませんか?」
「アポイントメントがないと無理です」
はぁ。そろそろ面倒くさくなってきた。警備員から視線を外し、ドローンカメラの方を向く。
「おい! 死ぬ負けハンターズ。見てるんだろ? さっさと出て来た方がいいぞ! 今の死ぬ死ぬマンチャンネルの同時接続数、三十万超えてっから! 攻撃力三十万でビルを殴ったら、どうなるだろうなぁ~」
リュックから角野さんとフライパンを取り出し、左右の手で握り締める。
周囲が俄かに慌ただしくなり、エレベーターホールから人が吐き出され始めた。
皆、一目散にビルの外へと逃げ出す。
どうやら、本気だと思われているようだ。
「死ぬ死ぬマン! なんのつもりだ!!」
見覚えのあるイケメンが三人現れた。怒りと焦りで顔が歪んでいるが、ハンターズで間違いない。
「なぁ、神野。お前、久保になんかした?」
「久保? 知らないな。サッカー選手のことか?」
神野はシラを切る。
「俺の友達の久保だけど。奴、何故か俺を裏切ったんだよね~」
「それは貴様の日頃の行いが悪いからだろ!」
「神野。お前、俺のこと舐めてるよな。ダンジョンの外では無茶しないって思ってるだろ?」
「……配信者が好き勝手出来るのはダンジョンの中だけだ。外でやらかせば、刑務所行きだぞ……!?」
「白状するなら今のうちだけど……!?」
「俺達は無関係だ。お前が狂ってパーティーメンバーを殴っただけだろ!!」
グミとマリナが倒れていた場面がフラッシュバックする。
俺が悪かったのは間違いない。前回、ハンターズを徹底的に潰していたら、あんなことは起きなかった筈だ。
俺が甘かった。
「分かったらさっさと帰れ! お前には薄汚れたラブホがお似合いだ!!」
カチリ。と何かスイッチが入ったような感覚。
頭の奥が痺れているのが分かる。
左手に力を込めると、角野さん発光した。
「おい! 何をするつもりだ……! ここはダンジョンじゃないんだぞ……!!」
俺はビルの柱に近づき、フライパンを構え──。
「ステータス・スワップ!!」
【 名 前 】 八幡タケシ
【 年 齢 】 18
【 レベル 】 12
【 魔 力 】 34
【 攻撃力 】 453247
【 防御力 】 34
【 俊敏性 】 40
【 魅 力 】 6
【 スキル 】 配信命、モフモフ化、女人禁制
※【 H P 】 34
神野達がパニック状態になり、逃げ出す。
「こーいう小綺麗なビル、嫌い!! なんですよね!!」
俺は攻撃力四十五万のフライパンでビルの柱を撃ち抜いた。
「久保の野郎、家には帰ってないようです! ここは鶯谷駅から徒歩五分程度のアパートです! 誰か、ここで見張っててくれないかな~」
『思いっ切りアパート名映ってるし!!』
『ほーん。コーポ◯◯ね~』
『ちょっと鶯谷に散歩に行こうかな~』
『俺も散歩してくるか~』
『お前ら、エグいなwww』
『死ぬ死ぬマンチャンネルに喧嘩売ったから、仕方ない』
『グミとマリナの仇は取らないと』
『殴ったの死ぬ死ぬマンだけどな!!』
ボス部屋で事件が起きてからまだ二十四時間経っていないこともあって、視聴者からの注目度は高い。
チャンネル登録者の数もそれほど減っていない。
久保のバックにいる奴は、死ぬ死ぬマンのファン層を見誤っていたのだ。
普通の配信者がパーティーメンバーの女の子を殴って怪我させれば、視聴者から見放されるだろう。
しかし、ウチは違う。
勿論、非難はされる。だが、それ以上に期待されるのだ。
何をやらかすのかと、心を躍らせてチャンネルに張り付きになるのが死ぬ死ぬマンチャンネルの視聴者だ。
「実はですね~今、ある視聴者から気になる情報がDMで寄せられたんですよね~。皆さん、死ぬ負けハンターズって覚えてます? あそこのリーダーが配信中にぽろっと言ったそうなんです。"もうすぐ、いい事が起きる"って。ちょうど、俺達がギガースに挑む少し前のタイミングだそうです!」
『えっ、またDライブ?』
『あいつら、まだ根に持ってたの?』
『いや、それだけでは流石に証拠にならないでしょ」
『Dライブのビルって青山だっけ?』
『えっ、殴り込み?』
『よし! 行け! 死ぬ死ぬマン!』
「とりあえず! "お話"をしにDライブさんのところへ行ってきますね!」
俺はコーポ勝田の前から駆け出した。
#
青山霊園から少し歩くと、小洒落たビルが見えてきた。
十階建てぐらいだろうか?
ガラス張りのそれは如何にも今風で、オープンな雰囲気がある。
入り口の前まで行くと、二人の警備員が慌てた様子でやって来た。
「こんにちは! 死ぬ死ぬマンです! 中に入ってもいいですか? いいですよね?」
「関係者以外の立ち入りはお断りしています」
警備員は仁王立ちになって毅然と答える。
「関係者だし!」
「なら、ADカードを見せてください」
こいつら、真面目だな。
「はい! どうぞ!」
リュックの中からカードを取り出して見せる。
「……鶯谷ラブホテル組合となってますが……」
「ここ、ラブホテルじゃないんですか!?」
「違います。Dスクエアです」
格好つけやがって。
「えっ! あのDライブさんのビルですか! ちょうど良かった! Dライブ所属の死ぬ負けハンターズさんに用があるんですけど、ちょっと呼んでくれませんか?」
「アポイントメントがないと無理です」
はぁ。そろそろ面倒くさくなってきた。警備員から視線を外し、ドローンカメラの方を向く。
「おい! 死ぬ負けハンターズ。見てるんだろ? さっさと出て来た方がいいぞ! 今の死ぬ死ぬマンチャンネルの同時接続数、三十万超えてっから! 攻撃力三十万でビルを殴ったら、どうなるだろうなぁ~」
リュックから角野さんとフライパンを取り出し、左右の手で握り締める。
周囲が俄かに慌ただしくなり、エレベーターホールから人が吐き出され始めた。
皆、一目散にビルの外へと逃げ出す。
どうやら、本気だと思われているようだ。
「死ぬ死ぬマン! なんのつもりだ!!」
見覚えのあるイケメンが三人現れた。怒りと焦りで顔が歪んでいるが、ハンターズで間違いない。
「なぁ、神野。お前、久保になんかした?」
「久保? 知らないな。サッカー選手のことか?」
神野はシラを切る。
「俺の友達の久保だけど。奴、何故か俺を裏切ったんだよね~」
「それは貴様の日頃の行いが悪いからだろ!」
「神野。お前、俺のこと舐めてるよな。ダンジョンの外では無茶しないって思ってるだろ?」
「……配信者が好き勝手出来るのはダンジョンの中だけだ。外でやらかせば、刑務所行きだぞ……!?」
「白状するなら今のうちだけど……!?」
「俺達は無関係だ。お前が狂ってパーティーメンバーを殴っただけだろ!!」
グミとマリナが倒れていた場面がフラッシュバックする。
俺が悪かったのは間違いない。前回、ハンターズを徹底的に潰していたら、あんなことは起きなかった筈だ。
俺が甘かった。
「分かったらさっさと帰れ! お前には薄汚れたラブホがお似合いだ!!」
カチリ。と何かスイッチが入ったような感覚。
頭の奥が痺れているのが分かる。
左手に力を込めると、角野さん発光した。
「おい! 何をするつもりだ……! ここはダンジョンじゃないんだぞ……!!」
俺はビルの柱に近づき、フライパンを構え──。
「ステータス・スワップ!!」
【 名 前 】 八幡タケシ
【 年 齢 】 18
【 レベル 】 12
【 魔 力 】 34
【 攻撃力 】 453247
【 防御力 】 34
【 俊敏性 】 40
【 魅 力 】 6
【 スキル 】 配信命、モフモフ化、女人禁制
※【 H P 】 34
神野達がパニック状態になり、逃げ出す。
「こーいう小綺麗なビル、嫌い!! なんですよね!!」
俺は攻撃力四十五万のフライパンでビルの柱を撃ち抜いた。
0
あなたにおすすめの小説
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
底辺動画主、配信を切り忘れてスライムを育成していたらバズった
椎名 富比路
ファンタジー
ダンジョンが世界じゅうに存在する世界。ダンジョン配信業が世間でさかんに行われている。
底辺冒険者であり配信者のツヨシは、あるとき弱っていたスライムを持ち帰る。
ワラビと名付けられたスライムは、元気に成長した。
だがツヨシは、うっかり配信を切り忘れて眠りについてしまう。
翌朝目覚めると、めっちゃバズっていた。
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
【魔物島】~コミュ障な俺はモンスターが生息する島で一人淡々とレベルを上げ続ける~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【俺たちが飛ばされた魔物島には恐ろしいモンスターたちが棲みついていた――!?】
・コミュ障主人公のレベリング無双ファンタジー!
十九歳の男子学生、柴木善は大学の入学式の最中突如として起こった大地震により気を失ってしまう。
そして柴木が目覚めた場所は見たことのないモンスターたちが跋扈する絶海の孤島だった。
その島ではレベルシステムが発現しており、倒したモンスターに応じて経験値を獲得できた。
さらに有用なアイテムをドロップすることもあり、それらはスマホによって管理が可能となっていた。
柴木以外の入学式に参加していた学生や教師たちもまたその島に飛ばされていて、恐ろしいモンスターたちを相手にしたサバイバル生活を強いられてしまう。
しかしそんな明日をも知れぬサバイバル生活の中、柴木だけは割と快適な日常を送っていた。
人と関わることが苦手な柴木はほかの学生たちとは距離を取り、一人でただひたすらにモンスターを狩っていたのだが、モンスターが落とすアイテムを上手く使いながら孤島の生活に順応していたのだ。
そしてそんな生活を一人で三ヶ月も続けていた柴木は、ほかの学生たちとは文字通りレベルが桁違いに上がっていて、自分でも気付かないうちに人間の限界を超えていたのだった。
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
アーク戦記〜どこにでもいる貴族の平凡な三男が不老不死になって経験チート!?魔王の娘とイチャイチャしたり女の子と暮らす人生は好きですか!?〜
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
俺の名前はゼスティ!どこにでもいる貴族の普通の三男!剣も弓も槍も、得意な物が何も無い平均的で特徴の無い男だ!そんなある日、俺の仕えるアーク帝国が滅亡するわ、俺は不老不死になるわ。もー大変!?魔王の娘と良い感じになったり、女の子を子育てしてり、勇者の女の子と一緒に旅をしたり、聖女を助けたり!?なんで平凡な俺がこんな旅をしなくちゃ行けないの〜!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる