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公爵令嬢
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調査団の解散から数週間が経ち、西の森の生態系は徐々にだが元のように戻りつつあった。それに伴って冒険者ギルドへの依頼の数も落ち着きをみせ、一時期の喧騒は鎮まっていた。
俺達はというと、相も変わらずギルドで高難易度の討伐依頼をえり好みして受けては魔石を剥ぎ取り、アミラに納品する毎日を過ごしていた。魔石の価格も大分戻ってきていた。
変わったことと言えば俺達に対する周りの評価だ。Cランク冒険者として認識されたのもそうだが、俺とシシーでギガントスパイダーを屠ったという話が出回ったせいで少しおかしなことになっているのだ。
「おい、あれ、シシーちゃんじゃないのか?」
「馬鹿!シシーちゃんさんだろ!尊敬が足りないぞ!」
「そうだったな。本物を見て舞い上がっていたみたいだ。尊いなぁ」
「あぁ。尊いなぁ」
俺達がギルドに入るなり、屈強な男達に視線を向けられ周囲がざわついた。主な要因はシシーだ。歴代最年少Cランク冒険者という看板とその突飛な行動によって熱烈な信者が生まれていたのだ。
「みんなー!シシーちゃんが帰ってきたよー!元気にしてたかなー?」
シシーが信者達に向かって問いかけると、オォーと野太い声が返ってくる。シシーの横では神妙な顔のダツマが頷いている。そういえば、信者第1号はダツマだったのかもしれない。
俺が1人受け付けの列に並んでいる間も、シシーとダツマは信者達と交流会を繰り広げていた。シシーの活躍をダツマが信者に話して聞かすのが恒例となっているのだ。
「その時、シシーさんは屈強なオーガに対して言い放ちました。《なんて幸せな魔物なんでしょう。最後に瞳に映るのがシシーちゃんだなんて。安心して逝きなさい。デスサイズ!》と」
また、オォーと野太い声がギルドに響いた。この反応が益々シシーを調子付かせるのだ。何処かでこの負の連鎖を打ち切らなければならない。モニカから報酬を受け取った俺は、馬鹿どもと騒ぐ2人を引っ捕まえる。
Booー!
クソ!なんで俺が非難されるんだ。ぶん殴りてえ。両手にシシーとダツマを引き摺りながらギルドから出ようとすると、ちょうどギルドの扉が開いた。
「あらあら、これはこれは。とんだ偶然もあったものね。あなたがジルで、その右手に捕まっているのがシシーでいいのかしら?」
ギルドの中に入ってきたのは、鮮やかな金髪に涼しい瞳をした若い女とルーシーだった。若い女は17、8歳だろうか。ルーシーよりは少し歳下に見える。そういえば、ルーシーって何歳なんだろう。
「あの、失礼ですが、あなた様は?」
その上品な佇まいと、後ろに控えるルーシーの態度を見てある程度予想はついていたのだが、聞かないわけにもいかない。
「私はオクタビアよ。このレガス領主の娘をやっているわ」
やはりそういうことらしい。
俺達はというと、相も変わらずギルドで高難易度の討伐依頼をえり好みして受けては魔石を剥ぎ取り、アミラに納品する毎日を過ごしていた。魔石の価格も大分戻ってきていた。
変わったことと言えば俺達に対する周りの評価だ。Cランク冒険者として認識されたのもそうだが、俺とシシーでギガントスパイダーを屠ったという話が出回ったせいで少しおかしなことになっているのだ。
「おい、あれ、シシーちゃんじゃないのか?」
「馬鹿!シシーちゃんさんだろ!尊敬が足りないぞ!」
「そうだったな。本物を見て舞い上がっていたみたいだ。尊いなぁ」
「あぁ。尊いなぁ」
俺達がギルドに入るなり、屈強な男達に視線を向けられ周囲がざわついた。主な要因はシシーだ。歴代最年少Cランク冒険者という看板とその突飛な行動によって熱烈な信者が生まれていたのだ。
「みんなー!シシーちゃんが帰ってきたよー!元気にしてたかなー?」
シシーが信者達に向かって問いかけると、オォーと野太い声が返ってくる。シシーの横では神妙な顔のダツマが頷いている。そういえば、信者第1号はダツマだったのかもしれない。
俺が1人受け付けの列に並んでいる間も、シシーとダツマは信者達と交流会を繰り広げていた。シシーの活躍をダツマが信者に話して聞かすのが恒例となっているのだ。
「その時、シシーさんは屈強なオーガに対して言い放ちました。《なんて幸せな魔物なんでしょう。最後に瞳に映るのがシシーちゃんだなんて。安心して逝きなさい。デスサイズ!》と」
また、オォーと野太い声がギルドに響いた。この反応が益々シシーを調子付かせるのだ。何処かでこの負の連鎖を打ち切らなければならない。モニカから報酬を受け取った俺は、馬鹿どもと騒ぐ2人を引っ捕まえる。
Booー!
クソ!なんで俺が非難されるんだ。ぶん殴りてえ。両手にシシーとダツマを引き摺りながらギルドから出ようとすると、ちょうどギルドの扉が開いた。
「あらあら、これはこれは。とんだ偶然もあったものね。あなたがジルで、その右手に捕まっているのがシシーでいいのかしら?」
ギルドの中に入ってきたのは、鮮やかな金髪に涼しい瞳をした若い女とルーシーだった。若い女は17、8歳だろうか。ルーシーよりは少し歳下に見える。そういえば、ルーシーって何歳なんだろう。
「あの、失礼ですが、あなた様は?」
その上品な佇まいと、後ろに控えるルーシーの態度を見てある程度予想はついていたのだが、聞かないわけにもいかない。
「私はオクタビアよ。このレガス領主の娘をやっているわ」
やはりそういうことらしい。
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