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ダンジョン

落武者チャンネル

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Youtobeに落武者チャンネルを作成し、"モンスター落とし穴チャレンジ"動画を編集・アップしているうちに一週間が経過してしまった。モンスターが穴に落ちる瞬間の表情をスローモーション再生するところが俺のお気に入りだ。

今は五条にリンクを送り、エクスプローラーサークル内で広めて貰っているところだ。中高生にもツテが有ればよかったのだが今はない。黛は年齢不詳で友達も少なそうなので頼れない。一応、リンクは送っておいたが。

「ふぅ」

企画から制作・展開まで一気にやったせいでなかなか疲れが溜まっているようだ。PCデスクに座って飲む缶ビールがやたらと美味く感じる。

後はバズれば言うことなしだが、こればっかりは読めない。もし落武者チャンネルが軌道に乗って収益化出来た場合、利益は俺と和久津で7対3ということになっている。もちろん俺が7だ。和久津には出演料としてモンスターのレアドロップを渡しているのでこれでも多いぐらいだ。

「うん?」

スマホが震えた。見ると「冒険しよう!」の通知。黛からだ。

"落武者みた"

"どうだった?"

"面白かった。リザードマンのが1番いい"

"1番最初に撮ったやつだな"

"和久津が迫真だった"

"だろう。あいつはいい役者になる"

"あと、コボルトの集団をトレインするやつ"

"ああ、穴に落ち切らずに和久津が殴られるやつな"

"なかなか落とし穴が来ないからどんどんコボルトが増えて楽しい"

"その辺は全部俺の匙加減次第だからな。いくらでも調整できる"

"私もやりたい"

"お前だと囮にならないだろ。モンスターに追われても悲壮感がないから駄目だ"

"違う。モンスター役。私が和久津を追いかける"

"それはアリだな。和久津にドッキリを仕掛けよう"

"楽しみ"

"まあ、もうちょっと先だな。今の投稿が一通りバズってからだ"

"わかった。拡散しておく"

"ツテがあるのか?"

"Twittorで呟く。フォロワー50万"

こいつ、そんな人気だったのか。少々侮っていたかもしれない。

"なるほど。頼む"

"頼まれた。あ、そういえば"

"なんだ?"

"魔剣、ゲットした?"

完全に忘れていた。
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