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ダンジョン
襲撃
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深夜2時。二か所ある産廃処理施設の入口のそれぞれで、照明が落とされた。通常、24時間稼働の処理施設の明かりが落とされることはない。先に潜入させていた2人のスパイと和久津、五条が仕事を開始したのだ。続いて、夜目の利くゴブリン達が暴れ始める筈だ。
施設では耳障りな警報が鳴り始めた。聞くだけで鼓動が速くなるような音だ。
黛に視線を送る。軽く頷き、それっきり姿は見えなくなった。毎回驚くが、完全に消えてしまうのだ。黛は。
強化された身体で一気に丘を駆け下り、産廃処理施設へ近づくと警報だけでなく悲鳴や怒号があちこちから聞こえる。なるべく人の気配のないところを選んで壁に飛び付き、身体を引き上げると、もうそこは戦場。細心の注意で施設内に飛び降りた。
施設内は蜘蛛の子を散らしたような騒ぎだ。全ての照明が落ちているわけではないが、暗がりからゴブリンが襲ってくるのだ。パニックになって当然だ。
「暗視ゴーグルをつけろ!ゴブリンがいるぞ!」
若い男が叫ぶ。
「こいつら普通のゴブリンじゃないぞ!相当出来る!油断するな!」
それはそうだ。ウチのゴブリン軍団にはありとあらゆる武道の動画を見せて訓練させている。ゴブに至っては一対一でリザードマンに勝利するほどなのだ。加護があるだけで訓練もしていない人間に負けはしない。
「目々野さん、こんなとこにいたんですか!ボスが探してます!」
金髪の若い女が怒ったように声をかけてきた。目々野は幹部の癖に一般メンバーに舐められ過ぎだな。
「ええー。なんだようう。面倒くさいなああ」
「もう!こんな時に何言ってるんですか!いいから来てください」
金髪女は俺の手をグッと掴むと施設の中央にある倉庫のような建物に向かって早足で歩き始めた。あの建物の地下室がそのままダンジョンに繋がっているのだ。権田はその中の社長室/オーナー室にいる筈だ。
「ちょっとうう。そんなに急ぐことないだろうう」
「今!襲撃されてるんですよ!急ぐに決まってます!」
「でもさあ、どこに襲われてるの?」
「今回の襲撃には多数のゴブリンが混じっています!【テイム】のスキル持ちがいるクランとなると、、」
「あー、"サーカス"が怪しいってことうう?」
「ボスはそう言ってます」
目々野の記憶にあった敵対クランの一つ、サーカス。表の顔も韮崎大サーカス。【テイム】のスキル持ちを集めて、興行に悪行にと日本各地を転々としている闇クランだ。我々は全くサーカスとは無関係だが、勘違いしてくれて好都合。悪いがサーカスには泥を被ってもらおう。
「サーカスの奴等をやっつけるってことう?ええー面倒くさいなあ」
「いいから来てください!」
金髪女は更に腕を強く握り、俺は引き摺られるようにダンジョンに入っていった。
施設では耳障りな警報が鳴り始めた。聞くだけで鼓動が速くなるような音だ。
黛に視線を送る。軽く頷き、それっきり姿は見えなくなった。毎回驚くが、完全に消えてしまうのだ。黛は。
強化された身体で一気に丘を駆け下り、産廃処理施設へ近づくと警報だけでなく悲鳴や怒号があちこちから聞こえる。なるべく人の気配のないところを選んで壁に飛び付き、身体を引き上げると、もうそこは戦場。細心の注意で施設内に飛び降りた。
施設内は蜘蛛の子を散らしたような騒ぎだ。全ての照明が落ちているわけではないが、暗がりからゴブリンが襲ってくるのだ。パニックになって当然だ。
「暗視ゴーグルをつけろ!ゴブリンがいるぞ!」
若い男が叫ぶ。
「こいつら普通のゴブリンじゃないぞ!相当出来る!油断するな!」
それはそうだ。ウチのゴブリン軍団にはありとあらゆる武道の動画を見せて訓練させている。ゴブに至っては一対一でリザードマンに勝利するほどなのだ。加護があるだけで訓練もしていない人間に負けはしない。
「目々野さん、こんなとこにいたんですか!ボスが探してます!」
金髪の若い女が怒ったように声をかけてきた。目々野は幹部の癖に一般メンバーに舐められ過ぎだな。
「ええー。なんだようう。面倒くさいなああ」
「もう!こんな時に何言ってるんですか!いいから来てください」
金髪女は俺の手をグッと掴むと施設の中央にある倉庫のような建物に向かって早足で歩き始めた。あの建物の地下室がそのままダンジョンに繋がっているのだ。権田はその中の社長室/オーナー室にいる筈だ。
「ちょっとうう。そんなに急ぐことないだろうう」
「今!襲撃されてるんですよ!急ぐに決まってます!」
「でもさあ、どこに襲われてるの?」
「今回の襲撃には多数のゴブリンが混じっています!【テイム】のスキル持ちがいるクランとなると、、」
「あー、"サーカス"が怪しいってことうう?」
「ボスはそう言ってます」
目々野の記憶にあった敵対クランの一つ、サーカス。表の顔も韮崎大サーカス。【テイム】のスキル持ちを集めて、興行に悪行にと日本各地を転々としている闇クランだ。我々は全くサーカスとは無関係だが、勘違いしてくれて好都合。悪いがサーカスには泥を被ってもらおう。
「サーカスの奴等をやっつけるってことう?ええー面倒くさいなあ」
「いいから来てください!」
金髪女は更に腕を強く握り、俺は引き摺られるようにダンジョンに入っていった。
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