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ダンジョン

まさかのまさか

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「えっ、パイセン。なんて言いました?」

「何度も言わせるな。ゴブ-1グランプリを開催する」

「ゴブ-1のゴブってまさか、ゴブリンですか?」

和久津が怪訝な面持ちで聞いてくる。

「当たり前だ。ゴブから始まる単語なんてゴブリン以外にはこの世に存在しない」

「言い切った!」

事務所を見渡すと五条の表情がすっきりしない。

「なんだ五条。その顔は。何か言いたいことがあるなら言ってみろ。"帰りたい"以外で」

「か、アイ ウォント トゥ  ゴー ホーム」

くっ。五条のやつ、腕を上げて来たな。

「サブロー。そのゴブ-1でゴブリン達は何を競う?」

一方の黛は密かに瞳を輝かせている。やる気だ。

「流石にゴブリンに漫才は無理だからな。普通に戦ってもらう。最初はゴブリン一武闘会にしようと思ったのだが、、」

「語呂が悪いっす!」

「そういうことだ。では早速、ゴブ-1の概要を説明する。主催は落武者チャンネル。大会委員長は和久津だ。次に参加資格だが、召喚ゴブリンを持つエクスプローラーに限る。つまり参加者は俺が選ぶ」

「知らぬ間に大会委員長!で、もう参加者は決まってるんですか?」

「何人かのエクスプローラー系Youtoberには話してある。召喚オーブをやるから参加しろってな。おまけに優勝賞品としてレアな魔道具を予定している。この条件で出ないやつは馬鹿だ」

「私も出たい」

「そう言うと思って黛と五条の枠は確保してある。安心しろ」

「嬉しい」
「ちょっと待って下さい!」

「なんだ五条。遠慮することはないぞ。ゴブリンの召喚オーブの一つや二つ、俺にとっては訳ない」

「そういうことではなくて!有名なYoutoberに混じって私がいるのはおかしくないですか?」

「何も分かってないな。Youtoberなんてのは基本的にアクの強い奴ばかりだ。そんな中で地味な五条の存在はよい箸休めになるんだ。お前はきゅうりの酢の物だ」

「きゅうり、酢の物、、」

「2人には帰りに召喚オーブを渡す。まだゴブ-1の開催予定日までには2ヶ月以上あるから、しっかり鍛えあげるんだぞ」

「頑張る」
「きゅうり、酢の物、、」

「パイセン!五条さんが帰ってきません!」

「大丈夫だ。現実からは逃れられない」

「現実というか、パイセンからですけどね」

「ニャオ」

和久津の肩にいる猫又・夏目が肯定するように鳴くのだった。
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