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4話 美少女店員
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「森宮さんも転移しちゃったんですね……」
アダルトショップの店員、三田さんは申し訳なさそうに下を向いた。
ここは教会内にある個室。三田さんが与えられた部屋らしい。二脚の椅子にそれぞれ座り、向き合っている。
礼拝堂で声を掛けられた僕は彼女に手を引かれてこの部屋に案内されたのだ。
「ところで、なんでこの国では南極16号が信仰の対象になっているんですか?」
下を向いていた三田さんは顔を上げ、ほっそりとした手で口を押さえる。
「あの肖像画は……この星で崇拝されている創造神らしいです」
「えっ……!? そんな馬鹿な……!!」
「本当なんです! たまたま南極16号と似ていただけみたいです!」
「だってあんな顔で創造神はないでしょ!」
「私に言わないで下さい!!」
二人してヒートアップし、声が大きくなってしまった。ここは教会なのだ。落ち着こう。
深呼吸してから、お互いのこれまでについて話すことになった。
「へえぇ。コンドームを水筒代わりに……。考えたものですね」
「でも、不味かったよ。とても」
三田さんは楽しそうにしているが、僕はあの味を思い出して顔を顰める。
「三田さんは何故、この教会に?」
「私は王都のすぐ近くに転移したんです。南極16号と一緒に。そしたら神の使いだと思われたみたいで、教会に保護されました」
「そういえば、僕の寄った集落にも日本人がいましたよ」
「どうやら、時々いるみたいなんですよね。日本から異世界転移してやってくる人が。だから教会には日本語を話せる人もいますし」
「あっ、そうだ。重要なことを伝え忘れてました。三田さんが働いてたお店ですけど、アダルトグッズがほとんど無くなっています。転移のショックで散らばったか、掠奪されたかのどちらかと」
「やっぱりそうなんですね……」
「やっぱり……?」
「えぇ。実は王国内で様々な神の品が見つかっているようなんです。それが国王に献上されているらしくて……」
国王にアダルトグッズが献上されている……。頭が痛くなってきた。
「私、王城に呼ばれてるんです。神の品について説明して欲しいと」
「えっ、アダルトグッズの解説を国王にするんですか……!?」
「……はい」
「ご愁傷様です」
「あの……森宮さんも一緒に来てくれませんか?」
三田さんが上目遣いで言う。ずるい。めちゃくちゃ可愛い。
「で、でも。僕がいると話がややこしくなりませんか?」
「大丈夫です! 私の下男ということにします」
「いや~でも……」
「お願いです!」
スッと三田さんが近寄り、僕の手を握る。柔らかい。
「どれだけ力になれるかは分かりませんが、僕でよければ」
「ありがとうございます!!」
だって仕方ないよね! 三田さんは美少女なんだもん! 女の子に手を握られたの初めてだもん!!
僕はすっかり浮かれてしまった。そして、王城へお供することになる。
アダルトショップの店員、三田さんは申し訳なさそうに下を向いた。
ここは教会内にある個室。三田さんが与えられた部屋らしい。二脚の椅子にそれぞれ座り、向き合っている。
礼拝堂で声を掛けられた僕は彼女に手を引かれてこの部屋に案内されたのだ。
「ところで、なんでこの国では南極16号が信仰の対象になっているんですか?」
下を向いていた三田さんは顔を上げ、ほっそりとした手で口を押さえる。
「あの肖像画は……この星で崇拝されている創造神らしいです」
「えっ……!? そんな馬鹿な……!!」
「本当なんです! たまたま南極16号と似ていただけみたいです!」
「だってあんな顔で創造神はないでしょ!」
「私に言わないで下さい!!」
二人してヒートアップし、声が大きくなってしまった。ここは教会なのだ。落ち着こう。
深呼吸してから、お互いのこれまでについて話すことになった。
「へえぇ。コンドームを水筒代わりに……。考えたものですね」
「でも、不味かったよ。とても」
三田さんは楽しそうにしているが、僕はあの味を思い出して顔を顰める。
「三田さんは何故、この教会に?」
「私は王都のすぐ近くに転移したんです。南極16号と一緒に。そしたら神の使いだと思われたみたいで、教会に保護されました」
「そういえば、僕の寄った集落にも日本人がいましたよ」
「どうやら、時々いるみたいなんですよね。日本から異世界転移してやってくる人が。だから教会には日本語を話せる人もいますし」
「あっ、そうだ。重要なことを伝え忘れてました。三田さんが働いてたお店ですけど、アダルトグッズがほとんど無くなっています。転移のショックで散らばったか、掠奪されたかのどちらかと」
「やっぱりそうなんですね……」
「やっぱり……?」
「えぇ。実は王国内で様々な神の品が見つかっているようなんです。それが国王に献上されているらしくて……」
国王にアダルトグッズが献上されている……。頭が痛くなってきた。
「私、王城に呼ばれてるんです。神の品について説明して欲しいと」
「えっ、アダルトグッズの解説を国王にするんですか……!?」
「……はい」
「ご愁傷様です」
「あの……森宮さんも一緒に来てくれませんか?」
三田さんが上目遣いで言う。ずるい。めちゃくちゃ可愛い。
「で、でも。僕がいると話がややこしくなりませんか?」
「大丈夫です! 私の下男ということにします」
「いや~でも……」
「お願いです!」
スッと三田さんが近寄り、僕の手を握る。柔らかい。
「どれだけ力になれるかは分かりませんが、僕でよければ」
「ありがとうございます!!」
だって仕方ないよね! 三田さんは美少女なんだもん! 女の子に手を握られたの初めてだもん!!
僕はすっかり浮かれてしまった。そして、王城へお供することになる。
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