結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~

馬村 はくあ

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第1章~2人の奇妙な関係~

好きな気持ちは溢れそう

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「ちとせ」



〝駐車場にいて〟と学くんからLINEがきていたので、地下の駐車場のエレベーターの前で待ってると、エレベーターから学くんが降りてくる。



「お疲れ様」


「ちとせもな」



スっとあたしの手を握るとそのまま歩き出すので、あたしも学くんに続いて歩く。

すんなりと握られた手が熱を持っていくのがわかる。

この前〝あたしを使えばいいじゃない〟なんで言っておいて、こんなんでうまくやっていけるのだろうか。

結局ああ言ったあと〝一緒に寝よう〟って、ベッドに連れていかれて手を繋いだまま学くんの寝息が聞こえきた。、

このまま、学くんと……なんて覚悟もしたけどなにも起こらかった。

そばでぐっすり眠る学くんをみて、やっぱりあたしのことなんか好きじゃないかって悲しくもなった。
隣で寝れるってことは、あたしに特別な感情がないから。

きっと好きなら、意識して寝られないはず。

あたしがドキドキして全然寝れないように。



「学くんって慣れてるよね」



隣を歩く学くんを見上げる。

あたしよりも20センチくらい背の高い彼の顔は見上げないと見えない。



「慣れてるって?」


「女の子の扱い。昔から」


「別に普通にしかしてねーよ」



ふぅっと息を吐く。



「男の子に慣れてないあたしには余裕があるように見えるけどね」


「慣れてないとか言って、別に大学時代に彼氏がいなかったわけじゃないだろ?」


「それは……まぁ」



ずっと学くんのことが好きだったけど、忘れられなかったけど。
でも、1人も好きな人がその間できなかったわけじゃない。



「まぁ、過去なんてどーでもいいか。俺だってそうだし」


「学くんはモテるだろうしね」


「まぁな」



こう言って、否定しないのが学くんらしい。
学くんは自分の顔の良さを理解してる。
少しナルシストなくらいだ。



「ほら、乗れよ」



鍵を車に向けて〝ピッ〟という音とともに、ガチャっと鍵のあいた音がしてから学くんが助手席のドアを開ける。



「ありがとう」



あたしが助手席に乗ったのを確認し、ドアを閉める。



「シートベルトしろよ」


「うん」



あたしに声をかけなが、自分もシートベルトをする。

エンジンをかける姿ひとつでさえ、カッコいいなと思ってしまうあたしは重症なのかもしれない。



「家でいい?」


「うん」


「お腹すいたな」


「そうだね」



片手でハンドルを切る姿にドキドキしながらも、平然を装って答える。

そのうちぐーっと鳴りそうなくらい、お腹がすいている。
鳴らないで欲しいと願いながら、お腹をさする。



「お前、お腹なりそうなの?」



ちらっと横目に見ながら、フッと笑う。



「まぁ……」



そんなに分かりやすかっただろうか。
鳴ってないけど、鳴ってしまったような気になって恥ずかしくなる。



「家に帰ったらご飯にするから、そんな顔するなよ」



ハンドルを握ってないほうの手で、あたしの頭に軽く触れる。


✱✱✱



「お前、風呂でも入ってこいよ」


「え?ご飯……」


「いいから先に入ってこい」



家についてすぐに、あたしの背中を押してお風呂まで連れていかれる。



「や、着替えとか持ってきてないし」


「持ってきとく」


「えぇ……」



強引だけど、妙に優しい学くんな首を傾げながら、洗面所のドアを開ける。



「ふぅ……」



今日は、そんなに社員はこなかったけど書類整理が忙しくてお昼ご飯の時間もそんなに取れなかった。



服を脱ぎ終えて、浴室のドアを開ける。



「疲れた体には暖かいお湯が1番だね」



独り言を呟きながら、いついれたのか張られてるお湯につかる。


予約でもしていたのだろうか。
ちょうどいい暖かさだ。

なんだろう、このくすぐったさ。
あたしのことなんて、どうでもよさそうなのに。
実際は、どうでもいい扱いなんてされてない。



「……好き」



気持ちが溢れてしまいそうで、口元までお湯につかる。

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