俺様御曹司に飼われました

馬村 はくあ

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第二章~悪魔のことが好きなあたし~

キョウミナイ

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「ほかのやつが東條さん彼女できたん!?ってなってさーそこから進藤の彼女の話になってたわ。俺の彼女とか一瞬で過ぎ去ったね」


「そりゃ誰も興味ないだろうね……」


「は!?相変わらずいうねぇー。悩みとか相談してきてたときは可愛かったのになぁー」



わしゃわしゃっとあたしの髪の毛を撫でる。



「それが東條さんの彼女なんですね?」



後ろから聞こえて来た声に慌てて振り向く。



「おお、進藤」



片手をあげて彼を歓迎してる。



「あたしは別に……「お似合いじゃないですか。東條さんと彼女」



あたしの言葉を遮るのはいつものことだ。
でも、今日はその言葉が冷たく感じた。



「わ!御曹司じゃん!」



トイレから戻ってきた朱莉が声を上げるからほかの同期たちも悪魔を見る。



「もしかして今日も心海をお持ち帰りですか?」


「は?お持ち……?」


「残念、東條くん。もう心海は金持ち御曹司にとられたわよ」



朱莉の言葉にあたしと悪魔を交互に見る。



「え?茅ヶ崎と進藤が?」


「進藤って知り合い……?」



さっきまでこの場にいなかった朱莉は状況が掴めてない。



「大学の後輩」


「なるほどー……で、帰るの?」



朱莉があたしの顔をのぞき込む。



「なんで帰らなきゃならないの?」



少し意地を張ってみたくなった。



「なんでって、御曹司が迎えにきたんじゃないの?」


「迎えになんか……あたしと東條くんがお似合いだって言いに来たんだよ」


「ふーん。そうなんですか?進藤さん」



朱莉が怪しげな瞳で悪魔を見る。



「なんで俺がそんなこと言うためにわざわざくるんですか?」



よそ行きの表情でニッコリと笑う。



「じゃあ心海を連れ去りに?」


「ただ通りかかっただけですよ。誰と誰が付き合うとか興味ないです」



キョウミナイ
悪魔のその言葉があたしの胸に突き刺さる。

やけに冷たい表情をしていた。



「ごめん、せっかくの同期会だけど帰らせて」



横にあった上着とカバンを手に取る。

さすがにこのままこの場にいるのは耐えきれなかった。



「茅ヶ崎!待てよ」



追いかけてきたのは、悪魔ではなく東條くん。



「東條……くん」


「お前、進藤となんかあったの?」


「……わからない」



正直もうわからない。
どうするべきなのか。
彼があたしをなんだと思ってるのか。
なにもかもがわからなかった。



「ちょっとそこの公園いくか」



ぽんっとあたしの頭を叩く。



「……うん」



東條くんのあとについて、道路の向こう側にある公園に向かう。


少し、東條くんがいてくれてホッとした。
あのまま帰るなんてことできなかったし。



「はい」


自販機で買ったココアをあたしに差し出してくれる。



「温かい……ありがとう」



秋の夜空は少しだけ肌寒くて。
それは悪魔に突き放されたからかもしれない。



「茅ヶ崎」


「ん?」


「俺、お前のこと好きだよ」


「……っ」



突然真面目な顔して、そんなこというもんだから持っていたココアを落としそうになってしまう。



「茅ヶ崎は、進藤のこと好きなのか?」


「……うん」



あたしに気持ちをきちんと伝えてきてくれた人に、嘘をつくべきではないと思った。



「進藤とどういう関係?」


「ペット?」


「は?」



あたしの言葉に怪訝な顔になる。



「飼われたの。あの御曹司に」


「どういうこと?」


「嘘みたいな話なんだけど、会社に与えられた部屋に行ったら先に住んでた人がいたの」



なんて少女漫画とか携帯小説ですかって話。
信じられないだろう、怪我な顔がおさまらない。



「なんだ、それ……ってかスマホなってる」


「あっ……っ……」



東條くんの言葉に、ポケットから出したスマホに表示されていたのは見慣れた人の名前。
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