俺が犯して殺して埋めた女

selen

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devil Ⅰ

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変態だ。
そう自覚したのはちょうど一年前だった。
昼間は真面目にスーツを着込んで大手企業に出社。26歳にして部長まで上り詰めた。
学生時代から容姿をたびたび褒められたし、身長だってそこそこ高い。人並みに物欲がないから金も割とある。
退勤時に上司やら後輩からの飲みの誘いが飛び交う。
俺はそれを全て丁重に断り、最近購入した黒い新車に乗り込む。

恐らく俺に気がある女性社員は俺のこの行動を彼女に会いに行っているなんて噂をしているだろうが、それは半分正解で半分間違っている。
ゆっくりとアクセルを踏んで向かう先は、“毎回”一度も訪れたことのない田舎町だ。
会社のある都心から1、2時間ほど運転する。
途中寄り道なんかをして目的地付近に到着するのは時刻はだいたい20時。
そして、俺は手頃な女子高生を誘拐する。
頭を軽く殴って意識が混濁している間に車に詰め込む。
女特有の甲高い声で叫ばれると面倒だから事前に用意していたタオルを口に突っ込む。このときたまに歯が折れることがある。
最後に手足を縛って服を裂いたら完成だ。
それからは至極簡単。
適当に犯してから殺す。




終わったら車を停めてその辺の森林に死体を埋める。
しかしこの行為は俺の快感の下準備に過ぎない。
数日後ーいや、早くて翌朝にはそれはニュースになる。
俺が殺した女はこんな名前だったんだ、こんな顔だったんだ。
親族のコメントやその女の人柄。
ニュースキャスターが淡々と読み上げるその女の情報を画面越しに聞くだけで俺の両手は震え上がり、息が上がり、目の前が眩むほどの快感を脳天で感じた。
それから涼しい顔で出社することにすら甘い快感を覚える。
お前らが羨望の眼差しを向け、今挨拶を投げかけた男は一年前から断続的に起こる女子高生誘拐事件の犯人だというのに。
つまり俺は、かなりの手練れ。
ポーカーフェイスも証拠隠滅も良く言えば丁寧できめ細かい、悪く言うなら病的な執着心と用心深さでこの一年間誰にもバレずに、警察に疑われもせずに生きてきた。

俺の犯行は約二ヶ月に一回。日々の鬱憤を晴らすのに…いや、あの全身を駆け巡る、気を失いそうになる快感を求めて俺はアクセルを踏んだ。




今宵は新月。まさにうってつけの夜だった。
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