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『6.星屑スキャンダル』
SCANDAL
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『舞台の天使が堕ちた夜――
人気役者の“背徳的な素顔”を独占スクープ!』
卑猥な赤文字が
表紙のど真ん中を飾る。
視線を逃がそうとしても、
文字と写真のインパクトに
否応なく目が留まる。
そこには、俺の姿――
視界を黒布で覆われ、
赤い縄が食い込む肌を晒し、
無防備に吊るされた姿――が、
艶かしく切り取られていた。
絶妙なアングルで
映し出されたそれ。
薄く開いた唇に浮かぶ、
苦悶と、薬の快楽に満ちた表情。
艶やかな汗の跡が、
いやでも見る者の
想像をかき立てる。
『あの一流役者の隠された顔――“禁断の美”に迫る!』
嘲笑うように踊る見出し。
名前は伏せられているが、
わかる者には一目瞭然だ。
あの後、
俺は奴に引導を渡した。
週刊誌へ写真を売るし、
劇団にも写真を送りつけると
宣告されたが、
俺はもうハンターとは関わらないと固く意思表示をした。
それからほどなく、
この週刊誌が発売された。
「……俺、結構綺麗に撮れてるじゃん?」
自分でも
馬鹿みたいだと思うけど、
そんな軽口が口を突いて出る。
ソファに腰を下ろした
シリウスが、
そのページをめくりながら
冷静に批評する。
「悔しいが、ルシファーの魅力を引き出す力があるのは事実のようだ。やり方は問題外だが」
その声には、
怒りの棘が混じっている。
でも、笑う俺を咎めることはしない。
「……なあ、シリウス。本当は怒ってるんでしょ?」
おずおずと尋ねると、
蒼瞳が俺を射抜いた。
俺は思わず息を呑む。
「怒っているさ。お前にこんな屈辱を味わわせたあいつに……そして、それを防げなかった俺自身にもな」
その声は低く、
かなりの熱を帯びていた。
「……でもな、ルシ。お前はもう被害者じゃない。この写真を武器に変え、奴の悪行を暴く切り札となった」
そう――
俺は被害者のままで
終わるつもりはない。
実は、主に劇団関係者に、
俺以外にも
複数の被害者がいることを
俺たちは突き止めていた。
「……これで奴の悪事を公にできる。俺だけじゃない、他の被害者も救えるんだ。まさか俺以外の団員にも手を出してたなんて⋯⋯許せねえ」
俺や団員が手を出されたことを知った、
舞台装置チーフのアンタレスや
スタントマンのカストルは、
火薬や木刀を持って
奴のスタジオへ殴り込もうとした。
……さすがに止めたけど。
シリウスは艷やかな黒髪を掻き上げ、口元だけ笑う。
「奴には報いを受けてもらう」
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