星に溺れるカーテンコール 〜これは愛か執着か? 今宵もきみに溺れる~

うまうま

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『6.星屑スキャンダル』

さあ、反撃だ

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****

翌日――  
別の週刊誌の見出しに、
鮮やかな反撃の火蓋が切られる。  

『カリスマ縄師ハンターの裏の顔! 薬物と非同意プレイの闇』  

その記事には、
複数の被害者の証言が
詳細に記されていた。

そして俺も、
その一人として名を連ねる。
もちろん顔出しで――

目の前のニュース番組でも、
その話題が取り上げられている。

ハンターのスタジオが
警察に踏み込まれる映像が流れ、
キャスターが甲高い声で騒いでいる。  

「これで奴は終わりだな」  

シリウスの声が、
背後から届く。
振り返ると、
彼は紅茶を片手に、
穏やかな表情で立っていた。  

「シリウス⋯⋯本当に、ありがとう。もしあんたがいなかったら……きっと俺……ずっと、あいつに脅され続けてた」  
「お前の勇気がすべてを動かしたんだ、ルシ。あんなに傷付いたのに、他の被害者の救済までするなんて……お前は金星より輝く星だ」  

優しい言葉が、
胸に深く沁み込む。

あの夜、
俺がシリウスの元に逃げ込んでいなかったら、
どうなっていただろう。  

「うん⋯⋯ありがとう、シリウス」  

小さく呟く俺に、
彼は長い黒髪を揺らして微笑む。

そして、
そのまま肩を引き寄せ、
俺を静かに抱きしめた。  

「これからも俺の一番星として輝き続けろ、ルシファー。俺がお前を光らせ続ける」  

あたたかい腕の中、
俺はそっと目を閉じる。  

心地よい胸の鼓動を
感じながら、
閉ざされていた扉の向こうに、
新しい星空を見つけた気がした――


***

あんな写真が出回って、
顔出しで取材も受けて。

俺はSNSで
誹謗中傷ひぼうちゅうしょうを覚悟していた。

けど肩すかしにも、
目立ったものはなかった。

むしろ、
「リベンジポルノに負けず勇気を持って告発した」と
称賛とねぎらいの言葉が
俺を包みこんでくれた。

……そしてあろうことか、
あのとんでもない写真を
「次の舞台の稽古じゃないか」
「エロ可愛くて最高(ハンターはちょん切りたいけど)」
「まずい、ときめいた⋯」
と好意的(?)に
評価する声が予想外に多かった。


さらに予想斜め上にも、
その「ときめいた」不思議な紳士たちが……
俺のファンに増えた。
一体どんなご趣味なのか、
詮索せんさくしない方が身のためだろう

⋯⋯ヴァロフの件と言い、世界って広いな。


一番厄介やっかいだったのは、
シリウスが道具たちへ
興味を持ち始めたことだった。

「ふむ。こういう嗜好も悪くないな⋯⋯」

サファイア色の瞳が
真剣にスマホを眺めている。
その視線の先には――

オトナの玩具おもちゃの通販サイト。

しかもよりによって、
あの道具だ⋯⋯
ハンターに使われたことを
思い出して鳥肌が立つ。

「な⋯⋯っ! おい、シリウス! なに真剣に通販サイト見てるんだよ!
そんなもの絶対買うなッ!!」
「ファンはあの写真を見て、
『次の舞台じゃないか』と期待してくれたんだ。
それに応えないとな」
「Idiot(バカっ)!! 絶対口実だろそれ!
というかほんとにやる気かあのプレイ!」
「⋯⋯自然な同意があれば、芸術だからな」
「~~~っ! シリウス監督~!!」


まあでも……
シリウスが使うなら、
少しぐらいなら――
いやいや、何考えてんだ俺!
絶対無理だ! 

まじで勘弁してくれ、
シリウス⋯⋯





うっ、何か、
縄のあざを思い出したら
寒気がしてきた……

気を取り直して、
次は聖なる夜のあまーい話、
行ってみようかあ!



『星屑スキャンダル』おわり
 
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