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三話
しおりを挟む遂にやって来た。四月、ゲームの主人公が入学してくる日が!
第二王子との出会いは主人公が道に迷って…だったはずだ。防ぎに行きたいところだが俺は風邪を引いて休んでいた。なんてこったい。
そろそろ入学式は終わる頃だな…ああ、俺は婚約破棄されてしまうんだろうか。
風邪のせいか思考がネガティブになっていく。そんな時部屋にノックの音が響いた。
「どうぞ?」
第一王子かな?
「俺だ。体調はどうだ、何か欲しいものはあるか。」
なっ、第二王子…!?
わざわざ見舞いだなんて…今度こそ槍が降るんじゃないか?
「大丈夫。わざわざお見舞いに来てくれて、ありがとう。嬉しいよ。」
「そうか。」
そう言ってそっと頭を撫でてきた。…なんだよ、急に優しくしやがって。今日は主人公にひとめぼれしてきたんじゃないのか?
目を閉じると、涙が一筋頬を伝った。
どうやら、俺は、思ったよりも第二王子のことが好きらしい。
今日は六月一日。主人公が誰かのルートに入り、ミレクシアが婚約破棄される日だ。
…結果から言おう。何もなかった。普通の一日だった。
あれ、婚約破棄って今日じゃないの?六月ってことは確かだから明日とか?
そう思ったが次の日も何もなかった。
次もその次もそのまた次も、何もなかった。…何も、なかった。
や、やったんだ!婚約破棄されなかった!!!
「ねえアダム。」
「なんだ?」
「俺のこと、好き?」
「勿論、誰よりも愛してる、ミレクシア。」
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