3 / 5
本編
今日から朝の言葉は無しです.
しおりを挟む「おはようございます旦那様、行ってらっしゃい。」
「おはよう、行ってくるよ。」
昨日は号泣してしまい、夜の挨拶も朝一緒にご飯を食べる事もできなかった。
そして今日から、朝の『愛の言葉』はやめた。
旦那様もさほど気にしてないのでこのまま無くしても大丈夫だろう。
次は料理だ。旦那様が早く帰ってこれる日は自分が作っていたのだが、これも辞めよう。
さっそく料理長の所へ行く。
「リヴィエン、俺もう料理作るのは辞める。
今までありがとうな。」
「え?急にどうしたんすか奥様!」
料理長こと_リヴィエンは心底驚いた様に声を上げる。
実力主義のこの家で、若いながら料理長まで登り詰めた凄い子だ。
俺は23で彼は21。ちょっとした仕草が可愛いらしいので、弟の様に思ってしまう。
「ねぇ!なんでです!?奥様!!俺楽しかったのに!」
肩をガタガタ揺らされる。力強いなぁ、なんて思っていると、リヴィエンが泣きそうな顔をしているのが見えた。
「どうしたリヴィエン、綺麗な琥珀の瞳が落っこちそうだぞ。」
「っ、!茶化さないでくださいよ!………旦那様と何かありましたか?」
流石リヴィエン、勘がいい。
俺は夫婦の関係を語るのは少し引け目を感じたが、全部彼に話す事にした。
「…は??旦那様殺しますか??」
「恐ろしい事を言ってくれるなリヴィエン、俺がこうだから悪いんだ。」
そう言ったら馬鹿を言うなとリヴィエンが噛み付いてきた。
「そんな訳ないです!奥様は旦那様の為に全部我慢してきたじゃないですか!
それに…、俺の恋…バナにも付き合ってくれましたし…。」
リヴィエンはα同士のカップルで、相手の仕事が一段落済んだら結婚するらしい。
ただ、向こうが性に奔放な人で、いつ自分に飽きて捨てられるかが怖いんだと。
俺も旦那様に捨てられるのが怖いと言ったら、「じゃあ、そんときは二人で一緒に住みましょう。」って言ってくれた。
「とりあえず、料理辞めんのは保留にしてもらっても?奥様がここに来てくれないと、お話もできないんで……」
確かにそうだとうなずく。一応旦那様の次に偉いのが俺なので、気軽に料理長から会いにいく事はできない。
「奥様…俺は貴方を愛して居ます。家族愛とか…敬愛とかそんなもんですけど、俺が居ます。もっと頼って。」
思わず嬉しくて、俺の顔はにへっと笑った。
そうだ、俺には味方がいる。旦那様への気持ちを忘れられなくても、彼がいれば大丈夫なんじゃないだろうか___。
それから何事もなく日が過ぎ、『愛の言葉』を囁くのをやめた日から、一週間が経とうとしていた。
―――
誤字報告ありがとうございます。
一部修正を致しました。
575
あなたにおすすめの小説
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
【本編完結】αに不倫されて離婚を突き付けられているけど別れたくない男Ωの話
雷尾
BL
本人が別れたくないって言うんなら仕方ないですよね。
一旦本編完結、気力があればその後か番外編を少しだけ書こうかと思ってます。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記
天田れおぽん
BL
ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。
だけどオズワルドには初恋の人がいる。
でもボクは負けない。
ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ!
※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。
※他サイトでも連載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる