新加入メンバーは真面目なリーダーに恋をする

こあむあむ

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第3節: リーダーの悩み

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「これ以上、どうすればいいんだろう…」
タクミは舞台稽古の帰り道、ついそんな独り言を漏らしていた。
グループ内ではリーダーとしてしっかりしていないといけないし、
個々の仕事も多い。特に最近は、グループとしての活動よりも、
個々の活動が中心となっていた。タクミ自身も舞台に立つことが多く、
そこそこの評価はもらっているものの、どうしても「そこそこの評価」から脱皮できないでいた。

「一皮むけるって、どういうことなんだ?」
彼は最近、舞台の演出家に相談したときのことを思い出していた。

「タクミ君、演技は上手いんだよ。うん、他のアイドルよりずっといい。
でもね、もう少し色気がほしいんだよね」
その一言に、タクミは動揺した。「色気」って、
一体どうやって出すものなんだ? 誰かに教わるものでもないし、
自分には欠けているものだと気づいたのも初めてだった。

「色気ってどうすればいいんですか?」
タクミは演出家に尋ねてみたが、返ってきたのは意外な答えだった。

「恋が一番の方法だと思うけど、今はアイドルだからね。
無理しないで、焦らずにおいおいでいいよ」
恋? タクミはそれを聞いて、頭の中が真っ白になった。
恋愛なんて、タクミにとってはほぼ未知の世界だ。
小さい頃から芸能事務所で管理され、恋愛よりもずっと先に
「仕事第一」として育ってきた。恋愛感情なんて、まだ経験すらしたことがない。

「俺が恋をして、色気が出るってことか?」
そんなこと、実感できるはずもなかった。
だけど、演技をもっとよくするためには、もしかしたら必要なのかもしれない。
アイドルとしてのルールを守ることも大切だが、役者として
一歩成長するには何かを犠牲にする必要があるのかもしれないと、
タクミは悩み続けていた。

「でも、ファンを裏切ることだけはできないしな…」
タクミの悩みは尽きることがなかった。ルールを守りつつも、
一皮むけた役者になるためにはどうしたらいいのか。
彼はその答えを見つけることができないまま、事務所へ向かって歩き始めた。
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