新加入メンバーは真面目なリーダーに恋をする

こあむあむ

文字の大きさ
7 / 8

第7節: ふたりの関係の変化

しおりを挟む
自主練の日、航太はいつも以上に集中していた。
タクミが「これからはもっとお互いに向き合って過ごそう」と言ってから、
練習の時間が今までとは違った意味を持つようになった。
以前は、ただの技術向上のためのトレーニングだったが、今ではその時間が、
より親しい関係を築くための大切なひとときになっていた。


「今日は動きがなかなかいいじゃん」 タクミが笑顔で言う。
航太の心臓はドキンと跳ね上がる。以前なら、この笑顔はただの指導の一環だと思っていた。
でも、最近は違う。タクミの声には、どこか柔らかさが混じっているように感じるのだ。

「…あ、ありがとうございます!」 照れくさそうに答える航太。
タクミに近づくために始めた自主練だったが、
いつの間にかタクミとの距離が少しずつ縮まっている気がした。

練習後、ふたりでスタジオの片隅に座り込む。ふぅっと息をつくタクミ。
汗を拭きながら、彼はふと仕事の話題ではなく、少しプライベートな話題を切り出した。

「最近、ちょっと仕事のプレッシャーがすごくてさ…舞台のこととか、考えすぎちゃって」 
タクミがそんなふうに悩みを打ち明けてくれるのは初めてだった。
リーダーである彼が、悩みを誰かに話すなんて、航太にとっては特別な瞬間だった。

「それなら、無理しないでくださいね。僕たちがサポートしますから!」 航太は思わず口に出した。
タクミが自分に心を開いてくれることが嬉しくて、自然と本音が出てしまったのだ。

「ありがとう、航太」 タクミは少し照れくさそうに笑った。
以前は鉄壁のリーダーとしての顔しか見えなかったタクミが、
今は少しずつ素顔を見せてくれている。航太はその変化を肌で感じていた。

その後も、自主練や打ち合わせの後は、仕事の話からいつの間にかプライベートな話題へと移り、
ふたりの会話が続くようになった。リーダーとしてのタクミだけでなく、
一人の人間としてのタクミが少しずつ見えてくる。
少しずつだが、確実にふたりの関係が深まっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

自己肯定感低めの不幸な義弟が完璧な義兄と大揉めに揉める話

あと
BL
「こんな僕をお兄ちゃんは嫌ってるだろうな」 トップ俳優な完璧超人の義理の兄×不幸な自己肯定感低めのネガティブ義理の弟です。 お金ない受けが追い詰められて変なアルバイトしようとしたら、攻めと再会して……?みたいな話です。 攻めがヤンデレ気味で、受けがマジで卑屈なので苦手な人はブラウザバックで。 兄弟は親が離婚してるため、苗字が違います。 攻め:水瀬真広 受け:神崎彼方 ⚠️作者は芸能界にもお葬式ににもエアプなので、気にしないでください。 途中でモブおじが出てきます。 義理とはいえ兄弟なので、地雷の人はブラウザバックで。 初投稿です。 初投稿がちょっと人を選ぶ作品なので不安です。 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /チャッピー AI比較企画作品

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

結婚間近だったのに、殿下の皇太子妃に選ばれたのは僕だった

BL
皇太子妃を輩出する家系に産まれた主人公は半ば政略的な結婚を控えていた。 にも関わらず、皇太子が皇妃に選んだのは皇太子妃争いに参加していない見目のよくない五男の主人公だった、というお話。

処理中です...