1 / 111
やってきた薬師
やってきた薬師ー①
しおりを挟む
(アイツらは絶対に…許さない…私がこの手で復讐してやる…!)
シャルバリー王国。そこは平和な国であった。事件なども滅多に起きず、みなが仲良く暮らしていた。互いに助け合い尊重しあう。そうやってシャルバリー王国は栄えてきた。
しかしそんな国でも表には出さない裏がある事をみな知らない…
シャルバリー王国に一人の少女がいた。少女は小さい頃から頭が冴えていて薬師になるという夢を抱いていた。
好奇心旺盛でよく森に遊びに行き不思議な植物を持って帰ってきては調合したりそれを自分の体を実験体として付けたり、飲んだりしていた。
カナリヤ・ハルデリス
普通の農民として育ったカナリヤは毎日楽しく過ごしていた。普通の女の子で周りから好かれる存在であった。
しかしあることを機にカナリヤは一変した。前までの笑顔は消え果て、家に引きこもるようになり、遂にはどこかへ消えてしまった。
カナリヤの行方を知っているものは誰一人もいなかった。
だが、ある日突然カナリヤはニコニコしながら家へ帰ってきた。カナリヤの親はカナリヤを抱きしめた。
何があったのか聞いても何も答えてくれない。ただただ笑っているだけだった。それでも両親はカナリヤが帰ってきてくれたことが嬉しく気にしていなかった。
前までとは変わらない日常を送るようになった。いつものように森に行ってはカゴいっぱいに植物を詰め込んで帰ってくる。
そして直ぐに部屋に引きこもり実験をする。そんな日々を送っていたある日国に謎の病が大流行した。
国の医師が大勢集まり解明を急いだが何一つ分からなかった。
それも病気にかかった人達に共通するものは何一つなく何がどうなってこの病気に発展したか、その経緯も分からなかった。
若者から高齢者までもが病気にかかり苦しんでいた。この病気について気になったカナリヤは急いで病院に向かった。
そこで一人一人の患者を見て周り家に帰った。そして、誰一人成し遂げられなかった原因を突き止めた。
その原因は国の周りにある植物によるものだった。それを市場で買い、口にしたことにより病気にかかったのだろう。
簡単な事だったのに医師が分からなかった理由は、この国では植物による病気が流行ったことが初めてであったからだ。
そのため、植物からの感染を疑わなかった。
それを見事に当てたカナリヤの噂は城に居る王にまで届きカナリヤは国を救ったとして城に招待された。
家の前に豪華な馬車が止まっている。馬車に乗り込み何分が経過し見えてきたのはこの国の城。王がいるところである。
城に着くと侍女のような人達に案内され大広間にやってきた。
前には玉座に座った王がいる。
「君が噂の薬師か?」
「はい」
「そうか、今回は本当にありがとな。君のおかげでこの国は助かった」
「いえいえ」
「そこでなんだが…君にこの国の為に尽くしてもらいたい。その代わり君の願いはなんでも聞こう」
カナリヤはニコッと笑いかけ話に応じた。
「私もこの国の為に尽くしたいと思っています。そのような提案をしていただけるのはとても光栄です」
嬉しそうな顔で王の提案を喜んだ。だが、内心はそんな薄っぺらい笑いではなかった。
王に気に入られるのはとっくのとうに計算済み。
気に入られるのは簡単な事だ。ただ単にこの国の危機を救えば王はこちらを振り向く。
それがカナリヤの考えであった。こんなの始まりに過ぎずこれからが本番だ。
カナリヤの復讐が始まる。
シャルバリー王国。そこは平和な国であった。事件なども滅多に起きず、みなが仲良く暮らしていた。互いに助け合い尊重しあう。そうやってシャルバリー王国は栄えてきた。
しかしそんな国でも表には出さない裏がある事をみな知らない…
シャルバリー王国に一人の少女がいた。少女は小さい頃から頭が冴えていて薬師になるという夢を抱いていた。
好奇心旺盛でよく森に遊びに行き不思議な植物を持って帰ってきては調合したりそれを自分の体を実験体として付けたり、飲んだりしていた。
カナリヤ・ハルデリス
普通の農民として育ったカナリヤは毎日楽しく過ごしていた。普通の女の子で周りから好かれる存在であった。
しかしあることを機にカナリヤは一変した。前までの笑顔は消え果て、家に引きこもるようになり、遂にはどこかへ消えてしまった。
カナリヤの行方を知っているものは誰一人もいなかった。
だが、ある日突然カナリヤはニコニコしながら家へ帰ってきた。カナリヤの親はカナリヤを抱きしめた。
何があったのか聞いても何も答えてくれない。ただただ笑っているだけだった。それでも両親はカナリヤが帰ってきてくれたことが嬉しく気にしていなかった。
前までとは変わらない日常を送るようになった。いつものように森に行ってはカゴいっぱいに植物を詰め込んで帰ってくる。
そして直ぐに部屋に引きこもり実験をする。そんな日々を送っていたある日国に謎の病が大流行した。
国の医師が大勢集まり解明を急いだが何一つ分からなかった。
それも病気にかかった人達に共通するものは何一つなく何がどうなってこの病気に発展したか、その経緯も分からなかった。
若者から高齢者までもが病気にかかり苦しんでいた。この病気について気になったカナリヤは急いで病院に向かった。
そこで一人一人の患者を見て周り家に帰った。そして、誰一人成し遂げられなかった原因を突き止めた。
その原因は国の周りにある植物によるものだった。それを市場で買い、口にしたことにより病気にかかったのだろう。
簡単な事だったのに医師が分からなかった理由は、この国では植物による病気が流行ったことが初めてであったからだ。
そのため、植物からの感染を疑わなかった。
それを見事に当てたカナリヤの噂は城に居る王にまで届きカナリヤは国を救ったとして城に招待された。
家の前に豪華な馬車が止まっている。馬車に乗り込み何分が経過し見えてきたのはこの国の城。王がいるところである。
城に着くと侍女のような人達に案内され大広間にやってきた。
前には玉座に座った王がいる。
「君が噂の薬師か?」
「はい」
「そうか、今回は本当にありがとな。君のおかげでこの国は助かった」
「いえいえ」
「そこでなんだが…君にこの国の為に尽くしてもらいたい。その代わり君の願いはなんでも聞こう」
カナリヤはニコッと笑いかけ話に応じた。
「私もこの国の為に尽くしたいと思っています。そのような提案をしていただけるのはとても光栄です」
嬉しそうな顔で王の提案を喜んだ。だが、内心はそんな薄っぺらい笑いではなかった。
王に気に入られるのはとっくのとうに計算済み。
気に入られるのは簡単な事だ。ただ単にこの国の危機を救えば王はこちらを振り向く。
それがカナリヤの考えであった。こんなの始まりに過ぎずこれからが本番だ。
カナリヤの復讐が始まる。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】王都に咲く黒薔薇、断罪は静かに舞う
なみゆき
ファンタジー
名門薬草家の伯爵令嬢エリスは、姉の陰謀により冤罪で断罪され、地獄の収容所へ送られる。 火灼の刑に耐えながらも薬草の知識で生き延び、誇りを失わず再誕を果たす。
3年後、整形と記録抹消を経て“外交商人ロゼ”として王都に舞い戻り、裏では「黒薔薇商会」を設立。
かつて自分を陥れた者たち
――元婚約者、姉、王族、貴族――に、静かに、美しく、冷酷な裁きを下していく。
これは、冤罪や迫害により追い詰められた弱者を守り、誇り高く王都を裂く断罪の物語。
【本編は完結していますが、番外編を投稿していきます(>ω<)】
*お読みくださりありがとうございます。
ブクマや評価くださった方、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
笑い方を忘れた令嬢
Blue
恋愛
お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。
絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。
王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。
最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。
私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。
えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない?
私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。
というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。
小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。
pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。
【改稿版について】
コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。
ですが……改稿する必要はなかったようです。
おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。
なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。
小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。
よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。
※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。
・一人目(ヒロイン)
✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)
◯リアーナ・ニクラス(変更後)
・二人目(鍛冶屋)
✕デリー(変更前)
◯ドミニク(変更後)
・三人目(お針子)
✕ゲレ(変更前)
◯ゲルダ(変更後)
※下記二人の一人称を変更
へーウィットの一人称→✕僕◯俺
アルドリックの一人称→✕私◯僕
※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる