11 / 111
異世界少女
異世界少女ー①
しおりを挟む
「カナリヤ…起きなさい」
誰かに呼ばれる声がした。気づくと周りが真っ白な殺風景のところに立っていた。
前には見た事のある男の人が立っていた。
「カナリヤ。これから異世界から少女がやってくる」
「え?異世界から?」
「ああ、その少女は魔法が使える。それも強力な」
「へぇ」
「だが、安心しろ。それは何ヶ月か経つと弱っていく」
「何が言いたいんですか?」
黒いの瞳を睨みつけながら聞いた。
「君は国外追放される」
「国外追放?それはまた大変だな」
「一応のため教えておこうと思ってな」
カナリヤはため息をついた。
「だったら異世界から少女を連れてこないでよ。神様ならできるでしょ?」
「運命には逆らえないものだ」
「……神様って結局形だけのものなのね。なんでこういう時に限って助けてくれないの。あの時もそうだった。ルリスが死んでからあなたは現れた。なんでルリスが死ぬ前に教えてくれなかったの?それも運命っていう訳?」
「……ああ、そうだ……」
男は悲しそうな目でカナリヤを見た。ライトブルーの瞳が涙で包まれていた。
「ああ、そう。……教えてくれてありがとう」
「すまない…力になれなくて」
「別に…あなたはそういう人でしょ」
涙を振り切り男を見た。
「あなたも見てなさい。アイツらを…ルリスを殺したヤツらに復讐してやる」
「そうか…君があの時心に決めたことは変わりはないんだな」
「当たり前よ。あの時に誓ったのだから。目の前で……お姉ちゃんが殺された時から」
「君の好きなようにするがよい。私は君を止める権利はないのだから」
男はカナリヤに近づき頭を撫でた。優しい感じがした。
「それじゃあな。そろそろ起きる時間だ」
カナリヤは目を開いた。ベッドから起き上がり窓から外を見た。
「待ってなさい。国王達よ」
「カナリヤ。おはよう」
「シャリング。おはよう。今日調合室でまた作業するけど来る?」
「いいのか?」
「邪魔しなければ別にいいよ」
二人は調合室へ行った。カナリヤは最近採取した物を瓶に入れた。
本を開き毒のページを見ながら材料を合わせていた。
「えっと、これと。これと…」
「何を作ってるんだ?」
横からシャリングが覗き込んできた。カナリヤはヒャッと驚き勢いで瓶たちを倒してしまった。
「あーあ、大丈夫?」
「大丈夫」
「それで、何を作っているの?」
「あなたには関係ない」
冷たく返した。シャリングはそれでも引き返さず、ずっとカナリヤの隣で見ていた。
カナリヤは集中できず
「あのさ、もうちょっと遠くにいてくれない?」
「なんでだ?別にいいだろ?」
「集中できない」
「そうか…」
ショックを受けたようなのかショボショボと下を向きながらソファに座った。
これでやっと集中できる。もう少しであれができる。薬草を潰し、煮て、混ぜて、を繰り返していた。
「できたー」
匂いは無臭だが、見た目は紫だった。不気味な色だが味はまあまあいい、はず。
飲んだことがないから味は分からない。本にはパセリのような味がすると書いてある。だが、パセリの味とは一体どういうものなのか。
まず、パセリは味するのか。疑問を持ちながらも瓶をバッグに詰めた。
カナリヤが作り終わったのを見るとシャリングはこちらへ来た。
「作り終わったのか?」
「うん」
「それ毒か?何に使うんだ?」
「さあね、お楽しみ」
不気味に笑う。楽しみでたまらない。
「……君はこの国が好きなのか?」
急に質問してきた。前にもこんな質問をされたような気がする。なにも迷わず言った。
「消えて欲しいくらい好きだよ?」
シャリングに寒気が走った。カナリヤはどれほどこの国を憎んでいるのか伝わった。
誰かに呼ばれる声がした。気づくと周りが真っ白な殺風景のところに立っていた。
前には見た事のある男の人が立っていた。
「カナリヤ。これから異世界から少女がやってくる」
「え?異世界から?」
「ああ、その少女は魔法が使える。それも強力な」
「へぇ」
「だが、安心しろ。それは何ヶ月か経つと弱っていく」
「何が言いたいんですか?」
黒いの瞳を睨みつけながら聞いた。
「君は国外追放される」
「国外追放?それはまた大変だな」
「一応のため教えておこうと思ってな」
カナリヤはため息をついた。
「だったら異世界から少女を連れてこないでよ。神様ならできるでしょ?」
「運命には逆らえないものだ」
「……神様って結局形だけのものなのね。なんでこういう時に限って助けてくれないの。あの時もそうだった。ルリスが死んでからあなたは現れた。なんでルリスが死ぬ前に教えてくれなかったの?それも運命っていう訳?」
「……ああ、そうだ……」
男は悲しそうな目でカナリヤを見た。ライトブルーの瞳が涙で包まれていた。
「ああ、そう。……教えてくれてありがとう」
「すまない…力になれなくて」
「別に…あなたはそういう人でしょ」
涙を振り切り男を見た。
「あなたも見てなさい。アイツらを…ルリスを殺したヤツらに復讐してやる」
「そうか…君があの時心に決めたことは変わりはないんだな」
「当たり前よ。あの時に誓ったのだから。目の前で……お姉ちゃんが殺された時から」
「君の好きなようにするがよい。私は君を止める権利はないのだから」
男はカナリヤに近づき頭を撫でた。優しい感じがした。
「それじゃあな。そろそろ起きる時間だ」
カナリヤは目を開いた。ベッドから起き上がり窓から外を見た。
「待ってなさい。国王達よ」
「カナリヤ。おはよう」
「シャリング。おはよう。今日調合室でまた作業するけど来る?」
「いいのか?」
「邪魔しなければ別にいいよ」
二人は調合室へ行った。カナリヤは最近採取した物を瓶に入れた。
本を開き毒のページを見ながら材料を合わせていた。
「えっと、これと。これと…」
「何を作ってるんだ?」
横からシャリングが覗き込んできた。カナリヤはヒャッと驚き勢いで瓶たちを倒してしまった。
「あーあ、大丈夫?」
「大丈夫」
「それで、何を作っているの?」
「あなたには関係ない」
冷たく返した。シャリングはそれでも引き返さず、ずっとカナリヤの隣で見ていた。
カナリヤは集中できず
「あのさ、もうちょっと遠くにいてくれない?」
「なんでだ?別にいいだろ?」
「集中できない」
「そうか…」
ショックを受けたようなのかショボショボと下を向きながらソファに座った。
これでやっと集中できる。もう少しであれができる。薬草を潰し、煮て、混ぜて、を繰り返していた。
「できたー」
匂いは無臭だが、見た目は紫だった。不気味な色だが味はまあまあいい、はず。
飲んだことがないから味は分からない。本にはパセリのような味がすると書いてある。だが、パセリの味とは一体どういうものなのか。
まず、パセリは味するのか。疑問を持ちながらも瓶をバッグに詰めた。
カナリヤが作り終わったのを見るとシャリングはこちらへ来た。
「作り終わったのか?」
「うん」
「それ毒か?何に使うんだ?」
「さあね、お楽しみ」
不気味に笑う。楽しみでたまらない。
「……君はこの国が好きなのか?」
急に質問してきた。前にもこんな質問をされたような気がする。なにも迷わず言った。
「消えて欲しいくらい好きだよ?」
シャリングに寒気が走った。カナリヤはどれほどこの国を憎んでいるのか伝わった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
婚約破棄上等!私を愛さないあなたなんて要りません
音無砂月
ファンタジー
*幸せは婚約破棄の後にやってくるからタイトル変更
*ジャンルを変更しました。
公爵家長女エマ。15歳の時に母を亡くした。貴族は一年喪に服さないといけない。喪が明けた日、父が愛人と娘を連れてやって来た。新しい母親は平民。一緒に連れて来た子供は一歳違いの妹。名前はマリアナ。
マリアナは可愛く、素直でいい子。すぐに邸に溶け込み、誰もに愛されていた。エマの婚約者であるカールすらも。
誰からも愛され、素直ないい子であるマリアナがエマは気に入らなかった。
家族さえもマリアナを優先する。
マリアナの悪意のない言動がエマの心を深く抉る
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】王都に咲く黒薔薇、断罪は静かに舞う
なみゆき
ファンタジー
名門薬草家の伯爵令嬢エリスは、姉の陰謀により冤罪で断罪され、地獄の収容所へ送られる。 火灼の刑に耐えながらも薬草の知識で生き延び、誇りを失わず再誕を果たす。
3年後、整形と記録抹消を経て“外交商人ロゼ”として王都に舞い戻り、裏では「黒薔薇商会」を設立。
かつて自分を陥れた者たち
――元婚約者、姉、王族、貴族――に、静かに、美しく、冷酷な裁きを下していく。
これは、冤罪や迫害により追い詰められた弱者を守り、誇り高く王都を裂く断罪の物語。
【本編は完結していますが、番外編を投稿していきます(>ω<)】
*お読みくださりありがとうございます。
ブクマや評価くださった方、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる