腹黒薬師は復讐するために生きている

怜來

文字の大きさ
15 / 111
異世界少女

異世界少女ー⑤

しおりを挟む
「失礼します」

そこにはベッドに座る皇太子とその横の椅子に座っている少女がいた。

「お目覚めのようですね」

「ああ、この子のおかげでな」

「は、初めまして…篠江マリヤです」

「どうも」

ペコッと頭を下げた。どうやら魔法を使えるのは本当のようだ。

「マリヤはな、魔法が使えるようなんだ。俺の病気もすぐに治ったんだ」

「それは良かったです」

「マリヤは異世界から来たようなんだ。だから色々と教えてあげてくれ」

「はい、分からないことがあればなんでも聞いてください」

にこやかに言った。

(ったくなんで私が、って思ってるだろうな)

シャリングはチラとカナリヤを見た。手がピクピクしている。

(相当キレてるな)

見た目は喜んでいるが確かにキレている様子だ。

「それでは私はやることがあるので」

「ああ」

廊下を歩いている時は何もカナリヤは発さなかった。

そして部屋に入った途端目の色が変わった。

「ったくなんで私が。めんどくせぇな。これ始めたのは私だけどよ」

愚痴を言い出した。これ言っているのバレたら相当ヤバいな。シャリングはもうカナリヤの愚痴を聞くのに慣れた。

カナリヤの本性を知ってから毎日のようにカナリヤは愚痴を吐くもんで聞き飽きたくらいだ。それほど不満が溜まっているのだろう。

「あのマリヤって子魔法使えるんだな」

「そうよ、今だけね」

「え?今だけ?どういう意味だ?」

「そのまんまの意味よ」

カナリヤは調合室へ向かった。今日余った毒を棚に閉まっておいた。他にも作って余ったものが置いてあるがほとんど使っていない。

使い道がない。だからこれからこの毒たちを混ぜたらどうなるのか実験をしようと考えていた。

実験体は動物などがいいがあまりにも可哀想なのでいつも自分で試している。たまに危険なものを食べたり飲んだりして倒れることもある。

しかしもうそれに慣れた。別に自分の体はどうなってもいい。だからそこまで気にしない。

引き出しから皿を取りだし本を開いて一つずつの毒の作用について一通り目を通しておいた。

「さあ、やるか」

カナリヤが調合室でなにかしているのを見てシャリングはお茶を入れた。

「ほら飲めよ」

「何?毒を飲めと?」

「毒じゃないよ。俺が飲んでやろうか?」

「結構よ」

カナリヤはグビっと一気飲みした。

「あんたは休んでていいよ。私はやる事あるから」

「いや、俺はお前の付き人だ。君が寝るまで俺はそばに居るんだよ」

「気持ち悪」

ボソッと吐いた。シャリングの心臓にその言葉が刺さった。

「それとも何?あなたを実験体として使っていいの?」

不気味に笑いながらカナリヤが毒の入った瓶をシャリングの目の前で揺らした。

「危険じゃなきゃやってあげてもいいぞ」

「危険に決まってるでしょ」

「じゃあやだね」

「じゃあさようなら」

カナリヤとシャリングの会話はそれで尽きた。カナリヤは目を鋭くしながら毒を見つめ混ぜている。

毒って混ぜていいのか?混ぜたらどうなるんだ?疑問が浮き上がり遠くからカナリヤを見ていた。

するとカナリヤがいじっていた鍋から煙が立ちボンッとカナリヤの目の前で破裂した。

「ゴホッゴホッ」

「だ、大丈夫か?」

「大丈夫よ。気にしないで」

心配するシャリングを突き放しまた実験を始めた。

シャリングは溜息をつき見守ることにした。するとカナリヤが鍋で作った毒を飲もうとしている。

「ちょ、ちょっと何してんだよ」

「何って見た通りよ」

「それ毒なんだろ?危ないじゃないか」

「別に大丈夫でしょ」

「死ぬかもしれないんだぞ?」

「そんなのやって見なきゃ分からないじゃない。分からないからこそ飲むのよ」

カナリヤはシャリングの手を振りほどき毒を飲んだ。シャリングは口を開けたままその場で立ち尽くしている。

カナリヤはのみ終わったあとフーと息を吐いた。それから何も発さないで無言でその毒を瓶に詰めしまった。

ほかの毒たちも使い切って空の瓶はそのまま置きまだ残っているものは棚にしまった。

「おい、大丈夫なのか?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

【完結】王都に咲く黒薔薇、断罪は静かに舞う

なみゆき
ファンタジー
名門薬草家の伯爵令嬢エリスは、姉の陰謀により冤罪で断罪され、地獄の収容所へ送られる。 火灼の刑に耐えながらも薬草の知識で生き延び、誇りを失わず再誕を果たす。 3年後、整形と記録抹消を経て“外交商人ロゼ”として王都に舞い戻り、裏では「黒薔薇商会」を設立。 かつて自分を陥れた者たち ――元婚約者、姉、王族、貴族――に、静かに、美しく、冷酷な裁きを下していく。 これは、冤罪や迫害により追い詰められた弱者を守り、誇り高く王都を裂く断罪の物語。 【本編は完結していますが、番外編を投稿していきます(>ω<)】 *お読みくださりありがとうございます。 ブクマや評価くださった方、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~

スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」 王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。 伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。 婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。 それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。 ――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。 「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」 リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。 彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。 絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。 彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。

「証拠なら全て記録してあります」——記録魔法しか取り柄がないと捨てられた令嬢、婚約破棄の場で三年分の不正を読み上げる

歩人
ファンタジー
伯爵令嬢アネットの唯一の魔法は『記録《レコード》』——見たもの聞いたものを 一字一句記憶する地味な能力。婚約者の侯爵子息ヴィクトルは「戦えない魔法など 無価値だ」と婚約破棄を宣言する。だがアネットは微笑んだ。「承知いたしました。 では最後に一つだけ——」。彼女が読み上げ始めたのは、ヴィクトルが三年間で横領した 軍事費の明細。日付、金額、共犯者の名前、密会の会話。全て『記録』済み。 満座の貴族が凍りつく中、王宮監察官が静かに立ち上がった。 「……続けてください、アネット嬢」。 婚約破棄の舞台は、そのまま公開裁判になった。

無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する

タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。 社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。 孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。 そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。 追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。

処理中です...